「もっこす」とは肥後もっこすのことで熊本県の男性の気質を表すときに使われる。正義感が強く、曲がったことが大嫌い。その言葉がぴったりなクラブデザイナー、マスダゴルフ主宰・増田雄二がゴルファーの悩みに今日も答えます!

(質問)
ドライバーがとにかく苦手で、ティーショットがまとまらずスコアを崩しています。できるだけ寛容性の高いやさしいドライバーを使っていますが、それでも上手くいきません(長野県 32歳 平均スコア96)

担当記者(※以下GD):ここ数年は、大型の慣性モーメントを実現して、打点のブレへの強さや直進性の高さなどをアピールするドライバーが増えました。それだけゴルファーは、ドライバーに苦労しているということでしょうね。

増田:ヘッドを大きくすればするほど、やさしくなると思っている人が多いですね。たしかに、テニスのデカラケットのように大きくなれば打面も広くなり、それだけ当たりやすくなります。曲がりにくさや打点のブレへの強さがあるのもそのとおりです。

しかし、大きなドライバーが扱いやすいかというと、そんなことはないんです。むしろ小さいヘッドのほうが振りやすくなるはずです。これは、たとえばパーシモンとか昔のメタルドライバーのように、実際に小さなヘッドを振ってみて体感していただきたいですね。

当たるか当たらないか、前に飛ぶかどうかはひとまず別として、振りやすさということだけで比較すると、小さいヘッドのほうが振りやすくなります。重心距離が短くて、操作がしやすくなるためです。

画像: 重心距離が長く、重心深度が深い大型ヘッドのドライバーは芯を外した場合、寛容性は高いが、小さいヘッドのドライバー(下段)と比べると振りにくい

重心距離が長く、重心深度が深い大型ヘッドのドライバーは芯を外した場合、寛容性は高いが、小さいヘッドのドライバー(下段)と比べると振りにくい

GD:ということは、昨今の深重心化による大慣性モーメントのドライバーは、振りにくくて扱いにくいということですか。

増田:現在のドライバーは、ほとんどが大慣性モーメントで大きなヘッドでしょう? それだけいろんなメリットがあるからだと思います。だから、その深い重心を上手くコントロールして、使いこなすことが必要ですね。

たとえば、構えたときの投影面積が大きくて、重心距離が長く、重心深度が深いドライバーだと、積極的にフェースローテーションを使ってドローを打つ、ようなイメージはもちにくくなります。使い方をマッチさせないといけません。

この点は、設計の時点でもいろいろと考えることです。大きくしてミスに寛容にしたり、振りやすくして自分でボールをつかまえやすくしたり、想定するユーザーのことを考えて、好ましい性能にしていきます。

GD:“やさしい”という言葉には、本来は振りやすいことも含まれていてもよさそうですが、実際には寛容性が大きいことを指す場合がほとんどですね。

増田:だから大きくするのもほどほどにしておかないと、クラブをコントロールすることはできないし、球筋も作れないでしょう。プロはクラブをコントロールする技術にとても長けている人間ですから、大型ヘッドであってもクラブをコントロールして、そのメリットを生かしているわけです。

手前味噌になるけど、うちで作っているマッスルバックアイアン「ファストマッスル」は、“やさしい”と言われることがとても多いんです。芯を外してしまうと飛ばないから、難しいクラブではあるんだけど、振りやすさに優れているので、ボールに当てることに長けているんです。

だから、質問者さんのように、ボールを曲げたくないからといって、どんどん寛容性の大きなドライバーになっていったら、ますますコントロールは難しくなるということです。ここは誤解されがちなので、ドライバー選びでは、許容性だけでなく、自分なりの振りやすさを求めていくということも大事になります。

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