近年、急速に弾道計測器が普及したことで、飛距離はもちろんのこと、ゴルファーはボール初速やミート率、打ち出し角など多くの指標を確認できるようになった。中でもクラブ選びで注目したいのはバックスピン量だという。

バックスピン量は、文字通りフライト時のボールのスピン量を計測するもので、一般的には毎分何回転するかで測定される。スピン量が多いほど、ボールは揚力を得ることができるので、ボールフライトの後半でボールがなかなか失速せずに飛ぶ力が働く。

であれば、スピン量が多いほど飛びそうな感じもするが、スピンが増えすぎるとボールフライトの後半で上がりすぎて前に飛ばなくなる現象、いわゆる吹け上がりが起きる。そのため現代のドライバーは、飛距離性能を高めるため、より低スピン性能を高めているものが多い。もっともスピンが減りすぎると揚力が不足して、ボールが失速してしまうので、適度なスピン量が必要になる。

飛距離を決める3要素としてよく知られているのは、「ボール初速」「打ち出し角」「バックスピン量」だ。そのうち打ち出し角とスピン量は関連性があって、スピン量が多くなると打ち出し角は低くなり、最高到達点は高くなるという傾向があるが、ボール特性やクラブ軌道、フェース向きなどの兼ね合いで、そのとおりにはならないことも多い。打ち出し角が高いとスピン量が多く、打ち出し角が低いとスピン量が少ないと感じている人も少なくないだろう。

画像: テーラーメイド「ステルス PLUS」(左)とキャロウェイ「ローグ ST MAX LS」(右)どちらも低スピン性能で飛ぶというが……

テーラーメイド「ステルス PLUS」(左)とキャロウェイ「ローグ ST MAX LS」(右)どちらも低スピン性能で飛ぶというが……

「ボール初速」は速いほうがよく、「打ち出し角」と「バックスピン量」は適正値になると、飛ぶと言われている。ヘッドスピードで適正値は変わり、遅いと打ち出し角は高めでスピン量も多めのほうが、キャリーが出せて飛ばせる可能性が高くなる。逆に、ヘッドスピードの速い人は打ち出し角が低めでスピン量が少なめのほうが飛距離は出せる。一般的には、打ち出し角は12〜14度、バックスピン量は2200〜2400rpmくらいが適正と言われていることが多い。

では、プロゴルファーはみんなそのくらいの適正値で打っているかというと、そうではないのが面白い。プロはそれぞれ自分の求める弾道があり、人によっては適正値と呼ばれている数字から、かけ離れた弾道のプロも少なくない。

例えば、かつてはバックスピン量が3000rpm近い多めのスピン量を好む男子プロが多かった。よりスピンの入った安定した弾道を求めるからだろう。新しいクラブに換えたら低スピンとなり飛距離が伸びたと喜んでいたものの、数ヶ月経つとまたバックスピン量が増えていたという話もある。つまり、そのプロは自分の弾道イメージに沿うように、よりスピンの入るスウィングに変わってしまっていたのだ。

逆に、より飛距離を出すために、高打ち出し角と2000rpm以下の低スピン弾道で飛距離を稼ぐ女子プロも増えてきている。安定感は落ちるきらいはあるが、最大飛距離を出せる可能性は高い。つまり、好ましい打ち出し角とスピン量の目安はあるものの、実際にはそのプレーヤーがどんな球を打ちたいのかで、適正な打ち出し角とスピン量は変わるということだ。計測器を用いたクラブフィッティングでは、計測上の飛距離アップを求めがちなので、そのあたりのことも考慮に入れておくといいだろう。

画像: 2022年、ドライバー選びを成功させるポイントはロフト角。いままで以上に気にしなければならない

2022年、ドライバー選びを成功させるポイントはロフト角。いままで以上に気にしなければならない

2022年モデルは、より低スピン性能の高いドライバーが増えていると感じる。これは流行めいたものもあって、低スピン化が進みすぎると少し揺り戻しがあって、翌年のモデルは少しスピン量が多かったりするのだが、5年ないし10年くらいのスパンで見ると、ドライバーの低スピン化は大きく進んでいる。低スピンになることが、ドライバーの進化の大きな要素だったのだ。

その意味では、低スピン化=性能向上といっていいのだが、実際にゴルファーが使う段になると、適正なスピン量を得ることが重要になる。今季の低スピン性能が高いドライバーを選ぶときは、ロフト角やシャフトの選定でそれらを確保することを意識したいところだ。

画像: ピンの新製品「i525」アイアンをトラックマンで計測試打!コントロールできる「ちょい飛び」系だ! youtu.be

ピンの新製品「i525」アイアンをトラックマンで計測試打!コントロールできる「ちょい飛び」系だ!

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