女子プロとガチで戦うYoutube動画・SHIN GOLFチャンネルで人気の倉持雅樹さん。動画への出演をきっかけに、自分のゴルフに対する考え方を話した動画が大ブレイク、いまでは「クララ先生」と呼ばれるようになった。そんな倉持さんのゴルフのルーツについて詳しく話を聞いた。

ゴルフは頭で考えるゲーム

「できないものをできるように努力するのであれば、できることを極めたい。自分に何ができるのか?何ができないのか?を考えて。高いボールを打てなければ、高いボールを打たなくてもスコアを作れるゴルフを考えるんです」(倉持雅樹さん、以下同)

画像: ゴルフは頭で考えるゲームという倉持雅樹さん(写真/真木ロイ)

ゴルフは頭で考えるゲームという倉持雅樹さん(写真/真木ロイ)

そう話す倉持さん。彼のゴルフにはいったいどんな背景があるのだろうか。

中学卒業を前にゴルフで有名な高校を見学に行った倉持さん。そこで見た光景は、片山晋呉、宮本勝昌、横田真一といった現在でも活躍するエリートたちの練習だった。このままこの高校に入っては彼らとの差は埋められないと、単身オーストラリアへと渡った。

「人に習っただけでは自分のものにならない。技術や理論は自分で作り上げていくもの」

オーストラリアではノーマン・フォン・ニダという人物にゴルフを習うことになるのだが、じつはこの人物、グレッグ・ノーマンの師匠で、グレッグ・ノーマンの「ノーマン」という苗字は師匠のノーマン・フォン・ニダから授かった苗字だというのだ。

そのフォン・ニダから習ったことはというと「ひたすら頭を使うことだけで、いっさいスウィングは教えてもらえませんでした」。フォン・ニダのゴルフを見たこともないから彼が上手かったのか、どうかもわからないのだという。

当時倉持少年が15、6歳の頃、フォン・ニダは70代後半。毎日練習場でボールを打つ倉持少年を後ろで見ていたフォン・ニダが「2か月くらい経った頃『ゴルフを教えようか』と声をかけてきたんです。ゴルフ上手いのと聞くと、『上手いかどうかわからないけど、ゴルフは知ってるよ』というのでカートの横に乗ってもらってコースに出たんです」と話を続ける。

その頃の倉持少年は、練習場ではいいボールが打てるようなっていたが、コースではスコアにはならない。「なんでだろう? なぜ練習場のようにボールを打てないのだろう」と漠然と思っていたという。そんな彼のプレーを見てフォン・ニダに「お前は頭が悪い」と一喝される。

「お前はバカだな。頭が悪い。打ち方じゃないんだよ。練習場でいい球が打てるのにコースで打てないのは頭が悪いんだよ」(ノーマン・フォン・ニダ)

もっと頭を使えとフォン・ニダの指導が始まるが、「頭を使うということが理解できないんですよね」と当時を振り返る。

ゴルフを本格的に始めて間もない少年が、頭を使ってゴルフをするという意味を理解できなくて当然だろう。

答えを教えてくれないフォン・ニダに、何日も何日も練習しながら、自分で考えた答えをぶつけると「それは正解だ」と言われ、ひとつ覚える。そして次に「こういうときはどうしたらいいんだ?」と質問しても答えは教えてくれない。また考えて答えをぶつけると「それは違う」、また考えて答えをぶつけると「違う」というだけ……。

フォン・ニダは倉持少年に打つ前にどんなショットを打つのか必ず言葉にして打たせるように指導していたという。それはいい球を打った場合、そのショットがマグレじゃないというところを見せなければならないという理由からだった。

「これは、こういうライでこういう風だからつかまえてこういう弾道で何ヤード打つ、それが結果的にミスしても正解は正解と教えてくれたんです」

でも正解と言われてもなんで正解なのか理解できずにいた。だが頭で考え、言葉に出しながらプレーすることを繰り返していくうちに、ショットの選択肢が増えていったという。

「たとえば右に飛びやすいつま先下がりのライで、左を向いて打つことも、打ち方次第で右に行くのを相殺させてストレートで打つことも、だんだんと覚えていってショットの選択肢が増えていきました」

ピン位置や風、ライなどの条件から狙い場所を定め、どんな弾道で狙うのか。倉持少年の頭の中には選択肢が2つ、3つと増えるようになり、選択肢が6つくらい浮かぶようになってきた頃、その中からいちばんやさしくてシンプルでリスクの少ない効率的なショットを選ぶと、「それは正解」と言われる確率が高くなった。

そうこうしているうちに、何も言われなくなり「それでいい」とだけ言われるようになった。

「そうなってもスウィングの指導はまったくされずに『スウィングは自分の体じゃないから知らないよ。お前の体だから自分で見つけろ』と言われました」

またある時、たまたま声をかけられて一緒にプレーをしたノン・ファーガソンというゴルファーに、ゴルフの競技に出るためにアメリカに行く、と伝えると「アメリカに娘がいるからそこを訪ねて行け」といわれ、訪ねてみると……。

「その娘さんの旦那さんが、なんとペイン・スチュワートだったんです! あのペイン・スチュワートが僕のためにウェルカムパーティーをやってくれて一緒に練習したりしてくれました」

ほかにも「2歳年下のタイガー・ウッズともジュニア時代にプレーオフで戦ったこともあります」と、なんともけた外れのエピソードが満載で話は尽きない。しかし、20歳で帰国した倉持少年は左半身に麻痺が残るような交通事故に遭ってしまい、ゴルフの道を断念する。

その後、手術やリハビリを繰り返して、茨城県・岩瀬桜川で2回、オーストラリア・クーラルビンバレーゴルフコースで3回、計5回ものクラブチャンピオン獲得、ハンデは+2.8までに回復してきているという。実際にYoutubeでもそのプレーぶりは目を見張るものがある。

ショットが悪くなるとパットの練習「これがスウィングの基本なんです」

Youtubeで話題となっているコンパクトなトップから300ヤード近く飛ばすスウィングのことを聞いてみると、いちばん大切にしていることは基本。「最終的に戻るのは基本」「余計なことをしないのが基本」とのこと。

倉持さんにとっての基本はパッティング。パットはインサイドインの軌道、パットもショットも体幹で打たないとインサイドインの軌道にならないといい、調子が悪くなるとパットの練習をすることでショットの調子を整えると話す。

「初心者でもパターならボールに当てられる。パターは体重移動しないし、ダウンブローやアッパーブローにも打たない、何もしないから当たるんですよね。その延長線にアプローチがあって、アイアン、FW、ドライバーがあるんです。だからショットの調子が悪くなるとパターを練習するんです。体幹を使って打つパターの練習がショットにいきてくる」

ここ何十年も練習していないし、その日の、そのときの体の状態と相談しながら無理しないゴルフする。できることしかやらないゴルフが倉持さんのプレースタイルだ。

画像: スウィングの基本はパットだという倉持さん。インサイドイン軌道で体幹を使って打つパットこそがスウィングの基本になっているという(写真/真木ロイ)

スウィングの基本はパットだという倉持さん。インサイドイン軌道で体幹を使って打つパットこそがスウィングの基本になっているという(写真/真木ロイ)

「できないことにチャレンジする美学もありますが、普通に振ってフェードするフェードヒッターなら無理してドローを打たずに、自分にとってできることを突き詰めて攻め方を考えることがマネジメントなんだと思います」

倉持雅樹さんのゴルフIQの高いマネジメントが「クララ先生のIQゴルフ」として、視聴者をくぎ付けにしているようだ。今後もクララ先生に注目してみよう。

※アマチュアの倉持雅樹さんにはボランティアで取材に応じていただきました

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