ドライバーの飛距離性能は魅力的だが、ゴルフをプレーするうえで大事なギアといえばボールだ。そのボール事情をトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロがレポート

「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」では、ベテランの上田桃子が優勝。じつは、開幕からブリヂストンのボールが5戦5勝ということが、巷で話題になっていたのだが、連勝がついに途切れた格好だ。上田が使用するのはキャロウェイ「クロムソフトX」だ。

ブリヂストンのボールは20−21シーズンでも、52戦24勝で勝率1位となっている。稲見萌寧が9勝、古江彩佳が6勝と2人で15勝した影響は甚大だが、ここ数年で有力選手の使用が増え、ツアーでもシェアが増えつつある。今年の連勝に関しても、すでに3勝をマークしている西郷真央の影響なしには語れないが、堀琴音、サイ・ペイインといった中堅どころの選手が優勝しているのは好印象だ。

画像: 女子ツアーで開幕5連勝だったブリヂストンのゴルフボール。昨シーズンも稲見萌寧らの活躍もあり、勝率1位だった(写真は2022年アクサレディス 撮影/有原裕晶)

女子ツアーで開幕5連勝だったブリヂストンのゴルフボール。昨シーズンも稲見萌寧らの活躍もあり、勝率1位だった(写真は2022年アクサレディス 撮影/有原裕晶)

意外にも国内の女子選手は、硬いボールを選ぶ傾向がある。タイトリストなら「プロV1」もさることながら、「プロV1x」を選ぶ選手も多い。スリクソンなら松山英樹が愛用する「ZスターXV」を選ぶケースも少なくない。これはより飛距離を出したいという選手が多いためかもしれない。

ブリヂストンもかつてはそうした傾向が強かった。キャリアのなかで硬めのボールを選択することが多かった宮里藍をはじめ、ほんの数年前まで2種類のボールがあれば、より硬いモデルを選択する選手が圧倒的に多かったのだ。

ところが、今季のブリヂストンの場合、硬めの『X』と軟らかめの『XS』 の使用比率は、ちょうど半々くらいなのだという。飛ばし屋が硬いのを使うというわけでもなく、選んでいるボールとその選手のプレースタイルに共通点は見られない。各々が何を重視するか、ほとんど「好み」で選んでいるといってもいい。

なにかのきっかけに、ボールをスイッチする選手も少なくない。今季、好調をキープしている渡邉彩香は、長年『X』党だったが、一昨年により軟らかい『XS』に変更した。逆に、ブライソン・デシャンボーやジェイソン・デイ、原英莉花のように、『XS』から『X』に変更した選手もいる。どの選手も意外とボールを変更するのが苦にならないようで、今使用している選手たちのなかにも、2機種を試しているケースが少なくないという。

これらの現象は、タイガー・ウッズのようなカリスマ性のある選手が『XS』を愛用していることもあるだろうが、より軟らかいタイプのボールの性能が向上し、飛距離やスピン量に対してのプロの要求に応えられているということも言えるだろう。飛距離が同等以上なら、よりフィーリングのいい軟らかいボールを使いたいというわけだ。

いっぽうで、ほかのメーカーのシェアも小さくない。「プロV1」やスリクソン「Zスター」シリーズを使う選手は依然として多く、近年はキャロウェイのボールを使用する選手が、契約プロを中心に一大勢力を形成している。さらに今季はテーラーメイドも新契約の岡山絵里をはじめ、ボール使用者が増えてきている。

こうした傾向は国内に実力のあるボールメーカーがある国内ツアーならではの光景で、海外のツアーではなかなか見られないユニークな状況だ。シーズンが終了したとき、勝率1位となるボールは、どのメーカーだろうか。

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