ゴルフダイジェスト・ギア研究チームは、現行ドライバー38モデルを打ち比べる大規模テストを実施しました。第3回調査報告は、弾道の強さやキャリーに影響する「バックスピン」ランキングです。「少ないほうが飛ぶ」というイメージがありますが、少なすぎることでキャリー不足の原因にもなります。バックスピンを味方につけるか、敵に回すか、スウィングとのマッチングが最大飛距離につながります。
*テスターは2016年プロテスト合格、ヘッドスピード49m/sの鈴木悠介プロ。ボールはタイトリスト「プロV1」を使用し、弾道は「トラックマン4」で計測。計測値は明らかなミスショットを除く5球の平均値を掲載しています。
*試打クラブのスペックは純正シャフト装着、ロフト10.5度、もしくは10度。「ローグ ST MAX LS」と「ミズノST-Z220」の2モデルはロフト9度、9.5度を使用しています。

高打ち出し、低スピン。ドライバーがパーシモンからメタルに変わった1980年代後半以降、約30年間言われ続けた飛ばしのキーワードです。パーシモンの時代は、プレーヤーの技術によって飛距離は作られていましたが、メタルからチタンへと進化したドライバーは、その技術的な部分をクラブの機能でカバーできないかと考えるようになりました。

スピン量をいかに抑えるか。そのためにドローボールが飛ぶ弾道とされてきました。しかし、クラブが進化した現在はドロー、フェードの区別はなく、「高打ち出し、低スピン」を追求するようになっています。

画像: ドライバーの性能大調査、第3回のテーマは「バックスピン」!

ドライバーの性能大調査、第3回のテーマは「バックスピン」!

ドライバーの進化の過程で、低スピン化が過度に進行した時期がありました。重心位置を下げ、バックスピンの発生を極力抑えようとしました。この低重心、低スピンクラブは、弾道が暴れる。一発の飛びを得ることはできるが、平均するととても扱いにくいクラブとなっていました。

行き過ぎたことを知ると、メーカーは「最適」を模索するようになりました。低重心率50%台を目指すことをやめ、60%台半ばまで引きあげられました。今回の最新のバックスピン量調査では、外ブラ、国内が混在する形になっています。かつてのような国内ブランドは低重心、外ブラは高重心という違いはなくなりつつあります。

バックスピンを抑えるために国内ブランドはロフトを立てることで対応しようとしました。そのため、上級者の間には最近まで「ロフト9.5度」が神話的に存在し、10.5度モデルは敬遠されました。一方、外ブラはバックスピンを抑えながらも、高打ち出しを実現するために、ロフト10度、もしくは10.5度を主軸に据えました。

国内ブランドは10.5度になると「お助け機能」として、フックフェースにする傾向がありました。これでは上級者は気持ちよく構えられません。その点でも、外ブラはロフトを増やしてもフェースをかぶせず、むしろ上級者が好むオープンフェースを採用するようになりました。

しかし、この傾向は外ブラ勢の優勢が目立ちはじめた2018年頃から、国内ブランドも外ブラに寄せる動きが見えています。高打ち出し、低スピンに加え、「大慣性モーメント化」に向かうドライバーの進化の中で、そうせざるを得なかったことも国内ブランドの欧米化の要因だと考えられます。

そのような内外のドライバー事情ですが、「機能の細分化」が進んでいます。かつてはプロモデル(ツアーモデル)とアマチュアモデルの区分でしたが、現在は、ロースピンモデル、レギュラーモデル、ドローバイアスモデルに分かれています。多くのメーカーが同一ブランドの中で、「性能違いのモデル」を出してきています。これは、ピンG30(2015年発売)がレギュラーモデルの他に、LS Tec(ロースピン)、SF Tec(ドローバイアス)を出したことにはじまります。

ロースピンモデルは、文字通りスピン量を抑えたものです。ドローバイアスは、3モデルの中でもスピン量が増える傾向が見られます。しかし、スピン量の違いにはっきりとした線引きがないことも、今回の調査で分かりました。

バックスピン量「少ない」ランキングTOP10の中にレギュラーモデルが4本。バックスピン量「多い」ランキングTOP10には、レギュラーモデルが4本、ロースピンモデルが2本入っています。同一ブランド内でスピン量を比べれば、ロースピン→レギュラー→ドローバイスの順に、スピン量が増加する傾向がありますが、メーカーの枠を外すとそうとも言えない結果になっています。

バックスピンが多くても飛ばないし、少なくてもキャリーが伸びずやはり飛びません。一番は自身のスウィングにあった「最適スピン量」です。最適な打ち出し角とバックスピン量を得られたとき最大飛距離を出すことが可能になります。ツアープロの多くが使っているため、ロースピンモデルが飛ぶかのような印象がありますが、使う人によってはレギュラーモデルやドローバイアスモデルが「最適」となる場合があります。

画像: 38モデル中、いちばんバックスピンが少なかったのは「オノフKURO」。打ち出し角も15.8度あり、飛びのポテンシャルは高い

38モデル中、いちばんバックスピンが少なかったのは「オノフKURO」。打ち出し角も15.8度あり、飛びのポテンシャルは高い

バックスピン「少ない」ランキング※打ち出し角付き

1位 グローブライド/オノフKURO(1741回転/15.8度)

2位 キャロウェイ/ローグST MAX LS(1779回転/11.8度)

3位 ヨネックス/EZONE GT Type450(1876回転/15度)

4位 タイトリスト/TSi4(1917回転/14.7度)

5位 テーラーメイド/ステルスプラス(1962回転/14.2度)

6位 ブリヂストン/BリミテッドB1(1967回転/13.9度)

7位 タイトリスト/TSi2(2067回転/15.6度)

8位 ヤマハ/RMX VD59(2086回転/15.5度)

9位 コブラ/キングLTDx(2110回転/13.6度)

10位 コブラ/キングLTDx LS(2182回転/12.6度)

バックスピン「多い」ランキング※打ち出し角付き

1位 プロギア/RS5+(3009回転/15.2度)

2位 キャロウェイ/ローグST MAX FAST(2991回転/14.4度)

3位 プロギア/egg44(2902回転/14.5度)

4位 プロギア/RS5(2787回転/15.2度)

5位 ヤマハ/RMX VD(2757回転/16度)

6位 ダンロップ/スリクソンZX7(2755回転/13.6度)

7位 ピンゴルフ/G425 SFT(2717回転/14.9度)

8位 テーラーメイド/ステルス(2697回転/15.6度)

9位 プロギア/RS5F(2676回転/14.2度)

10位 キャロウェイ/ローグST MAX D(2656回転/15.6度)

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