「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説する。今回は話題のドライバーのお話!
画像: 2022年がスタートしてからゴルフクラブの話題といえば「ステルス」vs「ローグ ST」でもちっきり。宮城氏の見解はいかに?

2022年がスタートしてからゴルフクラブの話題といえば「ステルス」vs「ローグ ST」でもちっきり。宮城氏の見解はいかに?

みんゴル取材班(以下、み):今年はまだピンの新製品が出ていないので、ドライバーの販売シェア争いはテーラーメイドの「ステルス」とキャロウェイの「ローグ ST」の2強対決の様相となっています。2021年はテーラーメイド「SIM2」の圧勝でしたが、今年はどちらが売れると思いますか? ちなみに日本の男子ツアーでは「ローグ ST」の使用率が高かったようです。

宮城:どちらも出足は好調のようですね。でも最終的には「ローグ ST」が勝つと思います。

み:なぜ? 話題性ではカーボンフェースの「ステルス」が上回っています。飛距離性能もこちらのほうが高いという意見が多いようです。

宮城:決して「ステルス」が悪いというわけではありません。カーボンフェースは我々もチャレンジしてものにできなかった技術です。ただ、あまりに革新的でプレーヤーの先を行きすぎているため打ち手を選ぶ傾向があります。マスターズで勝ったスコッティ・シェフラーはスライス一本槍で攻めていましたが、3日目18番でティーショットを左に引っかけてアンプレヤブルにしました。最終日もティーショットが2回くらい左に行きました。幸い優勝できましたがフェードヒッターは怖くて左を向けなくなるパターンです。タイガー・ウッズもスライスの曲がり幅が大きく、ふだんより球がつかまっていない様子でした。

み:確かにそんな場面もありましたが、クラブに原因があったのでしょうか?

宮城:フェースをカーボンにすることで生まれた21グラムもの余剰重量をどこに配置したのか。テーラーメイドは明らかにしていませんが、前につけても意味がないので後ろにつけているはずです。21グラムがネックから遠い場所に配置されるとヘッドの軸周り慣性モーメントは相当大きくなります。テークバックでフェースを開いたら開きっぱなしですし、逆に閉じ始めたら止まらない感じです。

み:つまり両方のミスが出ると……

宮城:アマチュアゴルファーはほとんど右、プロは左に行くでしょうね。流行りのシャローイングなんか入れてしまうとフェースが開いたままインサイドから入るので右プッシュ、フェースを閉じる動きを入れてタイミングがずれるとチーピンが出やすくなります。仮に「ステルス」を上手く打てるようになるとほかのクラブが打てなくなる可能性もあります。ゴルフクラブは人間の対応力を超える領域まで進化してしまったのかもしれません。

み:そんなに進化したのなら、余計に使ってみたいというゴルファーも多いと思います。

宮城:オススメするなら「ステルスプラス」です。前方に10グラムのスライダーがついているので「ステルス」よりも重心は深くないはず。女子プロが難しいと思われている「ステルスプラス」を選んでいるのも振り心地に違和感がないからだと思います。使いこなすポイントを挙げるならバックスウィングでフェースを開かないようにすることでしょう。

み:その点、「ローグ ST」はいかがでしょう?

宮城:すべてにおいてつかまりをよくする方向で考えられているので設計上の矛盾点がありません。チタンフェースで重心が「ステルス」ほど後ろにないので振り心地も違和感なく、トウダウンしてもフェースが開きにくく、振り遅れにくくなっています。「ローグ ST」はアベレージゴルファーにはマッチしていると思います。

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