松山英樹が日本男子初のメジャーチャンピオンに輝いた。上がり4ホールで3ボギーと苦しみながらただひとり二桁アンダーで優勝。ジョーダン・スピース、ケビン・ナ、ダスティン・ジョンソンらが出迎え松山を祝福するなかテレビ解説の中嶋常幸や宮里優作は涙、涙。感動的なドラマの裏にはオーガスタの女神がかけた魔法があった!? ライター・川野美佳がつづった。

「1日中緊張していた」という最終日。18番のティショットがフェアウェイをとらえたとき優勝の二文字が実感となった。高まる鼓動。松山は何度も大きく息をした。セカンドはグリーン右サイドのバンカー。そこから寄せたがパーセーブならずボギーフィニッシュ。

「本当はそこでしたかった」というバンザイポーズはグリーンジャケットセレモニーに持ち越した。夢にまで見たジャケットをまといパトロンの前で見たことのないような無邪気な笑顔で両手を天に向け何度も突き上げた。

画像: グリーンジャケットに袖を通し、マスターズ優勝に喜ぶ松山英樹(写真提供/2021 Masters)

グリーンジャケットに袖を通し、マスターズ優勝に喜ぶ松山英樹(写真提供/2021 Masters)

10年前アジアパシフィックアマチュアに優勝しマスターズの切符を手にした頃、ゴルフ界の主役は石川遼だった。同級生のライバルについて「スウィングがきれい。自分のは汚い」と苦笑いした。

「日本からメジャーチャンピオンが誕生することをずっと願っていた」というメジャー9勝のグランドスラマー、ゲーリー・プレーヤーは石川に大いに期待を寄せ「帝王学を伝授したい」と語っていた。しかしマスターズで松山がローアマを獲ったことを知ると「この若者のことを語ろう」と連続写真を所望。「腰のキレがいい。これは楽しみだ」と笑顔になった。

「震災があって(マスターズに)出ていいのか、出れるのか悩んだ」松山が東北(東北福祉大出身)の人々に背中を押され出場しローアマを獲ったことが10年連続10回目の出場での快挙に繋がった。

4年間勝てなかった鬱憤もこれ以上ない夢舞台で晴らして見せた。3日目のサンダーストームで1時間10分中断したとき松山は車のなかで携帯をいじりゲームに興じていたというが、映画ならその瞬間稲光が松山を包み彼に特別なパワーを授けるシーンがあっても良さそうだ。

なぜなら中断前右にミスした11番のティショットを再開直後にバーディチャンスにつけるスーパーリカバリーを実現して見せたのだから。そのセカンドショット以降「すべて思い通りのプレーができた」とゾーンに入った松山はあれよあれよとバーディ&イーグルを奪い後続を引き離し4打差の単独トップで最終日を迎えることに。そしてオーガスタの女神が稲光に込め松山にかけた魔法は最後まで解けることはなかった。

おめでとう、松山英樹! 日本が誇るメジャーチャンピオン。これまでの努力と経験、そして周囲の人々の支えがついに大輪の花となった。日本人として誇らしい。

- YouTube

youtu.be

This article is a sponsored article by
''.