ギアライターの高梨祥明がゴルフクラブ選びの基礎知識を解説する集中企画。その9回目はズバリ、クラブの買い替えがテーマ。高額なゴルフクラブの購入で失敗しないために、考えるべきこととは?

平らなライはどこにもないホントのゴルフ環境でギアを試そう!

ゴルフクラブの試打は弾道測定器の開発によってどんどん身近で、わかりやすいものに進化した。今やゴルフショップの試打スペースでも、練習場で開催される試打会でも画面に弾道線が描かれ、ブレも飛距離も画面で確認できる。

しかし、これはあくまでも実際にゴルフコースで試せないからこそ、ありがたく感じるサービスだといえる。ゴルフクラブはゴルフコースで使うモノ。本当は“現場”で試すのが一番のはずだ。

パターだけでなく、ボールによってもタッチが合う、合わないがある。まず、ボールセレクトのためにパッティンググリーンを利用するのがおすすめだ。使用ボールを決めなければ、クラブの“試打”は始まらない

“試す”ことが必要なのは、何もこれから買う可能性のある新製品ばかりとは限らない。実は今使っているクラブ、あるいは最近使っていないが以前は気に入っていたクラブこそが、まずはきちんと“試す”べき対象だ。

たまのラウンドで少しばかり結果が出なかったとしても、簡単に見切りをつけてしまうのはもったいないではないか。とくにウェッジやパターは街のドライビングレンジや弾道測定器では判断ができないが、天然芝の上、天然グリーンで試す機会は圧倒的に少ないアイテム。きちんと試さずに買っているアイテムといえるだろう。そこで、新製品ではなく、まず、今使っているウェッジやパターを“現場”でじっくり試してみることをお勧めしたい。

ショートコースを積極的に利用!ラウンド後の居残り練習も積極的に

ゴルフはいかに寄せて1パットでしのぐかの競技である。パー5だろうとパー3だろうと、半分もパーオンできないのがアマチュア。だからこそ、使い勝手のいいウェッジは、一発飛ばせるドライバーよりも重要だ。

ウェッジを“試す”にはショートコースやゴルフコースのいわゆる“アプローチ練習場”がお勧め。これは必ず“施設に確認”が必要だが、ショートコースを単にラウンドするのではなく、練習目的でウェッジだけでラウンドしてみる。あるいはゴルフコースでラウンド後に居残り、付帯のアプローチ練習場を使わせてもらう。

とにかく機会を見つけ、実際の芝の上の様々なライでウェッジを何度も使ってみることが大切なのだ。パターも同じ。いくら毎日じゅうたんの上で転がしていても、傾斜や芝目がある実際のグリーンでは印象が違う。毎回、ラウンド後に15分だけでも練習グリーンでボールを転がす。それだけでラウンド中には気付けなかったことが見えてくる、質の高い練習になるのである。

ショートコースやコースのアプローチ練習場といった実際に芝の上で試すことで弾道計測器では見えてこない本当に使えるギアが見えてくるという

ショートコースやラウンド後にアプローチ、パットを練習する場合は、マイ・ボールを使って行うと思うが、これが最も重要なポイントだ。実際に使うボールでなければ、本当の距離感やスピンの入り方はつかむことができない。ショートゲームの上達は、まず使用ボールを決め、そのボールでいかに実際のコース環境で練習するかにかかっているのである。

クラブの買い替えを考えているなら、実際の“現場”でとことん試打してみよう

筆者が最近訪れた長野県の「サニーカントリークラブ」では、これまであった9ホールを完全に練習エリアとしてリニューアルし、サニーCCゴルフレンジという名称でオープンしていた。ゴルフコース(18ホール)とは別の扱いだから、ラウンドしなくとも練習目的だけで利用できるのが嬉しかった。

ラウンドしないといっても、6ホール(PAR23、1,852ヤード)のプラクティスホールは1日中まわり放題だし、300ヤードの打撃練習場では普通の練習だけでなく、クロスバンカーから練習もできる。そしてアプローチ、バンカーエリアには、今年からスムーズな転がりの本格的なパッティングがオープンし、存分にパッティング練習を行うこともできた。

6ホールのプラクティスコース、300ヤードのドライビングレンジ、アプローチ・バンカーエリア、パッティンググリーンが営業時間内なら使い放題の「サニーCCゴルフレンジ」。7月15日までの料金は平日3300円、土日祝4400円

時間を忘れ、寄せやパッティングに没頭していると「そろそろ買い換えようかな」と、若干不信感をもっていたいつものギアが手放せない相棒みたいな感覚になってくるから不思議だった。それだけ、実際の環境で“試し”、“慣れる”ことを今までしてこなかったからだと思った。

ゴルフクラブの性能は、弾道測定器に教えてもらうものではない。結果は実際のゴルフ環境で試し、自分で判断するしかないのだ。アマチュアの場合はまず、今持っているゴルフクラブ、あるいはボールの試打が圧倒的に不足している。道具を試すことを目的にショートコースや付帯施設が充実したゴルフコースに出かけてみることを、買い替えよりも前にオススメしたい。

写真/高梨祥明

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