週刊ゴルフダイジェストの恒例企画「この1年のベストスウィンガー」。その選出は目澤秀憲、吉田直樹、辻村明志、永井延宏、井上透、内藤雄士といった目利きのコーチ陣。そこで選ばれたベストスウィンガーを、改めて内藤雄士コーチに、アマチュアが参考にすべきポイントをじっくり解説してもらった。

真似どころ①:比嘉一貴のバックスウィング
胸を立てたまま回すから、手と体がシンクロする

画像: バックスウィングで胸椎を右に回転させる動きに腕が同調している。胸椎が右にしっかり回ると、体重も右に乗るので、トップもよくなる

バックスウィングで胸椎を右に回転させる動きに腕が同調している。胸椎が右にしっかり回ると、体重も右に乗るので、トップもよくなる

胸を立てたまま回転させると、前傾角を保ってインパクトできる

画像: 「胸を立てたままスムーズに回転させると、胸の回転に手が完全にシンクロしているため、前傾角を保ってインパクトでき、フェースローテーション量も少なくなるので、スウィングの再現性が高くなるわけです」(内藤)

「胸を立てたままスムーズに回転させると、胸の回転に手が完全にシンクロしているため、前傾角を保ってインパクトでき、フェースローテーション量も少なくなるので、スウィングの再現性が高くなるわけです」(内藤)

GD 2022年は圧倒的な強さを誇示した比嘉一貴プロですが、どこにすごさを感じますか?

内藤 バランスが本当にいいですね。比嘉プロのように身長が低いと、どうしてもスウィングに無理な動きが入りがちなんですが、それが一切ありません。

GD 具体的にバランスのよさはどこから生まれていますか?

内藤 アドレス時の前傾がやや浅めで、胸を立てた状態で回転しています。ややかかと重心で構えて、浅い前傾角をキープさせています。前傾角を保つには腹筋や背筋の強さ、股関節周りの柔軟性などが必要になりますが、比嘉プロの場合は、その部分に長けているので、浅い前傾で起こりがちなインパクトで右腰が浮く動きがまったく入らない。だからシンプルに、かつバランスよく振れるわけです。

GD アマチュアが真似るべき点はどの部分でしょうか?

内藤 腕のローテーションが抑えられているのは、いまどきのスウィングと言える部分ですが、腕の動きよりも、しっかり胸椎(きょうつい)を回している点に注目してください。胸が止まって腕が動くことがまったくないので、クラブと手と体を一体化させることができるわけです。

真似どころ②:山下美夢有のインパクトゾーン
体の軸を安定させて、前傾角をキープする!

画像: 山下の凄さは、切り返しからフォローまで前傾角が崩れないこと。下半身の粘りで、上体が起き上がらず振れている

山下の凄さは、切り返しからフォローまで前傾角が崩れないこと。下半身の粘りで、上体が起き上がらず振れている

その場で回転しているから、前傾角が崩れにくい

画像: 「山下プロのいいところは、その場で回転して、体の重心を低く保って,いるところです。そのため、股関節の上で胸を回転させて、スウィング中の前傾角を保つことができるんです」(内藤)

「山下プロのいいところは、その場で回転して、体の重心を低く保って,いるところです。そのため、股関節の上で胸を回転させて、スウィング中の前傾角を保つことができるんです」(内藤)

GD 山下美夢有プロも2022年は女子で他を圧倒する強さでしたが、その要因はなんでしょうか?

内藤 癖がなさすぎて解説がしにくい!とコーチ仲間とも話をしていたほどシンプルなスウィングですね。少し前は、女子選手は飛距離を求めてアッパー軌道で振る傾向がありましたが、それによって体が右に傾いたり、伸び上がったりして前傾角が変わる感じがありました。その動きが山下プロは一切入りません。これは山下プロに限ったことではなく、女子選手全体的に言えることで、そのあたりが女子プロのレベルが上がっている要因になっていると思います。

GD シンプルに振るためにアマチュアが真似るべきポイントはどのような部分ですか?

内藤 “オーバードゥ”な動きがない点ですね。足の使い方にしても、右足を蹴り過ぎて右ひざが前に出ることもないですし、インパクトまではしっかり耐え、前傾をキープさせています。だからインパクトゾーンが長くなり、長いクラブでもピンポイントを狙えるわけです。シャフトの軌道も、ダウンスウィングもフォローも平行に動くので、インパクトポイントさえズレなければボールは曲がりません。

真似どころ③:ローリー・マキロイのダウンスウィング
肩をすくめて、右肩の高さをキープ

画像: 胸椎を完全に右に向けて、強烈な捻転を作ったトップから、右肩の位置が高いままダウンスウィングできているところが、マキロイの長打の秘密

胸椎を完全に右に向けて、強烈な捻転を作ったトップから、右肩の位置が高いままダウンスウィングできているところが、マキロイの長打の秘密

あおり打ち禁止! 右肩が高いまま切り返す

画像: 「マキロイは、右肩の高さをキープしたままダウンスウィングに入ります。そのため、クラブが下から入らず、プッシュやチーピンに悩むこともないわけです。左わきがあくと、あおり打ちになり、胸の回転にもブレーキがかかってしまいます」(内藤)

「マキロイは、右肩の高さをキープしたままダウンスウィングに入ります。そのため、クラブが下から入らず、プッシュやチーピンに悩むこともないわけです。左わきがあくと、あおり打ちになり、胸の回転にもブレーキがかかってしまいます」(内藤)

GD 世界ナンバー1のマキロイのスウィングの特徴は?

内藤 アメリカの選手に誰のスウィングが一番いいか聞くと、マキロイという意見が多いんです。機能美と格好よさを併せ持っています。柔軟性が高くて、両わきが締まったまま、肩のローテーションもすごく大きい。その胸椎の回転にずっと腕がくっついて動く。あれだけ筋肉ムキムキになっても柔軟性が落ちないのも、マキロイのすごいところですよね。

GD アマチュアが真似るべきポイントはありますか?

内藤 マキロイのように振るのは難しいかもしれませんが、右肩が高い位置にあるのはぜひ真似したいポイント。前傾が深いので、実際には右肩は下がるんですが、肩をすくめるように使って、むしろ右肩が上がるような動きを入れています。こうして右肩を高くしたまま切り返していくので、クラブが寝てしまうことがないんです。

GD 下からクラブが入るアマチュアには最適ですね。

内藤 右肩を高いまま切り返そうとすると、右肩が突っ込みやすくなるので、その動きには注意してください。

3人の共通点は、バックスウィングとフォローで、胸をしっかり回している!

画像: 「胸のターンをよくするために、左わきでヘッドカバー、両腕でボールを挟んでスウィングします。常に手が体の正面にあるため、胸のターンでスウィングするコツがつかめます。慣れてきたら、アイアンとドライバーでボールを打ちます」(内藤)

「胸のターンをよくするために、左わきでヘッドカバー、両腕でボールを挟んでスウィングします。常に手が体の正面にあるため、胸のターンでスウィングするコツがつかめます。慣れてきたら、アイアンとドライバーでボールを打ちます」(内藤)

GD 3人のスウィングに共通点のようなものはありますか?

内藤 胸の回転でしょうね。胸椎をバックスウィングとフォローでしっかりと回していることが、3人ともにスウィングのベースになっています。

GD これは、アマチュアも真似る必要があるのでしょうか?

内藤 大いにあります。ただ、注意点は腕に力を入れないこと。でんでん太鼓のようなイメージで、腕は体の回転によって振られることが大切です。

※週刊ゴルフダイジェスト2022年1月3日号「2022ベストスウィンガーナンバー1なスウィングたち~連続写真から僕らが学ぶこと」より

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