PGAツアーは今週ジャック・ニクラスがホストを務めるメモリアルトーナメントを開催。大会初日歴代チャンピオンの松山英樹がクラブ(3番ウッド)のルール不適合認定を受け失格となるショッキングな出来事があった。ショッキングといえば今週はじめにグレッグ・ノーマン率いる新リーグ、LIVゴルフリーグ開幕戦(6月9日ロンドン郊外で開幕)の出場者が発表され、これまで参戦を否定していたDJことダスティン・ジョンソンがメンバーリストに入っていたことが大きな波紋を呼んでいる。

PGAツアーのジェイ・モナハンコミッショナーは新リーグに参戦した選手に対し即刻出場停止、またはツアー資格剥奪など厳しい措置をとることを示唆しており、ロンドン郊外で行われるLIVゴルフインビテーショナルシリーズ初戦に参戦を希望した選手から提出された申請書をすべて却下した。

LIVゴルフリーグの背景にあるのはサウジアラビアの莫大なオイルマネー。1試合の賞金総額は2500万ドル(約35億円)、予選落ちなしで優勝賞金は5億円とこれまでの常識を覆す超高額大会が売り。かねてからDJは新リーグの目玉になるのでは? と噂されていたが本人は今年の2月「PGAツアーに忠誠を誓う」と新リーグ移籍を否定していた。

ところが前言を反故にするべく「検討を重ねた結果、本人と家族にとって最善の選択」と事務所が移籍を発表するとメインスポンサーの1つであるロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)は「我々はPGAツアーの誇り高きパートナー。彼の決定には非常に失望していますが今後の健闘はお祈りします」という声明とともにスポンサー契約解除を発表した。同じくRBCと契約する全米オープンチャンピオン、グレアム・マクドウェルの契約も打ち切り。LIVゴルフ初戦とRBC主催のカナディアン・オープンの日程が重なったことも解除理由のひとつと見られる。

画像: LIVゴルフリーグ開幕戦のメンバーリストに名を連ねたダスティン・ジョンソン(写真は2022年のマスターズ 撮影/Blue Sy Photos)

LIVゴルフリーグ開幕戦のメンバーリストに名を連ねたダスティン・ジョンソン(写真は2022年のマスターズ 撮影/Blue Sy Photos)

そのほかの出場選手はセルヒオ・ガルシア、リー・ウェストウッド、ルーイ・ウーストハウゼン、チャール・シュワーツェル、イアン・ポールター、マーティン・カイマーらヨーロッパ組に加え、PGAツアーで活躍するケビン・ナや今季初優勝しポイントランク10位につけるテーラー・グーチの名前も。

「1カ月くらい前に招待状が送られてきた」という谷原秀人は「ショットガンスタート(複数のホールから同時にスタートする方式)だったり、イベントだったり(新しい試みがあるので)そういうのにも興味がある。よいものは持ち帰って日本ツアーに生かしたい」。欧米両ツアーでプレーした経験を持ち世界を知るベテランならではの言葉を口にした。

香妻陣一朗、木下稜介の参戦も決まった。「海外だし出られる試合には出ようと。参加者を見たらすごいトップ選手が多かったですし(優勝賞金5億円は)すごい試合ですよね」と香妻は未知への挑戦に心躍らせている。

今回発表されたのは48人中42人。残りは6日に発表されるがその中にフィル・ミケルソンやアダム・スコットの名前があるかどうかに注目が集まる。

LIVゴルフにはサウジの公的投資ファンドが投入されている。同国はおもに西側諸国から一般人に対する人権侵害を指摘されているがその話題から目を逸らさせるために世界のスポーツ団体やスポーツイベントに政府機関のファンドが投資をおこないマネーロンダリングならぬ『スポーツウォッシング』によるプロパガンダを遂行中ではないか、という指摘もある。

かつて南アフリカがアパルトヘイト(人種隔離政策)を実施していた頃、南アで開催されるミリオンダラートーナメント(元祖高額大会)をボイコットするトッププロが多かった。政治とスポーツは別というがはたして? しかし出場を決めた選手たちはそんなことは頭にないのだろう。プロは稼いでなんぼ。1試合で5億円稼げる舞台に魅力がないわけがない。

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