米ツアーのホットな情報を届けるこのコーナー。PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリーさんがチョイスした記事や選手のウラ話をご紹介。

コーンフェリーツアー(米男子下部ツアー)の出場権を懸けたファイナルQTで12位タイに入ったのが大西魁斗選手です。南カリフォルニア大学在学中は全米アマに出場したりオールアメリカンに選ばれるなどスタープレーヤーのひとりでした。その彼がプロ転向して母国日本の国内ツアーに参戦。ルーキーイヤーに優勝を飾り、ベスト10に9階入り自信を深めたと言います。アメリカのコースや芝にも慣れている彼ですが、ファイナルQTはまた違った雰囲気があったようです。

日本でやっているような安心感はなかった

「日本でいいプレーをしてきましたが、それがQTにどう反映するかは全くわかりませんでした。日本でプレーしている時のような安心感はなく、何を期待すればいいかもわかりませんでした。皆が戦う場=職場を確保するためにピリピリしていました」と独特の緊張感があったと打ち明けます。それだけ選手たちは切実だったということ。

画像: 2022年フジサンケイクラシックでプロ初優勝した大西魁斗。コーチの内藤雄士プロと喜び合った。PGAツアーでもこの笑顔を見せてほしい

2022年フジサンケイクラシックでプロ初優勝した大西魁斗。コーチの内藤雄士プロと喜び合った。PGAツアーでもこの笑顔を見せてほしい

オーストラリア出身のカーティス・ラックは2016年の全米アマチャンピオンで世界アマチュアランキング1位にも輝いた26歳。2020年にコーンフェリーツアーで1勝を挙げていますが、昨シーズンは出場した試合のおよそ半分で予選落ちを喫し、ポイントランク96位でファイナルQTに逆戻りしました。

「過去の数シーズンでは精神的に苦しんできました。ゴルフの悩みが私生活を侵食し始め、落ち込んで気分は最悪」。そんな彼が選択したのは、母国の有名スポーツ心理学者ジョナ・オリバー氏の門を叩くことでした。競技での精神的苦痛を軽減するための戦略を伝授され気づいたのは、「結果への不安が思うようなプレーを妨げていた」という事実。結果ではなく自分がやれることだけに集中する。それを実践して大西選手と同じ12位タイでファイナルQTをクリアし、2023年シーズン序盤の8試合への出場権を獲得しました。

画像: オーストラリア人の若手、カーティス・ラックはアマチュア時代から華々しい成績を収めてきたが、プロ入り後は思ったような成績は残せていなかった。今回のQTは12位タイ。PGAツアーでの再起を図る(Photo/本人のツイッターより)

オーストラリア人の若手、カーティス・ラックはアマチュア時代から華々しい成績を収めてきたが、プロ入り後は思ったような成績は残せていなかった。今回のQTは12位タイ。PGAツアーでの再起を図る(Photo/本人のツイッターより)

たとえばコリン・モリカワやビクトール・ホブランのように、アマチュア時代のスター選手がプロ入りしてすぐに活躍する例は決して多くありません。アマチュア時代の実績があるがゆえに、プロになってからの不甲斐ない成績にジレンマに陥り、出口のない迷宮に迷い込むラックのような選手も多いのです。

カレッジゴルフで成功し日本ツアーで結果を出した大西選手がこれからどんな道を歩むのか? 静かに見守りたいですね。

2023年週刊ゴルフダイジェスト1月10・17日超大号より(Arrange/Mika Kawano、Photo/Tadashi Anezaki)

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