寒い季節のラウンドでは、乾いた強い風がプレーの難敵。なぜ冬の風は強いのか、そして対策法は? プロゴルファー・大谷奈千代に教えてもらおう。

急に寒くなりましたね! みなさんの町には木枯らしはやってきましたか? 木枯らしは、秋(10月半ば)から冬(11月の末頃)への季節の変わり目に吹く風のことをいいます。低気圧と高気圧が交互に通過しながら西高東低の冬型の気圧配置に変わるとき、初めて北のほうから吹いてくる最大風速8m/s以上の乾いた強い風は木枯らし1号と呼ばれ、冬の到来を告げる季節風の先陣です。

ではなぜ寒い季節には強い風が吹くのでしょうか。まずは仕組みを知っておきましょう。

そもそも風とは気圧が高いところから低いところに空気が流れる現象のことです。空気は水と同じように、気圧が高い所から低い所に流れる性質があり、その「空気の流れ」が風となるわけです。

画像: 冬の強い風は西高東低の気圧配置によって発生する

冬の強い風は西高東低の気圧配置によって発生する

そして寒い季節に強い風が吹くのは「西高東低」と呼ばれる、西に高気圧、東に低気圧がある冬型の気圧配置の影響です。

シベリア高気圧はシベリア地方に中心をもつ冷たい空気でできた背の低い高気圧です。ユーラシア大陸でシベリア高気圧が発生し、日本海上空を通過するときに海から蒸発した大量の水分を吸収した湿った冷たい空気が吹いてきます。その風が日本列島の真ん中にある山脈にぶつかって上昇して、冷やされることで、日本海側で雨や雪を降らせます。そして、湿り気のなくなった冷たい空気が山を越えるため、太平洋側では乾いた冷たい風が吹きます。これが木枯らしの吹く仕組みなのです。

さらに言うと、空気の温度が変化しても空気自体の重さは変わりませんが、温度が低下すると密度が大きくなり、圧縮されて重くなるという特徴があります。これはお風呂を沸かしたとき、熱くなったお湯は上に行き、冷たい水は下に集まるのと同じことなのです。

画像: 空気は寒いと密度が大きくなり重たくなる。すると風の影響も強くなってしまう。ラウンドの際は方角を把握して北風がどこから吹くのかチェックしておこう

空気は寒いと密度が大きくなり重たくなる。すると風の影響も強くなってしまう。ラウンドの際は方角を把握して北風がどこから吹くのかチェックしておこう

よって寒い時期の北風は冷たく重たくなり、ボールが飛ばなくなるわけです。なので寒い時期のゴルフでは、冬の気圧配置を予習して高気圧から低気圧にかけて流れる北風をイメージしておくことが大切です。

まずはコース全体の東西南北を把握しておきましょう。スコアカードにコース全体の地図が書いてることがあります。Googleマップなどでもコース全体をチェックすることができますので、一度コース全体を見てみましょう!

また、みなさんは自分のベストショットの距離のイメージを持ってコースでプレーされていると思いますが、とにかく北風は重たいので状況判断に注意して下さい! 暖かいインドアで練習された状態でのキャリーの飛距離ほど、実際のコースではボールが飛ばないことが起こるので注意です。

画像: 冷たく重い冬の風が吹いていると、飛距離は暖かい時期と比べて落ちてしまう。クラブの番手を上げることで対応しよう

冷たく重い冬の風が吹いていると、飛距離は暖かい時期と比べて落ちてしまう。クラブの番手を上げることで対応しよう

また、冬のショートホールで良くある状況判断のミスは、夏の暖かい時期と同じ番手を選んでいることが原因である場合が多いです。「ナイスショットだったのに思ったより飛ばなくてバンカーに入っちゃった……」なんて方は、飛ばなかったからといって落ち込んだり、次のショットで力む必要はまったくありません。選択するクラブの番手を上げることで対応しましょう。北風の向かい風(アゲンスト)はもっとも飛ばない条件ですから、さらにクラブの番手を上げるようにしてくださいね。

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