多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新ギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップし、読み解く。今回はダンロップの「スリクソン ZX7 MkⅡ」ドライバー。クラブ選びの参考にどうぞ!
画像: 【試打クラブスペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/58.5度 ●ヘッド体積/450㏄ 価格(税込)/8万1400円 ※すべてメーカー公表値

【試打クラブスペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/58.5度 ●ヘッド体積/450㏄ 価格(税込)/8万1400円 ※すべてメーカー公表値

勝みなみや小祝さくらが使用する『スリクソンZX7 MkⅡ』を紹介する。

早速、クラブとヘッドを計測していこう。表記した数値はすべて実測値で、試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトはメーカー純正の『Diamana ZX‐Ⅱ 60 (フレックスS)』だ。クラブ重量は305.8g と標準的だが、クラブの長さが45.5インチとやや長く、スウィングウェイトもD2.3とやや大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが291万g・㎠とやや大きくなっている。この数値であれば、本来はドライバーのヘッドスピードが45m/sくらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計だろう。

兄弟モデルである『スリクソンZX5 MkⅡ』よりもヘッドの横幅が狭く、全体的には少し小ぶり感があり、やや縦長形状。ツアーモデルらしくフェースアングルは、1度開いたオープンフェース設計。そして、『ZX5 MkⅡ』と違いヘッドの後方が低いシャローバック形状で、インパクト付近をアッパーブローにスウィングしやすいイメージが出ている。フェース面のバルジ(トウ・ヒール方向の丸み)が少なく、構えると平らに見えるフェース面は前モデル『スリクソンZX7』から踏襲されている。

実際に試打したところ、『ZX5 MkⅡ』と同様に、アドレスではフェースがまったくかぶって見えず、58.5度というライ角度もアップライト過ぎない。そして、フェース面のトウ先に少し丸みを持たせたことで逃げ感も出ていて、アドレスで球をつかまえ過ぎるイメージはない。純正シャフトは軟らかめの設計ながら適度なしっかり感があり、ヘッドスピードが42~43 m/sくらいのゴルファーでも扱えそうだ。前シリーズである『ZX7』と比較的似た重心設計だが、フェース面のスイートスポットの高さがより高め(37.2ミリ)に設定され、前モデルよりもスピンが入りやすくなっている。とはいえ、『ZX5 MkⅡ』よりは低スピン設計ということは間違いない。

『ZX5 MkⅡ』よりもヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが小さい(7927g・㎠)ので、ダウンスウィングではヘッドが返りやすく、そのため球をつかまえやすい。ストレート〜ドロー系弾道が打ちやすくなっている。また、インパクト音は『ZX5 MkⅡ』よりもやや高い感じだ。

今回は前シリーズと違いモデルごとに特徴が出ているので、『ZX5 MkⅡ』や『ZX5 MkⅡLS』を含め、すべてを試打して自分にとって合うもの、飛ぶものを選ばれることをオススメしたい。

画像: フェースアングルが1.0度オープンで、上級者好みの叩きにいける顔。スイートスポット高さが37.2ミリと重心高め。適正スピン量が入るので、弾道が安定しやすい。

フェースアングルが1.0度オープンで、上級者好みの叩きにいける顔。スイートスポット高さが37.2ミリと重心高め。適正スピン量が入るので、弾道が安定しやすい。

これがZX7 MkⅡの計測データだ!

画像: 低重心率とは「重心深さ÷フェース高さ×100」の数式で表され、数値が小さいほど低重心となり、低スピンになりやすい

低重心率とは「重心深さ÷フェース高さ×100」の数式で表され、数値が小さいほど低重心となり、低スピンになりやすい

※週刊ゴルフダイジェスト2022年12月13日号「松尾好員 責任計測×責任分析 ヘッドデータは嘘つかない!」より

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