「パナソニックオープンレディース」の最終日、風速11メートルを記録する強風の中、大里桃子とのプレーオフを制したのは上田桃子。大混戦の最終日の模様をプロゴルファー・中村修がレポート。

我慢比べとなった大会を制したのはベテランの試合運び

「パナソニックオープンレディース」の最終日は、2日目にスコアを伸ばした古江彩佳選手が8アンダーの首位、続く2打差に西村優菜、原英莉花、上田桃子、大里桃子の4選手が続き、3打差5アンダーには稲見萌寧選手ら5名が並ぶ混戦のスタートになりました。大会公式では気温は20度、最大瞬間風速は20メートルを越えていたと発表されています。時おりグリーン上でボールが動いてしまうくらいの強風と乾いた速さのあるグリーンが選手を苦しめます。

会場となった浜野GCは、フェアウェイに広さはあるものの、風に翻弄されラフに外すとまともなアゲンストでない限りグリーン上にボールを止めることは非常に難しく、グリーン上でも風の影響によってライン通りに転がらないシーンが散見されました。

そのような難コンディションの中、首位スタートの古江選手はズルズルとスコアを崩します。途中首位に立った原英莉花選手も13番のトリプルボギーで後退しますが、切り替えて最後まで攻め続け3位タイで終えます。

最終的に優勝スコアとなった5アンダーで最終18番ホールのパー5を迎えた稲見萌寧選手も痛恨のボギーで脱落。ただ、稲見萌寧、山下美夢有の両選手は風の強いコンディションでも安定感が光りました。

柏原明日架、山下美夢有、穴井詩、セキ・ユウティン選手らもバーディを奪えずに4アンダー3位タイで終えています。

画像: 今季初優勝をプレーオフの末勝ちとった上田桃子(写真は2021年のパナソニックオープンレディース 写真/大澤進二)

今季初優勝をプレーオフの末勝ちとった上田桃子(写真は2021年のパナソニックオープンレディース 写真/大澤進二)

プレーオフに残った大里桃子選手は、昨年まではアップライトなトップが特徴的でしたが、少しフラットなトップから安定感のあるショットを繰り出していました。惜しくもプレーオフで敗れましたが来週以降上位に顔を出してくることは間違いなさそうです。

そしてプレーオフを制した上田桃子は、この日ノーバーディながらボギーはひとつと単独6位と健闘した昨年の全英女子オープン(AIG女子オープン)を思い出させるリズムが一定したプレー内容で安定感がありました。

54ホール目の18番パー5の2打目を右サイドのラフに打ち込みますが、4本体制のウェッジの中で50度を選び、キャディを務める辻村明志コーチの「短く持ってゆったりスウィング」の声の通りのスウィングでピン方向奥のカラーに運びます。この下りのフックラインを1メートル少しオーバーするも返しをしっかり決め、先に5アンダーでホールアウトした大里桃子選手と9番パー3でのプレーオフへ進みます。

プレーオフが初めてという大里選手と実に10度目という上田選手の1ホール目は、グリーン右のカラーに外した大里選手が4メートルの厳しいパーパットを決め2度目の9番ホール目に進みます。上田選手が確実にグリーン手前をキャッチしますが、大里選手は右のティショットをバンカーに入れて、その後のパーパットを外し勝負あり。

両名とも強風と速いグリーンに翻弄されながらも自分のリズムを崩さずにプレーできていましたが、勝負を分けたのは、プレーオフでは右に外した大里選手に対して確実にグリーンに乗せた上田選手のショットでした。最終日、3回プレーした9番ホールで使用したのは、この日だけセッティングした5番アイアン。ラッキーアイテムだったと優勝会見で話しました。

その5番アイアンは、キャロウェイの「APEX DCBアイアン」の5番アイアンでしたが、先日試打する機会に恵まれたのですが、つかまって球が上がりやすいクラブでした。もちろん普段の練習の積み重ねがあるのは当然ですが、優勝するときにはそういうラッキーアイテムもあるものだと感心しました。

今週上位に入ったのは、稲見萌寧、山下美夢有選手ら今年に入って好調な選手だけでなく、原英莉花、大里桃子、セキ・ユウティン、柏原明日架、古江彩佳、西村優菜選手といった実力者たちも調子を上げてきています。来週のメジャー「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」では、どんな選手が優勝争いを繰り広げるのか俄然楽しみになって来ました。

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