パターの握り方はさまざまあるが、プロの間で一定数採用されているグリップのひとつが「クロスハンド」。何がメリットなのか、握り方のコツは? シングルハンディの腕前を持つイラストレーターの野村タケオが実際に試して確かめた。

みなさんこんにちは。ゴルフバカイラストレーターの野村タケオです。スコアを作るためにパットはとても大事なのですが「パットに形なし」なんて言われるように、パットの打ち方はひとそれぞれ。僕はオーソドックスな「逆オーバーラッピング」で握っていますが、最近ちょっとパットの調子がイマイチだったり。

そこで女子プロの間で流行中の「クロスハンド」を試してみたいな~と思ったわけですが、今まで試したことがないので、どう握ってどう打つといいのかがわからない。月刊ゴルフダイジェスト11月号に「パットの2大GRIP研究レポート」という記事がありました。そこでクロスハンドのことについて詳しく書かれていたので、試してみることにしました。

画像: 月刊ゴルフダイジェスト2022年11月号で特集されていた、クロスハンドグリップでのパッティングのコツを実践!

月刊ゴルフダイジェスト2022年11月号で特集されていた、クロスハンドグリップでのパッティングのコツを実践!

この記事には逆オーバーラッピングのことについても解説されているのですが、逆オーバーラッピングは手首が使いやすくなるので、グリップエンドを支点にストロークするタイプに向くとのことです。体の動きは極力抑え、ヘッドに仕事をさせる握り方なんですね。

画像: 普段やっている逆オーバーラッピングでのストローク。手よりもヘッドの動きのほうが大きい

普段やっている逆オーバーラッピングでのストローク。手よりもヘッドの動きのほうが大きい

逆にクロスハンドは手首がロックされるので、肩や背筋という大きな筋肉を使ってストロークしやすくなります。左手がしっかりと動けばリピータブルな動きができるので、安定するということですね。

さっそくクロスハンドでパットしてみようと思ったのですが、記事によるとクロスハンドには2つの握り方があるそうなんです。ひとつは青木瀬令奈プロや植竹希望プロがやっている、左ひじを伸ばし右ひじを少し曲げて構えるクロスハンド。この構えではグリップ位置が体の中心よりも少し左になり、ややハンドファーストになります。

もうひとつは稲見萌寧プロや河本結プロ、臼井麗香プロなど、多くの女子プロがやっている握り方。これは両腕のひじを軽く曲げて構え、体の中心にグリップがくるように構えるクロスハンド。この構えのメリットはシャフトが左に傾かないため、振り子の動きでストロークができ、リピート性が高くなるということです。

同じクロスハンドでもこんな違いがあるなんて知りませんでした。せっかくなので両方試して、自分にはどっちが打ちやすいか試してみます。

まず少しハンドファーストになるクロスハンド。左腕とパターを一体化させて真っすぐに打ち出すイメージでストロークするといいようです。ただ、この打ち方ではロフトがなくなった上体でインパクトすることになるので、出球が安定しないことがあるということです。また、左肩と左腕の運動量が増える傾向にあり、緊張した場面では微妙なズレが生じやすいとのこと。

画像: 少しハンドファーストになるクロスハンド。ロフトが立ってインパクトする

少しハンドファーストになるクロスハンド。ロフトが立ってインパクトする

実際に打ってみましたが、構え自体は特に違和感がありません。左腕とパターを一直線にするイメージだと安定してストロークできるような気もします。ただ、やはりロフトが立ちすぎていて(逆にマイナスロフトになっているかも)、出球の方向が安定しない感じもあります。たまに予想外の方向に転がるときがあるんですよね。やはりこの打ち方はかなりの練習をしないと、安定してストロークするのが難しいのかもしれません。

次に振り子式で打つクロスハンド。両ひじに少しゆとりを持たせるように握って、グリップを体の中心に来るように構えました。この構えはかなり自然な感じで、スッと構えられました。あとは手首を動かすことなく、肩や背中の動きでストロークします。ヘッドの動きは穏やかなイン・トゥ・インになるのがいいそうです。

画像: グリップを体の中心にする振り子式のクロスハンド。手首がロックされ、体の動きでストロークできる

グリップを体の中心にする振り子式のクロスハンド。手首がロックされ、体の動きでストロークできる

実際に打ってみましたが、これはとても自然にストロークできますね。ボールの転がりも良い。左腕でリードするようなイメージでストロークすると、リピート性が高く、とても安定した転がりの球が打てました。方向性もかなり良い感じです。これはハンドファーストのクロスハンドよりもかなりいいと思いました。記事でも、この振り子のストロークで打つクロスハンドをすすめているようです。

しかし、ひとつ注意することがあるようです。クロスハンドは右手よりも左手が下になるために、左肩が下がってしまうことがあるんです。そうなると、胸が若干右を向きやすくなり、ミスにつながる恐れも。それを防ぐためには左右の手の間隔を狭めること。そうすれば方が地面と平行になります。僕も両手が完全にひっつくくらいの感じで握ったほうが、両手の一体感が出てストロークしやすかったです。

画像: グリップの間隔が離れていると左肩が下がりミスになりやすい。両手の間隔を狭くすると肩が水平になる

グリップの間隔が離れていると左肩が下がりミスになりやすい。両手の間隔を狭くすると肩が水平になる

あと、せっかくクロスハンドにしても、手首を使って打ってしまったら意味がないです。距離感も方向性も合わなくなってしまうので、手首はロックして大きな筋肉を使ってストロークしないとダメですね。

画像: クロスハンドで握っても、手首を使ってストロークすると意味がないし、ミスも出やすい

クロスハンドで握っても、手首を使ってストロークすると意味がないし、ミスも出やすい

実は何年か前にもパットに悩んでいる時期にクロスハンドをやってみたのですが、そのときは違和感しかなく、すぐにやめてしまいました。しかし今回この記事を読んでやってみたところ、かなり好感触。少なくとも違和感が少なくなり、ストロークがスムーズになりました。コースでも試しましたが、3メートル以内くらいのパットはまったく問題なし。ショートパットに限っては、今までの逆オーバーラッピングよりも入るような気がします。

しかし、ロングパットの距離感がイマイチ合わないときがありました。とくに上りのロングパットなんかは、ショートしがち。長い距離はどうしても手首を使ってしまうので、体の動きで長いパットを打てるように練習しないとダメですね。クロスハンドは練習にも良さそうなので、これからパット練習するときは、必ずクロスハンドの練習もしていこうと思います。それで本当に使えそうだな~と思ったらクロスハンドに変えちゃうかも!? みなさんもぜひ一度試してみてください。

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