米ツアーのプレーオフシーズンの最終戦「ツアー選手権」を制し、年間王者に輝いたパトリック・カントレー。彼のクラブセッティングをゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが解説する。

気に入ったものをなかなか変えないタイプだが……

今年のフェデックス年間王者に輝いたパトリック・カントレー。BMW選手権ではブライソン・デシャンボーとの壮絶なデッドヒートを制し、最終戦ツアー選手権ではハンディシステム(最終戦までのポイントランクによってハンディが付与される)の後押しもあり、ジョン・ラームを振り切った。超パワーヒッターの強豪二人を立て続けに倒し、まさに年間王者にふさわしいと言えるだろう。

アマチュア時代からエリート街道を進み、2012年のマスターズでは松山英樹を抑えてローアマになっている。プロ入り後はケガやアクシデントに苦しんだが、2019年からは毎年優勝を重ね、今季はついにビッグタイトルを手にした。そんな経歴も影響してか、カントレーのクラブ選びはオーソドックスで、ややコンサバティブな印象を受けるものだ。

ドライバーは1世代前のタイトリスト「TS3」。3Wは、3世代前の「915F」だ。タイトリストは2年に一回モデルチェンジしているので、3世代前だと6年前のモデルということになる。毎年頻繁に新製品に変更する現代のトッププロの中では、特徴ある選択と言っていいだろう。気に入らないと変えないという意思を感じるクラブ選びだ。

画像: 年間王者に輝いたパトリック・カントレー。ドライバーは1世代前のタイトリスト「TS3」を使用している(写真はGettyImages)

年間王者に輝いたパトリック・カントレー。ドライバーは1世代前のタイトリスト「TS3」を使用している(写真はGettyImages)

21度のハイブリッドも一世代前の「TS2」。そして、ここまでの3本には三菱ケミカルの「ディアマナZF」を装着している。「ZF」は2019年に発売された、「青」、「赤」、「白」に続く第4の「ディアマナ」。PGAツアーの選手は「白マナ」に代表される手元調子系シャフトを選ぶ傾向が強いが、「ZF」は、カタログ上は中元調子だが手元寄りと先端の剛性のあるシャフトで、どちらかというと飛距離を追求したモデルだ。このあたりのシャフト選びは個性が出ていて面白い。

アイアンも2世代前の「AP2 718」を使っている。やはり手に馴染んだものはあまりかえたくないのだろう。ウェッジも1世代前の「SM7」と現行モデルの「SM8」を組み合わせて使っている。

年間王者獲得の原動力となった、神技級のパッティングを生むのはスコッティ・キャメロンの「ファントム X5」(※ツアーモデル)だ。いわゆるツノ型でジャスティン・トーマスも同じではないが似た形状のパターを長く愛用している(※ショートスラントネックの「X5.5」)。PGAツアープロの使用するパターとしては、寛容性があるヘッドで、悪く言えば鈍感なタイプだ。

最近になって、サイトラインを入れたヘッドにしたところ、格段にパッティングが良くなったというが、超トップ選手でもそんな些細なことで結果に大きな違いが出るのかと驚く。

BMW選手権では、このパターでストロークゲインドパッティングが+14.6という史上最高の成績をマークした(※72ホール)。本当に身震いするほど、神がかったパッティングスキルだった。もし、このままパッティングの好調が維持できるなら、世界ランキング1位は時間の問題だろう。

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