「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説する。今回は「UW」という新しいカテゴリーのクラブをテーマにフェアウェイウッドの短尺化を考えてみる。
画像: ツアーで人気のキャロウェイ「APEX UW」。その名の通りFWとUTの間で「ユーティリティウッド」。宮城氏はヘッド形状と装着シャフトからショートウッドと分析

ツアーで人気のキャロウェイ「APEX UW」。その名の通りFWとUTの間で「ユーティリティウッド」。宮城氏はヘッド形状と装着シャフトからショートウッドと分析

みんゴル取材班(以下、み):キャロウェイの「APEX UW」がツアープロの間で人気を博しています。石川遼は21度と24度(プロトタイプ)の2本持ちですし、原英莉花ら大勢の契約外のプロもバッグに入れています。UWはユーティリティウッドの頭文字ですが、いったいどんなクラブでしょうか。

宮城:番手がロフト角で表示されているところはユーティリティ風ですね。レングスもほぼユーティリティですが、ヘッド形状はフェアウェイウッドです。シャフトもウッド用なのでショートウッドと考えていいでしょう。

み:ミニドライバーならぬミニフェアウェイウッドといったところでしょうか。どんなメリットがありますか。

宮城:「APEX UW」のレングスは17度と19度が41インチです。ロフトがほぼ同じ一般的な5Wと比べて1インチから1.5インチ短いところがポイントです。フェアウェイウッドを難しくしている最大の要因は地面のボールを打つクラブで一番長いことです。これを短くしてあげれば、飛距離は少し落ちるかもしれませんが、芯に当たる確率が高くなります。したがって縦距離の誤差が小さくなるのでパー5の2打目など長い距離を狙うときに有利です。もちろん左右の曲がり幅も小さくなります。

み:フェアウェイウッドが苦手なアマチュアにもよさそうですね。いま使っているフェアウェイウッドを短くするのはどうでしょう?

宮城:もちろんアリです。3Wが当たらなくても1インチ短い5Wなら打てるという人は多いでしょう。最大飛距離性能は落ちますが、短くしてミート率が上がることでかえって飛距離が出る可能性もあります。ただし単純に短くするだけだとクラブが軽くなって振り心地が変わってしまうので気をつけて下さい。バランスが半インチカットで3ポイント、1インチだと6ポイント軽くなるので、ウェートや鉛で調整するかシャフト自体を重くする必要があります。

み:バランスさえ合わせれば大丈夫ですか。

宮城:最初から短尺で設計されている「APEX UW」なら考慮されていると思いますが、一般的にはレングスを短くすると球が上がりにくくなります。ロフトのある5Wや7Wなら問題ないですが、3Wはヘッドスピードの速いプロならまだしもふつうのアマにはきついかもしれません。

み:短い分だけシャフトがしなりにくくなるからですか。

宮城:シャフトが硬くなることも一因ですが、ヘッド軌道の影響がかなりあります。長いままならスウィングプレーンがフラットなので入射角がゆるやかになり球が上がります。短いとプレーンがアップライトになってヘッドが上から入りやすくなります。球の上がらない人は3Wを短尺化するより素直に5Wを使ったほうがいいでしょう。

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