第149回全英オープンが開幕した。海沿いのリンクス、英ロイヤルセントジョージズに陽光が差し比較的穏やかなコンディションとなった初日は47人がアンダーパーをマーク。はじまったばかりの今季最後のメジャー初日の“悲喜こもごも”。

デシャンボーはフラストレーションをあろうことかクラブにぶつけてしまったが…

本命のジョン・ラーム、注目のブライソン・デシャンボー、ディフェンディングチャンピオンのシェーン・ローリーらが出遅れるなか、リーダーボードの最上段を射止めたのは今シーズン、全米オープンと全米プロで2位に入っているルイ・ウーストハウゼン。

ノーボギーの6アンダー64をマークすると「パーフェクト。ミスはひとつもなかったしショットも好調でパットも決まってくれた」と納得の笑み。全米プロで敗れた相手フィル・ミケルソンが80を叩き最下位(155位タイ)に沈んだのとは対照的だ。

1打差の2位タイにつけたジョーダン・スピースの表情も明るい。「ただ飛ばせばいいわけじゃなく頭を使って戦略的なプレーをしなくてはならない全英は自分に合っているのかも。風も吹くのでトップを抑えパンチショット気味に打っている。スウィングじゃなくショット重視のプレーをしたのが良かった。ラブリーだよ」。長かったスランプに耐え4年ぶり全英制覇に照準を合わせた。

一方、またもや騒動の火種を作ったのがデシャンボー。1オーバー71、74位タイと出遅れ「ドライバーがフェアウェイにさえいけばまったく問題なかったのに。このドライバーは“最悪”」と口走ったのだ。

画像: 海外メジャー「全英オープン」初日、1オーバー74位タイと出遅れたブライソン・デシャンボー(写真/Getty Images)

海外メジャー「全英オープン」初日、1オーバー74位タイと出遅れたブライソン・デシャンボー(写真/Getty Images)

フェアウェイヒットが4回にとどまりフラストレーションが溜まっていた彼は「(ドライバーの)フェースが好きじゃない。ミスヒットしたときいかに許容範囲に収めてくれるかをメーカーと話し合ってきたけれどファーストカットにさえ収まってくれない。これはクラブの物理的(構造的)問題」と文句が止まらない。

これには契約先(コブラ)の開発担当者も「彼がそんなバカげたことをいうなんて本当に心が痛い。まるで8歳児が駄々をこねているようだ。本人は頭に血が上っただけで本心は違うと弁解するかもしれない。だとしてもひどい話だ」と肩を落とした。

コメント直後我に返ったデシャンボーは自身のインスタで「発言を心から反省している。最悪だったのはクラブではなく自分のプレー。コブラと用具契約をして5年。本当に一生懸命サポートしてもらっている。僕にとっては家族のようなもの。発言はプロとして失格。今後は感情のコントロールも怠らずこのようなことがないようにしたい」と謝罪したが、不用意な発言で契約解除になった例もある。今後も何らかの動きがあるかもしれない。

そんな騒動の一方でこの舞台を踏めるだけで「感謝と幸せ」を感じていた選手もいる。ヨーロッパのマイナーツアーを主戦場にする27歳のニコラス・ペップルトンだ。

ゴルフだけでは食べていけず週末はスーパーのトラック運転手として生計を立て、全英へは地区予選を勝ち上がっての出場。パートナーは看護師でコロナ禍の医療従事者の姿を間近に見ているだけにこんな言葉を口にした。

「世界が大変な時期にゴルフができて、しかも全英でプレーできるなんて本当に恵まれている。全英は長い(1つのティからしかスタートしないため早朝から暗くなるまで続く)から観客も疲れただろうけどこんな僕にも見てくれるギャラリーがいた。驚いたし感動した」

5オーバー75、137位タイと予選突破は難しい状況だがぺップルトンは全英に爽やかな風を吹かせている。

画像: デシャンボーのスウィングは「左足のつま先」に注目!飛距離を伸ばす足使いのコツ youtu.be

デシャンボーのスウィングは「左足のつま先」に注目!飛距離を伸ばす足使いのコツ

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