国内女子ツアー「リシャール・ミル ヨネックスレディス」最終日、昨季の賞金女王・稲見萌寧が初日からの首位を守り切り、14試合目にして今季初優勝を飾った。シーズン序盤に2度の予選落ちを喫し、その後も優勝がないことで不調と言われ続けてきたが、安定して上位でのプレーは続けており、これでメルセデスランキング、賞金ランキングとも2位に浮上。今季10戦5勝の西郷真央を追う一番手に名乗りを上げた。
画像: 稲見萌寧がついに今シーズン初優勝。役者が揃った女子ツアーはさらに盛り上がりを見せそうだ(写真は2022年 リシャール・ミル ヨネックスレディス 撮影/有原裕晶)

稲見萌寧がついに今シーズン初優勝。役者が揃った女子ツアーはさらに盛り上がりを見せそうだ(写真は2022年 リシャール・ミル ヨネックスレディス 撮影/有原裕晶)

稲見の通算11勝目は勝負強さと冷静さが際立つ勝利となった。16番パー3では右バンカーに打ち込み、目玉になるトラブル。「52度で上からバーン。とりあえず前に飛ばすようにって感じでした」と3メートルに寄せると、このパーパットをねじ込み、大きなピンチを脱した。続く17番パー4では前日に打ち込んだグリーン奥の池を警戒し、手前から攻めてボギー。後続との差を完全には把握できてはいなかったが、状況を冷静に判断し、ダブルボギーを避けるマネジメントに徹した。“勝ち方を知っている”という言葉がぴったりくる終盤のプレーぶりだった。

今季2度目の予選落ちを喫した第7戦終了時点でパーオン率は5位(72.57%)。稲見にとっては首位が定位置の部門とはいえ、決して悪い数字ではない。それでも、開幕前から異変を感じ取っていた奥嶋誠昭コーチは「グリーンに乗っているというだけでピンを狙える状態ではなかったと思います。ショットが悪い中でマネジメントはしっかりやっているなという印象でした」。調子が上がらない原因は反り腰の矯正と飛距離アップへの取り組みにあった。

腰痛に苦しんだ昨年の経験から反り腰の矯正に取り組んだが、稲見のスウィングにはマッチしなかった。「人として正しい骨盤の位置という意味では直したほうがいいのですが、彼女のゴルフには反り腰も必要な要素だったということです」。昨年までのトレーナーに戻し、反り腰の矯正をひとまず諦めたことが調子を取り戻すきっかけとなった。

また、今季は「飛ばそうとすると曲がるから嫌だ」と言い続けてきた飛距離アップに積極的に取り組んでいる。「女子ツアーは飛距離が出て、スピンが効いたアイアンショットを打てないと勝負にならない時代になってきました。3年前から言い続けてきたのですが、今年になって飛距離を伸ばすために左に乗るというのを根気よくやってくれています」(奥嶋コーチ)。平均飛距離は昨季の238.86ヤード(33位)から240.63ヤード(24位)と思惑通りに伸びているが、変化したスウィングに合うクラブ、とくにシャフトを見つけるのに時間がかかった。ドライバーのシャフトを現在のものに変えたのは、トレーナーを戻したのと同じく5月の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」から。この大会で3位に入ると、以降は3位、2位、21位、そして優勝。パーオン率も75.28%まで引き上げ、定位置に戻ってきた。

それでも、すべての課題が解消されたわけではない。大きなテーマとなるのが、ドライバー以上に難航しているアイアンのシャフト選びだ。「練習では何本も試して、今のスウィングに合うシャフトの傾向はつかめているのですが、まだ試合で使うところまではいっていません」。今後は稲見がアイアンのシャフトを変えたというニュースに要注目。それが完全復活、あるいは昨年以上の強さを見せ始めるタイミングとなりそうだ。

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