PGAツアー「CJカップ@サミット」でリッキー・ファウラーが久々に優勝争いを演じた。勝てなくなっておよそ2年半。優勝はロリー・マキロイに譲ったが3位タイでフィニッシュ。トップ10入りは昨年の全米プロ以来だった。ここ数年苦しんだファウラーはこの1戦を機にスランプから脱出することはできるのだろうか?

「かつて自分が優勝争いをしていた頃の感覚を思い出した」

昨シーズンはポイントランクトップ125入りを逃しデビュー以来初めてプレーオフに進出できなかった。2019年のウェイストマネジメント・フェニックスオープンで通算5勝目を飾った時には世界ランク8位だったがCJカップの前は128位。昨季はマスターズにも全米オープンにも出場ならず。マスターズは怪我で療養中のタイガーと一緒にテレビ観戦していた。

すでに若手ではなくなった32歳だがゴルフ界でもっとも人気のある選手のひとりであることに変わりはない。そんな彼は主催者推薦で出場したCJカップの3日目に9つのバーディを奪う猛攻で単独トップに躍り出た。その瞬間おそらく全米だけではなく全世界の人々がファウラーの応援に回ったに違いない。

画像: PGAツアー「CJカップ@サミット」で3位タイフィニッシュと復活の兆しを見せたリッキー・ファウラー(写真/Getty Images)

PGAツアー「CJカップ@サミット」で3位タイフィニッシュと復活の兆しを見せたリッキー・ファウラー(写真/Getty Images)

「バック9をプレーしながらかつて自分が優勝争いをしていた頃の感覚を思い出した」といったファウラー。

しかし最終日は前半のパー5でダブルボギーを叩くなどペースをつかめず1アンダー71止まりで勝ったマキロイに3打差の3位タイに終わった。それでもかつての感覚を取り戻したことに意味がある。

長髪をなびかせ大学のチームカラー、オレンジを身につけ颯爽とツアーに登場したのが2009年。デビュー当初から上位を賑わしあっという間にスターダムにのし上がった。人気の割に勝星が少ないといわれながら2015年には第5のメジャー、プレーヤーズ選手権に優勝。

当時をテレビ解説でお馴染みのニック・ファルドが振り返る。「6年前、選手間でもっとも過大評価されているのは誰かという投票があったんです。で、ファウラーが選ばれた。その結果に奮起して翌週のプレーヤーズで勝った。数年たって可もなく不可もない状況になったとき大好きな彼にこう言ったんです。“ちょっと辛辣なことを言わないと本領発揮できないのかな”ってね。そしたら彼は“どんどん言ってください”と」。

ファウラーがマスターズ出場を逃したときファルドは叱咤激励の意味も込め「その週休めば何本もコマーシャルが撮れる」と皮肉った。

長年コーチを務めていたブッチ・ハーモンはかつてファウラーに「(リアリティショーで人気の)カーダシアンになりたいのか? それとも強いプロになりたいのか?」と尋ねたことがあるという。「そのとき彼は気分を害していた」。

実際彼は多くの企業とスポンサー契約を結んでおり、クライアントとのゴルフイベントを年間25日から30日こなさなければならない。人気と引き換えに貴重な時間を犠牲にしてきたのだ。

調子を落としたここ2年「スウィングのことばかり考えすぎてしまった」と本人。結果が出ないことでメンタルも壊れかけていたという。それを立て直すにはある程度の結果が必要だ。昨季はついにスタートアナウンサーに「リッキー・フラワー」とコール(紹介)されるなど奮発材料は山ほどある。

次週もやはり主催者推薦でZOZOチャンピオンシップへの出場が決まっている。ミドルネームが“ユタカ”(日系)なのになかなか来日してくれなかった彼が祖父の故郷でどんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。

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