米女子ツアー「JTBCクラシック」とメジャー「シェブロン選手権」を現地取材するプロゴルファー・中村修のレポートをお届け。

先週の「JTBCクラシック」はタイのアッタヤ・ティティクルがプレーオフでアンナ・コルツ・マドセンを破りLPGA初優勝で幕を閉じました。3位に入ったアン・ナリン、4位タイコ・ジンヨン、8位タイにパク・インビ、10位にアイミー・ヤンと上位に韓国勢の4名が入り週を通して韓国勢の層の厚さを感じさせました。

画像: 世界ランク1位でメジャー2勝のコ・ジンヨン(写真は2022年のJTBCクラシック)

世界ランク1位でメジャー2勝のコ・ジンヨン(写真は2022年のJTBCクラシック)

世界ランキングを見てみると、1位コ・ジンヨン、2位ネリー・コルダ、3位リディア・コ、4位ミンジー・リー、5位アッタヤ・ティティクル、6位パク・インビ、7位ダニエル・カン、8位キム・セヨン、9位畑岡奈紗、10位ブルック・ヘンダーソンと韓国籍以外の韓国出身選手を入れるとほとんど韓国勢で独占されています。歴代のメジャー優勝者や世界ランキングを見ても韓国勢の活躍には驚くばかりです。

先週の「JTBCクラシック」では韓国籍の選手だけを数えても23名が出場し、17名が決勝に残り戦っていました。冠スポンサーのJTBCは韓国のテレビ放送局なので推薦も含めて数名は多く出場していたとは思いますが、決勝に17名が残り10位以内に4名が入るという現実を見せつけられて、普段はおもに国内女子ツアーを取材する身としては考えさせられました。

画像: 昨年末の予選会をトップ通過し、「JTBCクラシック」を3位で終えたアン・ナリン(写真は2022年のJTBCクラシック)

昨年末の予選会をトップ通過し、「JTBCクラシック」を3位で終えたアン・ナリン(写真は2022年のJTBCクラシック)

98年に全米女子オープン、全米女子プロゴルフ選手権でメジャー優勝したパク・セリを見たキッズたちがこぞってアメリカに渡るとツアーを席巻していきました。日本勢では樋口久子、岡本綾子、小林浩美、平瀬真由美、福嶋晃子、宮里愛、宮里美香、上原彩子選手など歴代、現役を含めて多くの結果を残してきていますが、年代ごとにみても米女子ツアーを主戦場とする選手は多くて2、3名でした。

近年は畑岡奈紗選手と上原彩子選手、横峯さくら選手が参戦し、畑岡選手においては米女子ツアー5勝を挙げメジャー制覇を目指すツアーの中心人物のひとりとして活躍してますが、そこに今シーズンからは渋野日向子、古江彩佳の二人の日本勢が加わっています。が、それでも3名です。横峯選手も今週は出場していますが、日本を主戦場にしていますので出場したとしてもスポット参戦になるでしょう。

日本国内女子ツアーは、難関のプロテストに通過した者たちがしのぎを削るトップフィールドであることは間違いありません。「ワールドレディスサロンパスカップ」や「TOTOジャパンクラシック」など海外勢が出場する試合でも簡単には勝てないフィールドになってきていると思います。

稲見萌寧選手のように永久シード(30勝)を目指すと公言する選手がいてもまったく異論はありません。しかし、世界中からプレーヤーが集まり、天候や気候、芝の違い、移動や言葉、食事などさまざまな条件やコンディションに対応しながら戦う米女子ツアーや欧州女子ツアー、海外メジャーも最高峰のトーナメントであることも事実だと思います。

何が言いたいかというと、コロナ渦を含めてさまざまな制約はあるとは思いますが、男子も含めてですが、海外ツアーに挑戦する選手がもっと増えてもいいのではないかということです。とくに最近の女子選手たちは多くのスポンサーがつき資金的にも恵まれていますし、そういう挑戦を応援してくれるスポンサーも多いと聞きます。もちろん日本で実績を積んでからという考え方も理解できますが、日本のプロテストに合格しているかは問われませんし、海外志向のプレーヤーであればチャレンジする価値はあるはずです。

パク・インビやイ・ジョウン6をサポートするマネージャーのTJさんにこれほど多くの韓国選手が活躍できる理由を聞きました。

「韓国では2年くらいかけて、英会話、トレーナー、スウィングコーチなどのチームを組んで準備しています」(マネージャーTJさん)

確かに韓国選手は体幹がしっかりしていて、ずば抜けた飛距離があるわけではありませんが安定したプレーとパッティングが上手いという印象があります。それには2年間かけて、しっかりと準備をして挑戦している。そういう意味ではトミーアカデミーで畑岡選手の話を思い出します。

画像: 世界ランク9位の畑岡奈紗(写真は2022年のJTBCクラシック)

世界ランク9位の畑岡奈紗(写真は2022年のJTBCクラシック)

トミーアカデミーで指導する金本プロによると、「畑岡奈紗は小さいころから目が違いましたね。中嶋さんの話を聞くとメモし質問もし、レポートを書かせると枠が足りないくらいびっちりと書いてきました」といいます。現在の活躍は目指すフィールドに向けて早い時期から準備していたからこそなのでしょう。

国内ツアーは次から次へとニューヒロインが誕生し層の厚さが増していっているのはご存じの通りです。勝みなみ選手は年末の米女子ツアーの予選会を受けるようですし、ほかにどんな選手が世界に羽ばたいていくのか。日本勢が米女子ツアーを席巻する日が来るのか。引き続き追いかけたいと思います。

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