男子の下部ツアーにあたるAbemaTVツアーで3勝を挙げ、「バンテリン東海クラシック」からレギュラーツアーへ”昇格”した久常涼(ひさつね・りょう)を始めとし、アマチュアながらレギュラーツアーで勝利した中島啓太、その翌週にAbemaTVツアーで勝利した河本力など多くの若手選手の活躍が目立つ男子ツアー。若手選手のなにが強い?ツアー9勝のプロゴルファー・佐藤信人が語る。

中島啓太がパナソニックオープンで勝った際、刻みたいホールでもあえて刻まず、ドライバーで攻め続けることを己に課していたとインタビューで語っていたが、先週からレギュラーツアーに“昇格”した久常涼も「基本は刻みません」というアグレッシブなプレーヤー。

刻まずにレギュラーで勝った中島、刻まないスタイルでレギュラー昇格を果たした久常。両者のように、「ドライバーで飛ばして短いクラブを持つスタイル」は「世界全体で主流になっている」とプロゴルファー・佐藤信人は言う。

「久常選手に限らず世界的に”刻むスタイル”より”飛ばすスタイル”を選んでいる選手が増えてきていると思います。とくに若手選手は飛距離もありますし、その強みを活かしている印象ですね。またPGAツアーに2004年以降からショットリンク(試合中の選手のショットやアプローチ、パットのデータを収集するシステム)が導入され、フェアウェイから6番アイアンで打つよりラフからピッチングウェッジで打つほうがスコアがいいと判明しています。そういったデータからも、安全に刻むよりドライバーで飛ばして、ラフからピッチングで打つという時代へ変化してきた印象ですね」

そう聞いて思い出すのは2020年のブライソン・デシャンボーが勝った全米オープンだろう。圧倒的な飛距離でラフにつかまるのも厭わず飛ばし、そこから寄せるスタイルでメジャーを制したのは記憶に新しい。そのような世界レベルのパワーゴルフの潮流が、日本にも押し寄せている。

画像: 写真左からレギュラーツアーへ昇格した久常涼、「パナソニックオープン」で勝利した中島啓太、「TIチャレンジ in 東条の森」で勝利した河本力

写真左からレギュラーツアーへ昇格した久常涼、「パナソニックオープン」で勝利した中島啓太、「TIチャレンジ in 東条の森」で勝利した河本力

また、経験がモノを言い、30歳を過ぎないと活躍するのは難しいと言われることもあった男子ツアーでハタチ前後の選手がこれだけ活躍できる背景には、飛距離だけではないある要因があると佐藤は続ける。

「SNSの発展も大きいと思います。昔はプロにならないとプロの世界の情報を知ることはできませんでしたが、今はYouTubeなどを通じてトッププロが行うメソッドをアマチュア時代から取り入れることができます。これはコーチングスキルの向上にもつながるため、コーチのレベルアップにもつながり、それが選手のレベルアップにもつながっています」

最新の機器を用いたデータに基づくメソッドやなど最新・最先端の情報は多くがYouTubeなどで公開されている。そうした最先端の知識を習得したコーチたちがそれを若手選手たちに伝えることで、以前とは異なるスピードでのスキルアップを実現している。10代の早い段階から、世界最先端のレッスンに触れることはインターネットを介して可能になっている。いわばゴルフ界のデジタルネイティブとも言える。

さらに佐藤は3つ目の要素として“志”を挙げる。

「若手選手は世界で活躍したいというプレーヤーが多く、モチベーションも世界基準に考えています。ナショナルチーム出身の若手を中心に志(こころざし)の高い選手が多く、見ていて面白いですよね。今後も希望に満ちあるれている若手選手が男子ツアーを盛り上げてくれるのではないでしょうか」

久常涼19歳。河本力と中島啓太は21歳。中島に先んじてアマチュア優勝を果たした金谷拓実(23歳)もいる。男子ツアーに、確実に“新しい波”が押し寄せている。

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