5月20日から4日間の予定で開催される「全米プロゴルフ選手権」。東京五輪で松山英樹のパートナーとなるべく出場枠を争う星野陸也と金谷拓実両選手をプロゴルファー・中村修が分析した。

今週開催される海外メジャー第二戦、全米プロ。開催コースは米国東海岸にあるゴルフリゾート地、キアワ島オーシャンコースです。ピート・ダイ設計で海に面した、米国でももっともタフと言われるコースのひとつで、風次第では心技体のすべてを問われる戦いになりそうです。

そのタフなコースに東京五輪への出場権をかけて挑むのは、先週の「ダイヤモンドカップ」で2021年2勝目を挙げ、世界ランキング69位にランクアップしてきた星野陸也選手と、2021年は開幕戦「東建ホームメイトカップ」を制している同ランク77位の金谷拓実選手です。

画像: 海外メジャー「全米プロゴルフ選手権」に参戦する金谷拓実(左。撮影/有原裕晶)と星野陸也(右。撮影/岡沢裕行)

海外メジャー「全米プロゴルフ選手権」に参戦する金谷拓実(左。撮影/有原裕晶)と星野陸也(右。撮影/岡沢裕行)

オリンピックのゴルフ競技の出場人数は男女ともに60人ずつ。出場資格は世界ランクが基準になり、15位以内は各国4人まで、それ以下は1カ国2名を上限に出場が可能です。マスターズを制した松山英樹選手は世界ランク15位、オリンピックランク9位で当選確実。

残りひとつの出場枠を巡り、星野・金谷両選手の一騎討ちの様相を呈しているのです。6月21日のランキングで最終的に決まるため、この試合でそれが決まるわけではありませんが、ポイントの高いメジャーは、その勝負の行方に大きく影響しそうです。

では、2020-21シーズンの賞金ランク1位の星野選手と同2位の金谷選手の二人がメジャーでどんなプレーを見せてくれるのでしょうか。考察してみたいと思います。

星野陸也選手は、186センチの長身で300ヤードを越えるドライバーショットが武器。ただ飛ぶだけでなく、弾道を操りながらコースを攻める技巧派のプレースタイルです。国内ツアーのスタッツを見てみると平均飛距離293.5ヤード(10位)、パーオン率66.94%(20位)、平均パット1.7642(19位)、バーディ率3.98(7位)とバランスのとれた数値が並びます。

唯一フェアウェイキープ率だけが54.91(67位)と低めではありますが、球を曲げてしまっているというよりは、グリーンに近づくほど狭くなる、ロングヒッターには有利には働かない日本のコースの特徴の影響もあると思います。

一方の金谷拓実選手は、飛距離は279.67ヤード(52位)ながらパーオン率は69.63%(4位)。平均パット1.7394(2位)、バーディ率4.1(4位)とこちらも素晴らしい数値が並びます。さすが賞金ランク1位と2位、データ的にもその実力は伯仲しています。

二人のプレースタイルは弾道をコントロールしながら攻める点が似てはいますが、星野選手はドライバーやアイアンで低い弾道を多用したりとその幅が大きい印象です。風の強いコンディションでその技術を生かせれば難コースの攻略に光が見えます。

昨年から取り組んできたスウィングのブラッシュアップが功を奏し、開幕2戦目の「関西オープン」の優勝会見では、予選落ちした開幕戦でスウィングの感じをつかむことができて、やることが明確になったと話していました。その後も好調を保ち、先週の2勝目へとつなげています。

そして金谷選手のプレースタイルは思い切りの良さが印象的です。決めたら迷わず、プレーのスピードも速い。2019年に出場した「全英オープン」での経験も生かせることでしょうし、風が強かった2021年開幕戦を制しているのもアドバンテージです。そして、技術面でタイプの違いはあれどメンタル面では二人とも非常にタフで、簡単には崩れない強さを持っています。

二人とも5月生まれの2歳違いで星野選手は25歳、金谷選手23歳と若いですが、二人に共通しているのは海外を見据えた取り組み方です。

星野選手は日大を2年で退学してQT(予選会)を受験して1位で通過。2017年にフル参戦しシード権をつかみ2018年に初優勝を挙げここまで通算5勝。海外メジャーでの経験を持ち帰り、国内ツアーを戦いながら世界ランクを上げて、海外へと羽ばたこうとしています。

一方の金谷選手は大学の先輩でもある松山英樹選手の後を追うようにアマチュアでマスターズに出場し、世界アマチュアランク1位も獲得。1月から2月にかけては米ツアーと欧州ツアーにも出場し、会見も英語で答えるほど常に海外を意識しています。二人とも10代の頃から世界の舞台での活躍を強く意識しながら、国内ツアーで経験を積み重ねています。欲をいえばふたりともオリンピックに松山選手とともに出場してもらいたい、そう思ってしまうほどです。

日本では経験できない海沿いの難コース。世界の名手が集うフィールド。そこに身を置いて戦うことで、世界のトッププレーヤーに対して自分がどんな位置にいるのかが明確になります。結果はどうあれ、若いふたりが持てる力を存分に発揮しプレーしてくれることを期待します。

This article is a sponsored article by
''.