プロキャディに2021年を振り返ってもらう年末年始企画。その第2弾はプロキャディとして通算39勝を誇る”ノリさん”こと清水重憲キャディ。21年の印象に残った試合を振り返ったインタビューをお届け。

清水重憲キャディといえば、田中秀道のキャディとしても知られ、谷口徹の賞金王、上田桃子の賞金女王を支え男女二冠キャディを達成した名キャディのひとり。全盛期のイ・ボミのキャディも務め積み重ねた勝利数はなんと39勝と最多勝利数を誇る。その清水キャディに21年を振り返ってもらうと、印象に残ったのは「勝つのはやっぱり難しい」と感じた年であり自身2年半ぶりの勝利となった「マスターズGCレディース」だという。

画像: 清水重憲キャディにとって2年半ぶりの勝利となった古江彩佳とタッグを組んだ「マスターズGCレディース」(写真は2021年のマスターズGCレディース 写真/岡沢裕行)

清水重憲キャディにとって2年半ぶりの勝利となった古江彩佳とタッグを組んだ「マスターズGCレディース」(写真は2021年のマスターズGCレディース 写真/岡沢裕行)

「いいときは当たり前のように勝っていましたのでこんなに優勝って大変だったかなと思いました。勝てないかなという状況でも勝てたり、筋書き通りに勝てたパターンも多かったですし、なぜ優勝できたのかというような勝ちもありました。野球の野村監督がいう『勝ちに不思議な勝ちあり』というのもありました。でも今年は勝つことが本当に大変でした」

前半戦で優勝争いをした試合もあったものの勝ち切ることができずにいた清水キャディ。最多勝利数を誇る名キャディであっても、21年は勝てないのかなと考えていたと振り返る。そして前週の「富士通レディース」で勝みなみとの3ホールのプレーオフを制して乗り込んでいた古江彩佳とのタッグで2年半ぶりの勝利を手にした。

古江彩佳は「富士通レディース」から2週連続優勝を果たし、3位タイ、優勝と4週間で一気に賞金を積み重ね、最終戦まで稲見萌寧との賞金女王争いを演じていた。その古江の強さはどんなところにあるのか聞いてみた。

「いちばんはボギーが少ないところです。それは崩れる要素が少ないことになりますしね。そのためにはパーオンも大切ですが最終的にはショートゲームになってくる。パーオンしなくても寄せる、寄らなくてもパットを決めるという、ボギーを打たない選手が強い選手なんだと思います」

バーディ、バーディと攻めるゴルフも大切だが極力ボギーを打たないこともスコアメイクには重要だと清水キャディは説く。古江彩佳のスタッツを見てみるとパーオン率は20位だが、1ラウンドの平均パット数は3位、パーセーブ率2位、リカバリー率3位とショートゲームが高いレベルにあることを示している。そして9月半ばの「住友生命レディス東海クラシック」の第2ラウンドから11月末の最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップ」の第1ラウンドまで32ラウンド連続でパープレー以下でプレー。賞金女王を逃しはしたがメルセデス・ランキング1位に輝いたことも古江の強さを物語っている。

古江と最後まで賞金女王を争った稲見萌寧のキャディも務めた清水キャディに、両者の共通する点と異なる点を聞いてみると、

「二人に共通するのはボギーの少なさと練習量の多さ。最終戦が終わったら休みたいと思うのが普通ですが、古江選手は米女子ツアーのQTに挑戦し、稲見選手は練習とレーニングを続けています。異なる点は、稲見選手のほうが少しドライバーの飛距離は出ます。でもアイアンは古江選手のほうが飛ばせるんです。アイアンの飛距離を抑えながらコントロールするのが稲見選手のスタイルです。例えば番手間の距離になったときに大きめの番手を持つのが稲見選手で、小さめのクラブでしっかり打っていくのが古江選手です」

賞金ランク上位2名がそれほど飛ばし屋ではなかったのもシーズンを象徴するものでもあったが、飛距離が伸びている選手も多くいるという。原英莉花のキャディを務めた際に590ヤードのパー5を2オンしたことには驚いたという。

「大東建託(大東建託・いい部屋ネットレディス)の14番のパー5でフロントエッジまで270ヤードを狙って乗せたんです。打ち下ろしでフォローではありましたが結果的に打ち込むことになってしまいまい、今年すごく驚いたことのひとつでした」

黄金世代(1998年生まれ)の活躍が騒がれていたものの、あっという間にその下の世代がツアーをけん引することにも驚いているという。2022年は2021年のプロテストに合格し、QTで上位に入って来季のレギュラーツアーにデビューするルーキーも多く存在し、世代交代の波はさらに若い世代へと波及していくだろう。

「稲見選手は黄金世代の1学年下、古江選手は2学年下、西郷真央選手3学年下の世代になりますが、入れ替わりが早すぎて驚きしかないです。学ぶスピードが速いですし成長も驚くほど速いのが特徴的ですね」

続いて8試合でキャディを務めた男子ツアーについて振り返ってもらった。堀川未来夢のキャディを5試合と片山晋呉で3試合務めたが、男子ツアーも新しい選手が続々と入ってきているという印象だと話す。

「外国勢が入国できなかったこともありシード入りした若い選手も多かったと思いますが、パワーのある若い選手が増えてきていますよね。300ヤードは当たり前の世界になって来ていますし、技術も上がっています。昔は越えなかったバンカーを越えてきていますし、男子はすごく難しいコースセッティングでプレーしています」

片岡尚之、石坂友宏、久常涼など20-21シーズンで活躍しシード入りした若手選手に来季の活躍を期待しながらも、自身もキャディとして出場したことのあるマスターズを制した松山英樹に改めて感動したという。

「2008年にオーガスタに行かせてもらいました。ここで日本人が勝てる日が来るのかな、と思いましたが松山英樹選手がマスターズで優勝してくれて本当に感動しました。アップダウンがかなりあって傾斜地からのショットを成功させるには体の大きさも影響してくると思います。全英オープンや全米プロとか比較的フラットなコースで日本人が活躍するのは想像できましたが、オーガスタに限ってはやはり体の大きさやパワーが必要だと思うので。そういう意味では中島啓太君も期待できる選手のひとりですね」

2022年の男女ツアーでも、プロキャディは選手と一緒になって忘れられないドラマを演出してくれることだろう。

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