今週末開催となる海外メジャー「全米プロゴルフ選手権」。マスターズを制した松山英樹のメジャー連覇にも期待がかかる今大会の注目選手を、海外ツアー取材歴20年の大泉英子がまとめて紹介。

「年間グランドスラム」の可能性を持つのは松山ただひとり

松山英樹の「マスターズ」での歴史的優勝から約1カ月半。海外男子メジャー第2戦「全米プロ」が、サウスカロライナ州キアワアイランドリゾートで開催される。

このコースはピート・ダイによる設計コースの中でも傑作のひとつと言われ、1991年には「ライダーカップ」、2012年には「全米プロ」が開催されている。距離は7876ヤードと長く、大西洋に面した広大な土地に広がるリンクスコースで、フェアウェイはうねり、深いバンカーが点在。

フェアウェイは広いホールが多いが、グリーンに近づくにつれてターゲットゴルフが要求され、ラグーンやウェイストエリア、デューンなどのハザードが効いているので、避けるべき場所は徹底的に避けて戦略的に攻めないと、大叩きの恐れもある。

大西洋から吹く風もまた、危険で見えない大きなハザードとなっており、「ゴルフリゾート」という名前の印象とはうって変わって、世界有数の難コースとして知られているのだ(ちなみに今大会では、距離測定器の利用が許可されている)。

前回、この地で「全米プロ」が行なわれた時は、ロリー・マキロイが2位のデビッド・リンに8打差をつけてぶっちぎり優勝を果たしたが、マキロイのような飛ばし屋は、まずは広めのフェアウェイに向かって飛距離を稼ぎ、2打目以降をできるだけ短い番手を持って正確なショットを目指せば、スコアを伸ばすチャンスが広がるだろう。

マキロイは今から2週前の「ウェルズ・ファーゴ選手権」で優勝したばかりだが、スウィングを元に戻すことで本来の自分の良さを生かしたゴルフができる状態にあり、しかも過去に大差をつけて優勝したコースであるだけに、自信を持って臨めるはずだ。

画像: キアワアイランドリゾート開催の2012年全米プロを制しているロリー・マキロイ(写真は2021年のアーノルド・パーマー招待)

キアワアイランドリゾート開催の2012年全米プロを制しているロリー・マキロイ(写真は2021年のアーノルド・パーマー招待)

また、本来であれば世界ランク1位で、飛ばし屋でもあり、地元サウスカロライナ出身のダスティン・ジョンソンも大本命の1人と言いたいところだが、先日の「AT&Tバイロン・ネルソン」をヒザの不調を理由に欠場したばかり。もちろん今週の「全米プロ」に間に合わせようと、トレーナーの指導の元でリハビリを施してきたのだが、果たしてそれがうまくいったのかどうか。

画像: 現世界ランク1位のダスティン・ジョンソン(写真は2021年のザ・プレーヤーズ選手権)

現世界ランク1位のダスティン・ジョンソン(写真は2021年のザ・プレーヤーズ選手権)

その他、肉体改造の末、世界1位の飛距離を手に入れたブライソン・デシャンボーや、精度の高いショットとパットでおなじみの「全米プロ」チャンピオン、ジャスティン・トーマス、「バレロ・テキサスオープン」で復活優勝を遂げ、先週の「AT&Tバイロン・ネルソン」でも9位タイに入るなど、好調ぶりを持続しているジョーダン・スピースなども優勝争いに食い込む可能性が高いだろう。

だが、我々日本のゴルフファンとしては、松山英樹のメジャー2連勝を期待したいところ。メジャーで1勝するだけでも大変なことであるから、軽々しく言えることではないが、今年に関して言えば、「年間グランドスラム」を達成する権利を有しているのは松山だけ。マスターズのときのように精度の高いショットとパット、そして運が味方してくれれば、大いにチャンスはある。

画像: マスターズに続き、松山英樹の海外メジャー連覇はなるか(写真は2021年のザ・プレーヤーズ選手権)

マスターズに続き、松山英樹の海外メジャー連覇はなるか(写真は2021年のザ・プレーヤーズ選手権)

過去にグランドスラムを達成した南アのレジェンド、ゲーリー・プレーヤーは、「マスターズ」優勝直後の彼に対して、次のように語っていた。

「松山にはグランドスラムを達成する実力がある。あとは、どれだけ自分がやってきたことに自信を持てるか、そして是が非でもグランドスラムを達成したい、勝ちたい、という強い気持ちがあるかにかかっている」

なお、日本からは松山の他、今年の初戦「東建ホームメイトカップ」でプロ入り後2勝目を飾った金谷拓実、先週の「アジアパシフィック・ダイヤモンドカップ」で優勝したばかりの星野陸也も出場。2人の調子もいいだけに、3人の日本人選手の活躍に期待したい。

 

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