「TOTOジャパンクラシック」の初日を終えリーダーボードの上位を占めた日本勢。7アンダーの首位に上田桃子と鈴木愛が並び、1打差に小祝さくら、古江彩佳と続く。プロゴルファー・中村修の現地からのレポートをお届け。

朝のうち霧が出て肌寒くラフもグリーンも濡れて重いコンディションでスタートしていきます。文化の日の祝日ということもあり5600人を超える多くのギャラリーが集まり、LPGA選手たちもギャラリーの多さに驚いていましたね。天候は徐々に回復し、日中は半そででプレーする選手が多く見られグリーンも乾いてスピードの変化に対応しなければなりませんでした。

首位の二人に訪れた上位進出のきっかけを会見では話してくれましたので紹介します。昨日の会見で「19年当時の復活具合を感じている」と話した鈴木愛選手。序盤で左右に散っていたドライバーショットを「4番ホールで左腰が逃げて開いている」と気づき、それを修正できたことでショットが復調しバーディチャンスを量産していました。もう一つパットにも気づきがあったと会見で話しました。

画像: 初日を7アンダー首位タイで終えた鈴木愛(写真は2022年のTOTOジャパンクラシック 写真/大澤進二)

初日を7アンダー首位タイで終えた鈴木愛(写真は2022年のTOTOジャパンクラシック 写真/大澤進二)

「この3試合、スライスラインが手前で切れる。言われたことは、振り幅1に対してフォローも1としていたけど、フォローが全然足りていなくて。自分でも動画を撮ってみると、全然フォローが出ていなくて。昔はもっとフォロー出していたよ、と言われました。あれじゃラインに乗らないし、タッチもだんだん合わなくなって当然。その一言で劇的に変わりました」(鈴木愛)

南秀樹コーチと再タッグを組んできた今シーズンですが、スウィングは良くなったが結果が出ないと、ひと月ほど前に解消していたといいます。しっかりと自分でゴルフを考えるようになったことでモチベーションも上向きになっていたと話してくれました。

コーチのおかげで崩していたスウィングは改善したものの、コーチに結果まで依存してしまっていたのでしょう。コーチ契約を解消したことで背水の陣ではないですが、上々の滑り出しになりました。

同じく7アンダーで首位に立った上田桃子選手は直近の2試合で予選落ちを喫していました。上田選手のきっかけは3つ。一つはドライバーのシャフトを換えたこと。これまで長くグラファイトデザイン社のシャフトを使ってきましたが初めて他社のシャフトに替えました。フジクラのベンタスレッドTRの5Sに替えたところ、球のつかまりと左へ引っかけるミスが減り気持ちよく振れるようになったといいます。ZOZOチャンピオンシップを見てPGAツアー選手の多くがベンタスレッドを使用していることに気づいたことがきっかけだといいます。

画像: ドライバーのシャフトをフジクラ赤ベンタスTRに変更し首位タイ発進のきっかけをつかんだ上田桃子(写真は2022年のTOTOジャパンクラシック 写真/大澤進二)

ドライバーのシャフトをフジクラ赤ベンタスTRに変更し首位タイ発進のきっかけをつかんだ上田桃子(写真は2022年のTOTOジャパンクラシック 写真/大澤進二)

2つ目はパターを同じブレード型ではあるものの少しソールの幅が広いものに変更したこと。そして3つ目は先週の金田久美子選手の11年ぶりの優勝をテレビで見たことでした。女子もパワーゲームになっていると感じますか?という記者の質問に

「先週のクミちゃんの優勝を見て、やっぱりパワーゲームになってきたり、アプローチ・パターがすごくうまい選手が増えてきたとは言え、やっぱり自分の実力を出し切るということが、どれだけ難しいのかを改めて考えさせられました。本人のスタイルを出し切ることでスコアになるので、1ショットだけを見るとパワーゲームになっているのかなと思いますけど、スコアという部分、スコアを作るという部分ではそこにフォーカスしないほうがいいのかなと感じています」(上田桃子)

様々なきっかけを自分の糧にして試合に臨んでいる姿が印象的でした。残り3日間ありますので長い戦いになると思いますが、最後まで上位で戦うことでしょう。

ここで今大会の開催コースのおススメの観戦スポットを紹介します。1番、10番のスタートホール、9番、18番のグリーン周りはスタジアムのようにグリーンを囲むように高くなっているので見やすいのですが、少し歩いて4番ホールグリーン奥の観戦スポットをおススメします。

画像: おススメの観戦スポットは4番グリーン奥。14番グリーン、15番ティ、4番ティが50メートル以内にあり定点観測も面白い(写真は2022年のTOTOジャパンクラシック)

おススメの観戦スポットは4番グリーン奥。14番グリーン、15番ティ、4番ティが50メートル以内にあり定点観測も面白い(写真は2022年のTOTOジャパンクラシック)

ここは、正面に2打目を打つ選手が見え、ピン近くに落ちるナイスショットを間近で見られることが一つ。後ろを振り返ると14番パー5のグリーンがあり2オンを狙ってくる選手のアプローチやパットが観戦できます。右手には打ち下ろしで池越えの15番パー3のティーイングエリアがあり、アイアンショットが間近で見られます。左手に降りると5番ホールのティーイングエリアがあり豪快なドライバーショットを見ることができます。それぞれの場所で定点観測するのも面白いと思います。

そして最後にLPGAの注目選手を一人紹介します。リン・グラントというスウェーデン出身の23歳です。幼いころにイギリスから移住してきたリンは、ゴルフ一家の下で育ちアリゾナ州立大に進みます。アマチュア時代にも数々の実績を残してプロに転向し、今季は欧州ツアー「スカンジナビアンマスターズ」で優勝を飾っています。

画像: 3アンダー10位タイで終えたリン・グラントにも注目(写真は2022年のTOTOジャパンクラシック)

3アンダー10位タイで終えたリン・グラントにも注目(写真は2022年のTOTOジャパンクラシック)

特徴は左手をストロングに握りZOZOチャンピオンシップで見たPGAツアー選手と同じようなフェースの開閉を抑えたスウィングで260ヤード以上の飛距離を持ちます。毎ホールのように同組の小祝さくら、稲見萌寧の25ヤードくらい先まで飛ばしていました。同組の小祝さくら選手のキャディを務める小畑キャディも飛ぶしプレーに落ち着きがあって上手いと、あっぱれを一つくれました。3アンダー10位タイで終えているので観戦する際には注目してみてください。

上位を占めた日本勢からLPGAツアーの優勝者が生まれるのか。週末を楽しみにしたいと思います。

画像: ちょっと辛口解説でおなじみ!元プロ野球選手・武田一浩に高島早百合がレッスン!10分でドライバーが低スピンのドローになった!何を教わった?【飛ばし】【カット軌道】【アウトサイドイン】 youtu.be

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