1990年に初めて登場し、現在は主流となったチタンドライバー。改めて、その歴史を振り返ってみよう。

1988年度から94年度にかけて7年連続、全国社会人大会と日本選手権の2大会を制覇した神戸製鋼ラグビー部。この絶頂期の94年に神戸製鋼はチタンドライバーを発売した。

チタンドライバーは90年にミズノから発売されると商品開発競争が激化。そして、91年にキャロウェイ「ビッグバーサ」が大ヒットするとメタルヘッドの主流は偏平薄型の大型ヘッドでスイートスポットの広い"やさしい"ドライバーへと移行が始まった。そのブームをさらに進めたのが93年春に登場した鍛造βチタンを採用したセイコー「SヤードT301」。当時としては大型・長尺の250㏄で45インチだった。この人気に呼応するかのように各社から鍛造チタンを採用したモデルが発売される。そして満を持して登場したのが日本のチタンのパイオニア、神戸製鋼のドライバーだった。

神戸製鋼は49年に日本で初めてチタンの研究に着手。55年には工業生産を開始し、現在でもチタンの溶解から最終製品まで手がける国内唯一のチタン総合一貫メーカー。国内外の機体メーカー、エンジンメーカーのサプライヤー認定を数多く取得してきた。その神戸製鋼が選んだのは鍛造チタンではなく、真空精密鋳造のβチタン。これは神戸製鋼のみが持つ技術だった。

その後も、たわみやすく反発性能が高いβチタンを採用するクラブが増え、99年の「ミズノプロ300S」は使用プロの活躍により大ヒット。そして、2005年に神戸製鋼が新たに開発した、通称「生チタン」を採用したミズノ「JPX E300」も一大ブームを巻き起こす。しかし、08年のSLEルール施行により、ヘッドの反発係数が制限され、ドライバーのフェースに使用されるチタンは「α+β」型チタンが主流になった。

画像: 1994年に発売された神戸製鋼の「TARGET-PRO TITANβ」ドライバー。(写真は1994年の広告から)

1994年に発売された神戸製鋼の「TARGET-PRO TITANβ」ドライバー。(写真は1994年の広告から)

※週刊ゴルフダイジェスト2022年1月10・17日号「ニッポンゴルフ初物語」より

This article is a sponsored article by
''.