国内女子ツアー「ニッポンハムレディス」最終日、首位スタートの西村優菜が逃げ切りで今季2勝目を飾った。終盤は同じ最終組の野澤真央とのマッチレースとなったが、首位に並んで迎えた15番パー4で2人の明暗が大きく分かれた。
画像: ツアーのスタッツでは飛ぶほうではない西村がドライバーを武器に今季2勝目を飾った(写真は2022年ニッポンハムレディス 撮影/岡沢裕行)

ツアーのスタッツでは飛ぶほうではない西村がドライバーを武器に今季2勝目を飾った(写真は2022年ニッポンハムレディス 撮影/岡沢裕行)

6763ヤード、パー72。女子ツアー最長のコースで今季の平均飛距離80位(232.20ヤード)の西村が勝ったのは数字だけを見れば意外な展開だった。ただし、本人は「今週はフェアウェイが硬くて、長くは感じていませんでした」。その言葉を裏付けるように今大会では平均247.75ヤードで決勝ラウンドに進んだ64選手中29位。そして、特筆すべきは90%を超え、全体1位だったフェアウェイキープ率。大きくランが出るフェアウェイをとらえ続ける精度で、本来の飛距離の差を埋めたことが勝因のひとつと言ってもいいだろう。

そんな西村流の“飛ばし”が生きたのが勝負を分けた15番だ。優勝を争った野澤は今季の平均飛距離19位(243.77ヤード)と西村を10ヤード以上上回る飛ばし屋。今大会でも平均252.25ヤードをマークしている。ところが、大詰めのこのホールでは西村がオーバードライブ。フェアウェイ左端の上り傾斜に当たってほとんどランが出なかった野澤の一打とは対照的に西村のティーショットはフェアウエーセンターをとらえ、しっかりと前に転がった。

この結果、先に2打目を打った野澤はグリーン右サイドの池に落として痛恨のダブルボギー。いっぽう、野澤の池ポチャを見てから2打目に臨んだ西村は無理せずグリーンセンターを捉えると、8メートルを沈めてバーディ。わずか1ホールで2人には3打の差がついた。打順が逆なら結果も逆になるわけではないが、後から打てるという本来は飛ばし屋が持つ優位性を飛ばないはずの西村が生かしたところが勝負の綾。野澤は16、17番を連続バーディとして再び西村に迫る意地を見せたが、最後は1打及ばなかった。

画像: 飛距離のアドバンテージを生かせなかった野澤であるが、この悔しさをきっと生かせるときがくるだろう(写真は2022年ニッポンハムレディス 撮影/岡沢裕行)

飛距離のアドバンテージを生かせなかった野澤であるが、この悔しさをきっと生かせるときがくるだろう(写真は2022年ニッポンハムレディス 撮影/岡沢裕行)

西村はこの後、「エビアン選手権」(21日~)、「AIG全英女子オープン」(8月4日~)と欧州での海外メジャー2連戦。会場のエビアンリゾート、ミュアフィールドはまったくタイプの異なるコースながらやはりフェアウェイが硬く、ランが出るのは同じ。ただし、起伏に富んだフェアウェイを転がったボールが思い通りの場所に止まってくれるとは限らない。ランが出るがゆえの難しさがある。「メジャーを目指して頑張ってきたので、しっかり結果を残したいです」という西村が次はどんな技術で難コースを攻略するのか、他の日本勢の活躍とともに楽しみが尽きないメジャーとなりそうだ。

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