7月29日から4日間の日程で開催される「東京オリンピック 男子ゴルフ」。日本代表として出場する松山英樹のスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

4月のマスターズを制した松山英樹

松山英樹選手は、2011年の大学生時代にマスターズにアマチュアとして出場してローアマ(最優秀アマ)を獲得してから10年後の2021年に日本人、アジア人としても悲願だったマスターズ制覇を果たし、大きな感動を分け与えてくれました。

達成感溢れる笑顔や18番グリーンで帽子を脱いでお辞儀をした早藤キャディのふるまいも非常に印象的でした。そして、メジャーチャンピオンとして自国開催のオリンピックに出場します。

昨年開催コースの霞が関CC東コースをプレーする機会に恵まれましたが、コースは2017年にファジオ親子の手によって1グリーン化され、全長も伸び、世界基準のコースに改造されていました。

グリーンには大きな起伏があり、ピン位置によって難易度を大きく変えることができ、アイアンの精度がポイントになってくるコースだと思います。世界トップクラスのアイアンショットとアプローチを持つ松山選手にとっては、その力を存分に発揮できるコースといえるのではないでしょうか。

ではスウィングを見てみましょう。画像A左の下半身の太さに支えられた安定したアドレスから、体のセンターを軸に始動していき、右股関節、右の足裏にしっかりと加重されています。画像A右で後ろに見えるゴミ箱を基準にすると、右腰とゴミ箱との距離が変わらないことから右へ流れるような動きがないことがわかります。

画像: 画像A 鍛え上げられた下半身に支えられ安定したアドレス(左)から右の足裏にしっかりと加重され、骨盤の前傾をキープしながらテークバック(右)する(写真は2021年のロケットモーゲージクラシック 写真/KJR)

画像A 鍛え上げられた下半身に支えられ安定したアドレス(左)から右の足裏にしっかりと加重され、骨盤の前傾をキープしながらテークバック(右)する(写真は2021年のロケットモーゲージクラシック 写真/KJR)

画像Bの左のトップでも右腰とゴミ箱の距離は変わらず、背中がターゲットに向き切り返しに向けて左へ踏み込む準備が整っています。直後の右の切り返しに入った画像と比較すると、クラブはほとんど動いていないのに、前傾した骨盤の角度を保ちながら下半身が先行し切り返しの動きが見られます。このトップからの切り返しの間が取れることで打ち急がず、クラブをスウィングプレーンに乗せ正確なショットを繰り出せることにつながっています。もう一つ注目すべきは、松山選手ならではの切り替えの動作で手元がターゲットとは反対方向に動くことでダウンスウィングの半径が大きくなり浅くスピン量の一定した入射角を得る動作が見て取れます。

画像: 画像B 手先を使わずに下半身から切り返すことでトップでの間がでできる。その結果、手元はターゲットと反対方向に動きダウンの半径を大きくし安定した入射角とスピン量を確保する(左)(写真は2021年のロケットモーゲージクラシック 写真/KJR)

画像B 手先を使わずに下半身から切り返すことでトップでの間がでできる。その結果、手元はターゲットと反対方向に動きダウンの半径を大きくし安定した入射角とスピン量を確保する(左)(写真は2021年のロケットモーゲージクラシック 写真/KJR)

画像Cではインパクト前後の帽子の向きが変わらない点もスウィング軸がブレずに正確なインパクトへと再現性の高さを表しています。これだけ体の厚みがあるのに柔軟性が損なわれていないところもスウィングだけでなく相当な日々のトレーニングの積み重ねてきていることがうかがえます。最高峰のPGAツアーで上位ランクで戦うには必要不可欠な体を長く維持していることは若い年齢だけでなくアスリートとして日々の積み重ねていればこそだと思います。

画像: 画像C 左右の画像で帽子の向きを比較してもスウィング軸がブレていないことが見て取れる(写真は2021年のロケットモーゲージクラシック 写真/KJR)

画像C 左右の画像で帽子の向きを比較してもスウィング軸がブレていないことが見て取れる(写真は2021年のロケットモーゲージクラシック 写真/KJR)

昨年、霞が関CCでプレーした際に同伴したメンバーから、松山選手が練習しにきて14番632ヤードのパー5で、セカンドを3Wで打ちグリーンオーバーしたというエピソードを聞きました。飛距離も含めて世界で戦い、結果を残してきた松山英樹という選手プレーを見られることは私たちにとって大きな喜びになっています。世界の舞台で戦うトッププレーヤーたちが集まるオリンピックの舞台で松山選手がどんなプレーを見せてくれるのか、29日が待ち遠しいです。

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