旅はプロゴルファーにとって仕事の一部。プライベートジェットで優雅に移動するのは一部のトッププロで、ほとんどの選手は予約していた便が突然欠航になったり目的地に到着したらキャディバッグが届かなかったり、さまざまなトラブルを経験している。しかしPGAツアーでプレーする無名の30歳アダム・シェンクの場合は自らピンチを招いていた。笑えるエピソードをご紹介しよう。
画像: トラブルに見舞われたが2日目までトップと1打差と奮闘。アダム・シャンクを覚えておこう(写真は2022年ZOZO選手権 撮影/Getty Images)

トラブルに見舞われたが2日目までトップと1打差と奮闘。アダム・シャンクを覚えておこう(写真は2022年ZOZO選手権 撮影/Getty Images)

月曜日の午前5時。荷物を車に積んだシェンクは妻コートニーさんと空港に向かおうとしていた。出発前に愛犬のゴールデンレトリバー、バンカー(犬の名前がすでにおかしい)にさよならしインディアナ州の自宅を出たのだが……。

「空港に着いて車のトランクを開けたらあるはずのゴルフバッグがない。妻と思わず顔を見合わせてしまった」

ガレージにあったゴルフバッグを入れたつもりが入っておらず、自宅にはバンカー以外誰もいない。宅急便の手配をしてくれる人もいない。必然的に戻らざるを得ないのだが、となると予約していた飛行機には乗れない。

「それが悪夢のはじまり。(大会が行われる)バミューダ(カリブ海の島)行きのフライトは週に数本。予約していた便を逃すと大会に間に合わない。探したらボストンからバミューダに直行便があることがわかり火曜日に(インディアナから)ボストンに移動。ようやく開幕に間に合いました」とシェンク。

「こんなこと初めて。そもそも商売道具を忘れるなんてあり得ない。アマチュアの人がコースに行くのにバッグを忘れることはごく稀にあるかもしれないけれど、ほとんどない。でも僕はそれをやっちゃったんです」

怪我の功名ではないが大会前日に現地に到着するハプニングあったものの、初日63の好スコアをマーク。2日目も66と絶好調で予選ラウンドをトップと1打差で通過し初優勝に手が届きそうな勢いだった。

しかし3日目に76を叩いて急降下し終わってみれば29位タイと平凡な成績。それでも大会前のドタバタを思えば上出来。41万ドル強(約600万円)を獲得しフェデックスカップのポイントランクも41位とそれなりの順位を確保している。ちなみにZOZOチャンピオンシップにも出場し16位タイだった。

シェンクの実家はトウモロコシや大麦を育てる農家。フェスキューやブルーグラスなどの芝も育成しゴルフ場に卸しているという。

趣味は卓球、愛犬はバンカー。PGAツアーには面白い人材がまだまだたくさんいる。

         

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