アマチュアゴルファー最大の悩み、ドライバーのスライスといっても左から右、真っすぐから右、右から右へと曲がり方は千差万別。間違った修正でドツボにハマらないよう、ミスの傾向からそのメカニズムの分析と改善法をプロゴルファー、フィッター、トラックマンマスターという三刀流の小島慶太プロに教えてもらった。

スライスでも曲がり方の違いで軌道も違う

ドライバーのスライスで悩んでいるといっても、ミスの傾向がどんな弾道なのかによってメカニズムも改善法も大きく異なると小島慶太プロ。小島はプロテスト合格後にツアー参戦したあとティーチングプロ資格、トラックマンマスター、TPIレベル3、タイトリストフィッテイングマスターなどスウィング面と計測器、フィッテイングまでの幅広い資格を取得した異色のプロ。ここではスライスの中でも代表的な、左に出て右へと曲がる弾道のスライスを例にとってそのメカニズムと改善法を教えてもらおう。

画像: レギュラーツアーに参戦経験もあり、ティーチングプロ、TPIレベル3、トラックマンマスターとタイトリストフィッテイングマスターの資格を持つ三刀流プロの小島慶太

レギュラーツアーに参戦経験もあり、ティーチングプロ、TPIレベル3、トラックマンマスターとタイトリストフィッテイングマスターの資格を持つ三刀流プロの小島慶太

まず小島に代表的なスライスの弾道を打ってもらいトラックマンで計測した画面を元に解説してもらった。画像Aを見ると、ヘッドスピードは43.3m/sに対してキャリー207.2ヤードと飛距離は出ていない。スピン量は3452rpmと理想値よりも約1000回転程多く、入射角は‐3.1度とダウンブローになっていることが見て取れる。

画像: 画像A ターゲットよりも左に出て右に曲がる弾道でヘッドスピードの割には飛距離が出ないタイプのトラックマン計測画面。ここで小島が注目するのは「スウィングダイレクション」と「入射角」

画像A ターゲットよりも左に出て右に曲がる弾道でヘッドスピードの割には飛距離が出ないタイプのトラックマン計測画面。ここで小島が注目するのは「スウィングダイレクション」と「入射角」

ここでこのスウィングのメカニズムを解析してもらうと、注目すべき数値は「スウィングダイレクション」と「入射角」(画像A丸印)とだと小島。

「『スウィングダイレクション』とは、クラブの最下点を基点にスウィングの面をフラフープとして考えた数値です。マイナスだとその面は左に向くアウトサイドイン、プラスだとインサイドアウトの面で振っていることが確認できます。ここでは『-13.4』と表示されているのでスウィングの面はターゲットラインに対してかなり左を向いていることが確認できます。この『スウィングダイレクション』と『入射角』を合わせた数値が『クラブパス』になるので、『-3.1』と表示されているダウンブローの入射角を改善することと『クラブパス』を改善することをやっていきましょう」(小島)

「クラブパス」は「入射角」の影響を受ける数値で、「スウィングダイレクション」から「入射角」を引いたものになる。そこでまずは「入射角」を改善すれば「スウィングダイレクション」、「クラブパス」も改善されるというのが、トラックマンマスターの資格を保持する小島の意見だ。

画像Bはクラブ軌道、入射角、インパクト時のフェースの向きがわかりやすく視覚化されている画面だ。これを見てもクラブの軌道はターゲットラインに対して10.5度アウトサイドインのカット軌道でインパクト時のフェースの向きは6.5度左を向いていることから、打ち出し方向はターゲットよりも左、入射角が-3.1とダウンブローに入っていることで、インパクト時の17.8度に入射角の3.1度ダウンブローが足されて21.4度というスピン量に影響を及ぼす「スピンロフト」がついてしまうことで3452rpmというスピン量の多さにつながっていることが見て取れる。

画像: 画像B クラブ軌道はアウトサイドインでインパクト時のフェースの向きは6.5度左に向いていることから打出し方向はターゲットよりも左になり、入射角は3.1度ダウンブローでインパクト時のロフトは17.8度のためスピン量は3452rpmと多くなっている

画像B クラブ軌道はアウトサイドインでインパクト時のフェースの向きは6.5度左に向いていることから打出し方向はターゲットよりも左になり、入射角は3.1度ダウンブローでインパクト時のロフトは17.8度のためスピン量は3452rpmと多くなっている

では左へ出て右に曲がる弾道でトラックマンの分析から導いた入射角を改善する修正を教えてもらおう。

「スウィングの観点からいうと、このような打ち方になる人は、手元やクラブが高い位置から入り右サイドがかぶってく来るタイプのスウィングでリリースも早めになります」

トラックマンで計測すると画像AやBのような数値になっている場合、ダウンスウィングでシャフトが右肩よりも高い位置から下りて来ていて、正面からの画像では左腕とシャフトで作る角度が解けてしまっているケースが多いと小島。

画像: 画像C 左に出て右に曲がりスピン量が多く飛距離が出ない弾道のタイプは、スマホで動画を撮ってみると後方からの画像ではダウンスウィングでシャフトは右肩よりも高い位置から下りて来て、正面から見ると左腕とクラブの作る角度はほどけ気味の傾向がある

画像C 左に出て右に曲がりスピン量が多く飛距離が出ない弾道のタイプは、スマホで動画を撮ってみると後方からの画像ではダウンスウィングでシャフトは右肩よりも高い位置から下りて来て、正面から見ると左腕とクラブの作る角度はほどけ気味の傾向がある

では、ポイントとなる入射角を改善するする方法を教えてもらおう。

「一番最初にチェックして欲しいところはアドレスです。アイアンと同じようなアドレスを取ってしまうとティーアップしたボールを打つには適していないのでダウンブローでに入りやすくなってしまいます。正しい構えは、右手が左手よりも下にある分だけ右肩が下がり、頭の位置もボールよりも右側になるようにセットしてください」

大手外国ブランドで10年間のフィッター経験から、入射角がダウンブローに入っているゴルファーの多くはドライバーのアドレスが崩れている人が多いと小島。地面にあるボールを打つアイアンとティーアップされたボールを打つドライバーではアドレスの構え方をしっかりと変える意識が必要だという。

「このアドレスの構え方を修正するだけで入射角はダウンブローの人はレベルに。レベルの人はアッパー軌道に変わります。そうすると『スウィングダイレクション』もアウトサイドインの割合が少なくなり、スピン量が少なくなり曲がりの幅や飛距離を伸ばすことにつながっていきます」

画像: 画像D ボールの真上に頭を置き、右肩が左肩と同じ高さになるのではなく、右肩が下がり頭もボールよりも右側にセットする構えを取ることでダウンブローの入射角を改善できる

画像D ボールの真上に頭を置き、右肩が左肩と同じ高さになるのではなく、右肩が下がり頭もボールよりも右側にセットする構えを取ることでダウンブローの入射角を改善できる

アドレスを改善したら、「スウィングダイレクション」の改善だ。今までの右肩が高い位置から打っていた体の使い方のアウトサイドイン軌道から正しい感覚を体感できるドリルを教えてもらった。その名も「メリーゴーランド・ドリル」だ。

両腕を十字にしてクラブを胸の前でセットして、ヘッドを体の右側にはみ出すように構える。そこからテークバック、ダウンスウィングと体を動かすと腕の動きに捉われずに体の動きにフォーカスできるというもの(画像E)。

「このドリルは前傾した姿勢に合わせた上半身や肩の回転を意識することができます。入射角がダウンブローの人にとっては右肩が下がりダフリそうな感覚を持つと思いますが、それこそが骨盤から前傾した姿勢に対して体を回す正しい感覚です。この感覚をつかむと『スウィングダイレクション』の方向がアウトサイドインからストレートへと改善されていきます」

画像: 画像E  胸の前で腕を十字にしてクラブヘッドを体の右側にはみ出すように持つ。そこからテークバック、インパクトと体を動かすことで腕の動きに捉われず正しい体の動きにフォーカスできる

画像E  胸の前で腕を十字にしてクラブヘッドを体の右側にはみ出すように持つ。そこからテークバック、インパクトと体を動かすことで腕の動きに捉われず正しい体の動きにフォーカスできる

ドライバーに適したアドレスで構え、メリーゴーランドドリルで体の使い方をつかめば入射角と「スウィングダイレクション」が改善し、スライスからフェードになってくるというのが小島の教えてくれた改善法だ。このタイプの弾道に心当たりあるゴルファーは試してみてはいかがだろうか。

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