新商品が発表されるなか、アイアンのストロングロフト化からの揺り戻しが起きているとゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロはいう。一体なぜ?

飛び系一直線だった流れに一石が投じられた?

2021年の秋の新製品が少しずつ発表になってきた。その中で少し傾向めいた物が出たきたように感じる。アイアンのストロングロフト化からの揺り戻しだ。

もちろん、キャロウェイの「エピック マックスファスト」アイアンのように、7番のロフト角が26度という超ストロングロフトも存在する。しかし一方で、上級者向けモデルのピン「i59」やタイトリスト「T100」はロフト角34度、テーラーメイドの「P790」は前作から変わらず30.5度だ。

少し振り返ると、激飛び系として非常に人気となったヤマハの「インプレスRMX UD+2」が、2014年発売。7番のロフト角は26度だ。この「UD+2」やプロギアの「エッグ」などが、ロフト角を立てて飛距離を出すストロングロフト化に火をつけて、以降のアイアンは少しずつロフト角を立てていった経緯がある。

当初、ストロングロフト化は年配ゴルファーが多い日本メーカー特有の現象だったが、その飛距離や売れ行きなどの影響で、海外メーカーも日本向けモデルを中心に追随するようになった。この10年あまりでいえば、このストロングロフト化の流れは、日本発のテクノロジーとして海外に派生していった数少ない流行だ。

画像: タイトリストの新モデル「T100」「T200」はどちらも前作と比べてロフト角が1度寝ている

タイトリストの新モデル「T100」「T200」はどちらも前作と比べてロフト角が1度寝ている

ストロングロフトのアイアンは、単にロフトを立てたわけではなく、異素材の組み合わせと構造によって、これまでにない高さややさしさを搭載できたのが大きな功績だ。その恩恵をアイアンにも距離がほしい多くのゴルファーが感じたことで、高い人気となっていったのだ。

一方、上級者を中心にそれでは距離感が出せないと嘆くゴルファーもでてきた。軟鉄鍛造の単一素材アイアンで腕を磨いてきた上級者や道具に頼らなくても飛ぶパワーヒッターにとっては、アイアンが飛ぶことがかえってゴルフをする上でデメリットになりかねないというのは想像に難くない。

2年ぶりに新しくなったタイトリストのNEW「T」シリーズアイアンのうち、「T100」は前作「T100」のロフト角33度から34度へと一度寝かせる決断をしている。同じく「T200」は、30度から31度だ。ロフトを寝る方向に変更することが、対象ゴルファーが求める性能を実現するのに適しているという判断なのだろう。

飛距離と高さを追求してきた激飛び系アイアンの流れは、市場のアイアン全体のロフト角を少しずつ立ててきた側面がある。アスリート向けアイアンを愛用する上級者の側から少し揺り戻しが起きてきた、2021年秋の新製品を見るとそんな潮流を感じる。

これまで7番で30度未満だったアベレージゴルファー向けアイアンの一部も、今後は30〜31度くらいまで揺り戻しが起きるのではないだろうか。現代のアイアンセットは下の番手の距離差が大きくなりすぎているからだ。

画像: G710のロフト角を28→33度に!? 飛ばし屋タレント・ユージが自腹で買ったカスタムアイアンがすごい youtu.be

G710のロフト角を28→33度に!? 飛ばし屋タレント・ユージが自腹で買ったカスタムアイアンがすごい

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