フィル・ミケルソンが長尺ドライバーを使用して海外メジャー「全米プロゴルフ選手権」を制したことで「長尺ドライバーを試したいというお客様も増えています」というのは、業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人。はたしてプロだけでなくアマチュアの飛距離アップにも長尺ドライバーは有効なのか、小倉氏に詳しく話を聞いてみよう。

こんにちは、ギアオタク店長の小倉です。ここ数週間で長尺ドライバーを試したいというご相談を3~4件いただきました。おそらく全米プロを優勝したフィル・ミケルソンがルール上限ギリギリに伸ばしたドライバーを使っていたことが影響しているのでしょう。

画像: 47.75インチの長尺ドライバーを投入し、海外メジャー「全米プロゴルフ選手権」を制したフィル・ミケルソン(写真は2021年の全米プロゴルフ選手権 撮影/Blue Sky Photos)

47.75インチの長尺ドライバーを投入し、海外メジャー「全米プロゴルフ選手権」を制したフィル・ミケルソン(写真は2021年の全米プロゴルフ選手権 撮影/Blue Sky Photos)

ドライバーの長尺化はヘッドスピードを速めることに効果的なチューニング方法です。飛距離を伸ばすには、ヘッドスピード、ボールの打ち出し角、そしてスピン量のバランスが重要なのですが、飛距離の最大値を決めるのがヘッドスピードになります。

ヘッドスピードが速いほど物理的に飛ばせる最大飛距離が高くなるのです。ヘッドスピードによって理想の打ち出し角とスピン量は変わるので、ヘッドスピードに合わせた打ち出し角とスピン量を実現することでより効率的な弾道で最大の飛距離を出すことができます。

打ち出し角が低かったり、スピン量が多かったりするとそのぶん飛距離がロスするので、ヘッドスピードに対して適正な打ち出し角とスピン量を実現できればそのヘッドスピードの最大飛距離は実現できますが、それ以上の飛距離アップは難しい。飛距離の最大値を伸ばすにはヘッドスピードを高めるしかないため、自身でヘッドスピードを高められるツアープロでもさらなる飛距離アップを実現するためにクラブを長尺化するわけです。

しかし長尺化することによるデメリットもあります。クラブが長くなることによるミート率の低下です。ただクラブを長くするとスウィング中の遠心力が大きくなり、非常に振りづらいクラブになってしまいます。いくらヘッドスピードが速まっても狙ったところに打ち出せなければ無用の長物です。長くしても振り切れるように重量やシャフトのモデルやフレックスをしっかりと吟味する必要があります。

最優先したいのが重量です。長尺化による遠心力の増加をヘッドスピードに変えつつ、正確なインパクトを実現するには一般的な長さのときのドライバーよりも軽量化する必要があります。最近のドライバーヘッドはかなり重めに設定されたモデルが多いので、バランスを考えるならウェートが脱着式で重量が調整できるモデルでないとベストなバランスで組み上げるのはかなり大変でしょう。

シャフトのフレックスにも注意が必要です。シャフトが長くなるぶん、しなる部分が増えるので、通常の長さのフレックスよりしなりを感じやすくなります。構えたときによりボールから遠くなるので、ミート率も下がりやすいですからやや硬めのフレックスにするのがおすすめです。

前置きの説明が長くなってしまいすみません……では肝心の我々アマチュアが飛距離アップを目指してドライバーを長尺化するのは有効なのか!? という点ですが、結論は1発の飛びを求める“ロマン砲”を作るなら大いにありだと私は思います! 1ラウンドのうち、1~2回良い当たりが出ればOK! という考えの方なら大いにやる価値があるでしょう。自分でもビックリするぐらい飛ばせることもあると思います。

しかしスコアも大事にしたいと考えるゴルファーであれば46インチ未満ぐらいの長さで出せるヘッドスピードで、飛距離の最大値を目指すほうが賢明だと思います。いくら最新のヘッドがミスに強くなっているとはいえ、長くなればなるほどフェースをインパクトでスクェアに戻すのが難しくなります。どんなにその方に合わせたクラブを作成したとしてもちょっとした動きのエラーが大きなミスに繋がってしまう可能性が高いのです。

楽して飛ばしたいっ! と考えるなら長尺化は最高の近道ですが、それなりにリスクがあるのです。そのリスクを楽しむのもまたゴルフの醍醐味のひとつなんですけどね。 

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