稲見萌寧が使用するアイアン、テーラーメイド「P770」の2017年モデルと最新2020年モデルを、プロゴルファー・中村修と堀口宜篤が試打! 新旧モデルの違いを探った。

稲見が使う2017年モデルのP770と最新P770の違いは?

2021年の国内女子ツアーですでに5勝を挙げ、東京オリンピック女子ゴルフ日本代表にも内定した稲見萌寧。

クラブへのこだわりが強く契約フリーの立場でツアーを戦っている稲見だが、そんな彼女が現在使用しているアイアンはテーラーメイドの「P770」。ただし、P770といっても昨年9月に登場したニューモデルではなく、4年前の2017年に発売となった旧モデルを稲見は選択しているのだ。

画像: テーラーメイド「P770アイアン」の2020年モデル(左)と2017年モデル(右)をプロが試打!

テーラーメイド「P770アイアン」の2020年モデル(左)と2017年モデル(右)をプロが試打!

では性能にどのような違いがあるのか? さっそく、プロゴルファーの中村修と堀口宜篤に2モデルの7番を打ち比べてたしかめてもらおう。

2017年モデルのP770はどんな性能?

まずは稲見が使用している2017年モデルのP770から見てみよう。キャビティ形状を採用しており、ホーゼルとフェースを一体成型することで打感・打音をプロ好みに調整。7番で33度と、飛び系アイアンが隆盛する昨今においては、中・上級者の使用も見越したロフト設定と言えるだろう。

見た目に関しては「プロが使用するようなマッスルバックアイアンに比べると少し大きくて厚みがありますが、比較的コンパクトな見た目と言えるでしょう」と堀口。だが、バックフェースに70グラムものタングステンウェートを搭載し低重心化することで、見た目のシャープさと寛容性を両立しているというわけだ。

画像: テーラーメイド「P770」の2017年モデル(写真は7番)

テーラーメイド「P770」の2017年モデル(写真は7番)

では両者の7番アイアンでの試打結果を見てみよう。

【堀口のP770(2017年モデル)7番の試打結果】
HS37.9m/s キャリー157Y トータル164Y 打ち出し角20.3度 ボール初速49.2m/s スピン量5433回転

【中村のP770(2017年モデル)7番の試打結果】
HS37.1m/s キャリー149Y トータル157Y 打ち出し角19.3度 ボール初速48.3m/s スピン量5847回転

「きちんと打感の柔らかさがあって、球に重みがあります。ボールのコントロールもある程度できそうですね。一方で、薄い当たりだとしてもきちんと飛距離とスピンが出てくれるので、やさしさも感じるモデルです」(堀口)

中村も「2017年の発売当時にも打たせていただきましたが、スッキリした見た目ですがトップブレードがやや厚いぶんやさしさも感じられるモデルですよね。中・上級者が好む見た目とやさしさを備えつつ、飛距離やスピン量に関しても非常にバランスの取れたアイアンと言えるでしょう」と評価した。

寛容性がさらに高まった2020年モデルのP770

では2020年モデルのP770はどう進化しているのか。まず大きな変化として挙げられるのが構造の違い。バックフェースを見るとマッスルバックのように見えるが、実は中空構造。ヘッド内部に46.5グラム(6、7番の場合)を採用しており、さらに低重心化し寛容性を高めた設計となっている。

また、フェースの素材がクロモリ鋼になったことも大きな違い。これによって飛距離性能もさらに高めつつ、ヘッド内部に充填剤を入れることで打感・打音も向上。ソールには貫通型スピードポケットを採用し、フェース下部でのヒット時の反発力も高まっている。

飛距離性能と寛容性がさらに高まった感のある2020年モデルだが、その一方で構えた際の見た目に関しては「2017年モデルとほぼ同様。若干厚みが増したかな? 程度でスッキリとした顔つきと言って良いです」と堀口。また、ロフトに関しても7番で33度と、2017年モデルと同じ設定だ。

では試打結果にどのような違いが生まれるのか、両者が7番を打った際のデータを見てみよう。

【堀口のP770(2020年モデル)7番の試打結果】
HS37.7m/s キャリー164Y トータル175.3Y 打ち出し角20.6度 ボール初速51.2m/s スピン量5054.7回転

【中村のP770(2020年モデル)7番の試打結果】
HS37.3m/s キャリー159Y トータル168Y 打ち出し角20.4度 ボール初速50.3m/s スピン量5164回転

画像: テーラーメイド「P770」の2020年モデル(写真は7番)

テーラーメイド「P770」の2020年モデル(写真は7番)

「中空になったことでスイートエリアが広くなり、寛容性が高まっています。思ったほどの硬さは感じませんが、旧モデルよりは弾き感がありますね」(中村)

堀口も「弾き感が強くなり、飛距離が伸びたぶんスピン量はわずかに減少しています」と評価。実際、両者の試打データを見てみても、ロフトは2017年モデルと同じだが飛距離は伸び、スピン量が低下していることがわかる。

まとめると、2020年モデルのP770は、フェース素材とヘッド構造の違いで飛距離と寛容性が増しつつ、フォルムは2017年モデルを踏襲したシャープさを維持。しかしそのぶんスピン量がわずかに低下しているというのが二人の評価。

「とくにスピン量の低下が、稲見選手が2017年モデルを使い続ける理由なのではないでしょうか。稲見選手の場合そもそもミスショットの頻度や度合いが少ないですしね。こうして打ち比べると性能の進化や、プロの好みがわかって面白いですね」(中村)

一方で2020年モデルのP770は稲見には合わなかったというだけで「もちろん明確なメリットがあります」と堀口。

「若干スピン量が落ちたとはいえ、僕の場合で約400回転程度。飛距離性能と寛容性が上がっているぶん、扱いやすさは向上していますよ」(堀口)

2017年と2020年、わずか3年だが性能は進化している。しかし、寛容性の高さや飛距離性能よりもスピンやコントロールを重視する、プロならではのクラブ選びの妙も見えた比較試打だった。

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