USPGAツアーを現地で取材中の週刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウ。WGCデルマッチプレーでは優勝したシェフラーに突撃取材。いったいどんな選手?

こんにちはケンジロウです。テキサスのオースティンよりお届けしています。

WGC手権が終わりました。毎日オースティンカントリークラブを歩き回って撮影しましたが、このコースはアップダウンが激しくて、一日終わったころには足がパンパンになるほどで、本当クタクタになります。

とくにインコースは敷地内のいちばん下ったところにコースが広がっていて、クラブハウスとの標高差は、どのぐらいでしょうね、ざっと100mぐらいはあるかな。そちらのほうに行くときは、いつもちょっと気合を入れてから足を踏み入れます。山あり谷ありそして池も川もあり、さらに風の通り道なのか、インコースは風がビュービュー吹きます。グリーンも硬く締まっていて、2打目でグリーンを外す選手をよく見かけました。コースの設計者を調べてみると、1984年、いまの場所にコースが移ったときに、あのピート・ダイが設計しているじゃありませんか!

インコースの川がらみのホールは本当にいやらしいですよ。池や川にボールが何個落ちていくのを見たことか。こんなところで試合をする選手は大変だろうなとつくづく思ってしまいます。

画像: 難コースが大学時代のホームコース、ほぼ地元でギャラリーの声援を背に優勝し、ランキング1位と駆け上がったシェフラー

難コースが大学時代のホームコース、ほぼ地元でギャラリーの声援を背に優勝し、ランキング1位と駆け上がったシェフラー

でも、そのコースを得意にしている選手がひとりいたのです! 優勝したスコッティ・シェフラーです!

プレーヤーズ選手権からテーラーメイドと総合契約し、ナイキのウェアをまとい、まさにアメリカのトップ選手の装いで、一気にスター街道を駆け上がっています。

じつは昨年はこの大会で惜しくも準優勝でしたが、今年は見事そのリベンジを果たし、決勝戦でケビン・キズナーを破っての優勝でした。なぜ彼がこのコースを得意としているかというとシェフラーにとってこのオースティンCCは大学時代のホームコースで、何度も回ったことのある勝手知ったるコースなんですね。

彼はテキサス州のダラスで生まれ育って、2013年に全米ジュニアに優勝、大学はジョーダンスピースと同じ、テキサス大に進みました。オースティンはほぼほぼ地元と言ってもよくて、毎日彼の組には大勢のファンがついて、「LET'S GO スコッティー!」などと声援が飛んでいました。

準決勝でダスティン・ジョンソンと回っていましたが、どちらかというとシェフラーに対する声援のほうが多かったですね。

画像: 準決勝でシェフラーはダスティン・ジョンソンと対決だったが、シェフラーの声援のほうが多かった

準決勝でシェフラーはダスティン・ジョンソンと対決だったが、シェフラーの声援のほうが多かった

試合前の会見でシェフラ―は、

「このコースのベストスコア?覚えてないな。でもコースのレイアウトは好きで、バーディもとれるホールが多いから、マッチプレーには面白いと思うよ。特に後半の池がらみのホールはまさに“リスクと報酬”で、テレビで見ている人は楽しいはず。グリーンも硬くしまっていて、今週は雨も降らなそうでもっと硬くなっていくから楽しみだね」と言っていました。

グリーンが硬ければ硬いほどワクワクしてくるタイプ、こういう選手がマッチプレーに強いんでしょうね。

大学を卒業した後は19-20シーズンにコンフェリーツアーに出て、そこで2勝を挙げて賞金王になりました。そして20-21シーズンは、PGAツアーにフル参戦。優勝こそなかったものの、コンスタントに成績をあげ、ライダーカップにも選出されています。

そして今シーズンの活躍は、みなさんもご存じかと思いますが、フェニックスオープン、アーノルドパーマー招待と2勝を挙げ、トップ10にも5回入っています。そして今回の優勝で今季3勝目。

世界ランキング1位になり、フェデックスランキングも1位になりました。

シェフラーの強さの秘密は何?

スコッティ・シェフラ―という選手はいったい何が上手いんでしょうね?

ショット、アプローチ、パット?

その答えは、「そのどれもがそつなく上手い」ということ、ではないでしょうか。

彼のデータを見ると、ラウンド平均4.9個のバーディをとっています(ランク5位)。またこれまで昨年も含めて40試合に出て予選落ちはたったの6回、そして平均スコアも69.87です(ランク6位)。大きくスコアを落とすこともありません。

ダスティンとの準決勝をずっとついて見ていたのですが、ほんとショットは曲がらないし、ダスティンよりちょっと飛距離は落ちますが、それでも平均飛距離は約309ヤード(ランク22位)で普通に飛びます(キズナーより20~30ヤードくらいは先にいました)。

アイアンも上手くて、風の中でもビタビタ寄せてきます。さらに彼はグリーンに近づけば近づくほど力を出し、グリーン周りはいぶし銀の技でダスティンに対抗していました。グリーンを外してもだいたい寄せてくる、そしてそこそこ嫌な距離のパットも決めてきますから、マッチプレーだと一緒に戦う選手は嫌ですよね。

準決勝では、4番ホールでもダスティンより長めのパーパットを先に決めてきて、そのあとに打ったダスティンはパーパットを外してしまいました。前半終わってシェフラーが4アップの大量リード。後半でダスティンが粘りをみせるものの、結局18ホールまでいかずにシェフラーの勝利が決まりました。

そのあとおこなわれたケビン・キズナーとの決勝戦。キズナーはマッチプレーで18年に準優勝、19年に優勝、マッチプレーではトータル22回相手を倒している、ツアーでも有名な“マッチの鬼”です。

そんなキズナーをしてもシェフラーの勢いは止められませんでした。前半終わってシェフラーの3アップ。後半の12番でシェフラ―がアプローチをバンカーに入れるミスがありましたが、そこからチップ イン バーディ。いやぁ、ほんと隙がない。

プロデビューからわずか3年ですよ……。

まだ25歳なのですが、若く見えないのは何ででしょうかね。ホブランとかコリン・モリカワとかと同世代とは思えないですよね。垢ぬけないというか、おじさんっぽいというか…(失礼!)。

プレースタイルもダスティンやマキロイみたいに派手さはなく、どちらかというと玄人受けするタイプですね。またスウィングも独特で、個性的。インパクトにかけて右足が左足にスーッと寄っていくような打ち方で、池田勇太選手みたいな足の送り方をして、けっこうフットワークを使います。

トップはかなりオープンフェースで、フェースの開閉を大きく使って打っているのがわかります。またボールの近くに立って、アップライトにクラブを使うあたり、いかにもアイアンが上手そうだなぁという印象を受けます。風が吹き荒れる中でもピンに絡む球を何度も打っていましたよ。

長年バッバ・ワトソンのキャディをやっていたテッド・スコットさんが昨年からバッグを担いでいますが、そのコンビもなかなかよくて、ラウンド中終始楽しそうに会話してリラックスしていました。テッドさんはバッバのバッグを15年担いで、何度も優勝を経験していますからね。優勝争いのときの選手への接し方を心得ているんでしょうね。

練習日にキャディのテッドさんにクラブの写真撮影をお願いし、シェフラーのクラブを撮影している最中にちょうどシェフラーが現れました。練習の邪魔になってはいけないと、すぐに撮影を中断しようとしましたが「好きなように撮っていいよ」とシェフラーは言って優しい対応をしてくれました。

彼は現地のベテラン記者たちともいつも楽しそうにしゃべっていますし、本当に人に好かれるんでしょうね。25歳とは思えない落ち着きも感じます。

ちなみにそのバッグの中身ですが、撮影時には3番ウッドが2本入っていました。テーラーメイドの「ステルス」とナイキの「VRプロ」フェアウェイウッド。
「VRプロ」はジュニア時代から使っているという11年選手。長年使っているだけに、なかなか移行できなかったみたいですが、ただ、今週はついにステルスのスプーンをバッグに入れたようです。
(このコースではほとんど使わなかったみたいですが……)

気付けば世界トップまで上り詰めてしまった25歳。彼の勢いはもう誰も止められないのか!?

写真/ケンジロウ

画像: シェフラーの強さの秘密は何?

シェフラーのクラブセッティング
1W/テーラーメイド ステルス プラス
3W/テーラーメイド ステルス
  ナイキ VRプロ
3I、4I/スリクソン Z U85
5I~PW/テーラーメイド P・7TW
WEDGE/タイトリスト ボーケイSM8(50、56度)
     タイトリスト ボーケイWEDGE WORKS(60度)
PUTTER/タイトリスト スコッティキャメロン

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