賞金女王が決まる国内女子ツアー最終戦「JLPGAツアー選手権リコー杯」の会場で見た女子プロたちの連絡法をプロゴルファー・中村修が解説。

40名の限られた女子プロゴルファーしか出場できない最終戦の「JLPGAツアー選手権リコー杯」は、通常なら1年間、今年に限っては2年間で活躍した選手を一同に見られるスペシャルな大会です。しかし、稲見萌寧と古江彩佳選手の賞金女王争いは最終日まで持ち越されていますし、賞金ランクやメルセデスランキングで上位の成績であっても西郷真央、野澤真央選手らは初優勝をかけて臨んでいます。

普段のツアー会場では練習場や練習グリーンではさまざまな工夫を凝らした練習法が見られますが、今大会でも同じように見られたのでいくつか紹介します。

まずは賞金女王に最も近い稲見萌寧選手。ウォーミングアップを兼ねてシャフト部分が柔らかい素材の練習器具で素振りします。こういった柔らかいシャフトの効果は、体を動かす順序と連動性を高めスウィングのタイミングを整えシャフトをしならせる感覚もつかめます。グリップを強く握り過ぎてしまう人やリリースが早くダフりやトップのミスが多い人にはオススメできる練習法です。原英莉花選手も同じような柔らかい素材の練習器具を振っていますね。

画像: シャフト部分が柔らかい素材の練習器具を使いウオーミングアップを兼ねて素振りをする稲見萌寧(写真は2021年のJLPGAツアー選手権リコー杯)

シャフト部分が柔らかい素材の練習器具を使いウオーミングアップを兼ねて素振りをする稲見萌寧(写真は2021年のJLPGAツアー選手権リコー杯)

この後、右手、左手の片手打ちで感触を確かめたあと、実際に打つボールの右上と左下にボールを置き、右手前にはティーを差しクラブヘッドの軌道を整えるショット練習へと進むのが稲見選手の練習パターンになっています。

画像: 実際に打つボールの前後にボールを置き、手前にはティを刺しヘッドの軌道を整える(写真は2021年のJLPGAツアー選手権リコー杯)

実際に打つボールの前後にボールを置き、手前にはティを刺しヘッドの軌道を整える(写真は2021年のJLPGAツアー選手権リコー杯)

続いて上田桃子選手は、バランスボールを両ひざで挟みながらショットをします。このドリルは下半身の使い方とスウィング軸の意識など体をどう使ってスウィングするかを教えてくれます。左右に動き過ぎたりインパクトで腰が伸びて起き上がってしまう人にはとくにオススメできるドリルです。屋外の打ちっぱなし練習場では恥ずかしくてもインドア練習場や自宅であれば試すことはできそうですね。

画像: バランスボールを両ひざで挟み下半身の動きを確かめる上田桃子(写真は2021年のJLPGAツアー選手権リコー杯)

バランスボールを両ひざで挟み下半身の動きを確かめる上田桃子(写真は2021年のJLPGAツアー選手権リコー杯)

最後にパッティング練習をひとつ紹介します。パッティングの名手である鈴木愛をはじめたくさんの選手がスティックを使って練習しています。

スティックを2本並べた間にボールを置き、その50センチくらい先に刺したティーに当てています。スティックに沿って真っすぐストロークするというよりは出球の方向を安定させるためとセットアップでフェース向きとスティックがスクェアになることで、ラインに対して目線や体の向きを正しく構えることを狙っての練習法です。練習用のパターマットに2本線がプリントされているものが市販されていますが、それと同じような効果が期待できますね。

もうひとつの効果は、スティックの上をストロークすることになるのでインパクト前後は地面から一定の高さを動かすことが体感できます。入射角と打点を安定させる効果も大きいと思います。

画像: 2本並べたスティックの間にボールを置き、その先50センチに刺したティぶボールを当てる鈴木愛(写真は2021年のJLPGAツアー選手権リコー杯)

2本並べたスティックの間にボールを置き、その先50センチに刺したティぶボールを当てる鈴木愛(写真は2021年のJLPGAツアー選手権リコー杯)

4つの練習法を紹介しましたが、キャリアを積む中で続けている練習法なので基本や基準にしている練習法だとなんだと思います。連戦で知らず知らずのうちにズレてくる感覚を戻したり、ストロークやスウィングを安定させる狙いが見て取れます。真似できるものもありますので試してみてはいかがだろうか。

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