PGAツアー「トラベラーズ選手権」を制したハリス・イングリッシュ。今回の優勝で、自身の目標であるフェデックスカップ最終戦「ツアー選手権」への切符獲得をほぼ確定的にしたイングリッシュの、次なる目標とは? 海外ツアー取材歴20年の大泉英子がレポート。

今年の「トラベラーズ選手権」は、ツアー史上2番目に長い、8ホールに渡るプレーオフが繰り広げられたことで話題となった。

2015年プロ入り後、ウェブドットコムツアー(PGA下部ツアー。現在はコーンフェリーツアーに名称変更している)やマッケンジーツアー・イン・カナダでプレーし、2017年には同カナダツアーで賞金王にも輝いた29歳のクレイマー・ヒコック。2019年からPGAツアーに本格参戦しているが、「トラベラーズ選手権」では初日から首位に立ち、2日目は2位、3日目は再び1位と、4日間を通してツアー初優勝を狙って上位で戦っていた。テキサス大出身で、ジョーダン・スピースとはルームメイトだったこともある。

ツアー初優勝を狙うヒコックと、約1時間半に渡るプレーオフで大熱戦を演じたのは、今年の「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」で既に今季1勝を挙げている31歳のハリス・イングリッシュ。彼は、プレーオフ8ホール目に約8.5メートルのバーディパットを決め、日没直前に決着が着いた。結局、通算80ホールという長丁場を乗り越えて、ツアー通算4勝目に至ったわけである。

画像: PGAツアー「トラベラーズ選手権」を制したハリス・イングリッシュ(写真/Getty Images)

PGAツアー「トラベラーズ選手権」を制したハリス・イングリッシュ(写真/Getty Images)

「疲れた〜! 背中と太ももの裏が痛いよ。でも頑張り続けなければいけなかったからね。17〜18番はどちらもフォローの風が吹いており、難しいところにピンが切ってあった。僕もヒコックもいいパットを決めていたけど、本当に彼の闘争心には脱帽だよ。僕たちは二人ともよく戦った」

前週の「全米オープン」では3位タイに入ったイングリッシュは、技術面の好調ぶりだけでなく、自信も取り戻して今大会に臨んでいた。最終日は首位と2打差でスタート。6バーディ、1ボギーの65をマークし、単独首位でホールアウトしたが、最終組で回っていたヒコックを待ってプレーオフに突入した。自身、今年2回目のプレーオフだ。

「最後のパットを決めたときは、本当に暗くなっていた。グリーンに目を慣らすのが大変だったよ。距離やグリーンの読みなど、判断するのが難しかったね。プレーオフも、続けるとしてもあと1〜2ホールが限界だったと思う。こうして8ホールで終わってよかった」

イングリッシュは今大会の優勝で、フェデックスカップランキング2位に浮上。世界ランキングでも19位から12位に浮上するものと見られている。彼の目標は毎年フェデックスカップ最終戦の「ツアー選手権」に出場することだが、今回の優勝でほぼ確定的となった。そして今年の9月には「ライダーカップ」が開催されるが、このチーム入りも果たしたいと考えている。

「僕はスティーブ・ストリッカーが大好きだし、(彼が米国チーム主将を務める)ライダーカップでプレーしたい。ジョージア大在籍中、チーム戦で戦っていたのが懐かしい。チーム戦の雰囲気をまた味わいたいんだ。国を代表して世界最大のトーナメントで戦えるなんて最高だね。(チーム入りするには)これからも頑張って、スティーブに自分がチーム入りするに値する選手であることを見せないといけない。そういうチャンスがやってくるといいね」

来月には「全英オープン」、そしてオリンピックが終わるとフェデックスカップ最終戦が始まる。今季、複数回優勝している選手はブライソン・デシャンボー、パトリック・カントレー、ジェイソン・コクラック、スチュワート・シンクがいるが、イングリッシュもその仲間入りを果たし、コンスタントに上位で戦っているイメージはストリッカーにも理解してもらえることだろう。ただ、当のストリッカーは、シニアツアーのメジャー「ブリヂストン・シニアプレーヤーズ選手権」で優勝した日でもあったため、ライブでイングリッシュの戦いぶりを観戦することはできなかったかもしれない。

8月下旬の「BMW選手権」終了時点でメンバーが決定する、ライダーカップ米国チーム。現在、イングリッシュはライダーカップ米国ランキングで8位まで浮上している。上位6人まではランキング順に自動的に出場が決まるが、7位以下の選手たちはストリッカーのキャプテン推薦を期待するしかない。メンバー決定まであと2ヶ月。イングリッシュやパトリック・リード、パトリック・カントレーらの熾烈な争いが続く。

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