それなりの腕を持つゴルファーなら、パットの得意なラインや苦手な距離は“ある程度”把握しているはず。けれども実際に調べてみると意外に違っていたり……。今回、紹介するのはツアープロたちも実践する「パット能力テスト」。パットが得意な人は“伸びしろ”がわかり、苦手な人は“解決策”が見えるという超有能テスト。まずはパットを専門に指導する橋本真和コーチ監修のもと、昨年のプロテストに合格したルーキーの藤井美羽プロがテストに挑戦。

パットのラインと距離の「得意・不得意」がわかる

藤井美羽プロが挑戦するのは、生体力学分析を専門としR・マキロイやP・ハリントンなどにパッティングの指導をしてきたポール・ハリオン教授考案の“スノーマンドリル”というテスト。

画像: パットを専門に指導する橋本真和コーチ監修のもと、ルーキーの藤井美羽プロがこのテストに挑戦

パットを専門に指導する橋本真和コーチ監修のもと、ルーキーの藤井美羽プロがこのテストに挑戦

「このドリルはどんなラインが得意か、あるいは不得意かなど、その人のパッティングスキルを数値化するドリルです。これを繰り返すうちに自分の得意や苦手なラインが明確になり、ラインの読み方や構え方、ストローク、距離感、パター選びなどをどう改善すればよいかわかってくるのです」と橋本コーチ。実際にプロのコーチング現場でパットの課題を浮き彫りにするためによくやるそう。

「2球連続で入れるにはかなりプレッシャーがかかります。ライン読みの力も身に付きますね」とつづける。約1時間のテストを終えた藤井プロは、144点満点の113点。橋本コーチいわく“超有能”だそう。「やりました!」と藤井美羽プロ。

テスト手順は、①練習グリーン上の勾配1~2%の平らな面をみつける。その中央にターゲットカップなど仮想カップを設定して円を描くように打つ場所を決める。②打つ場所の決め方は下り真っすぐのラインを12時、真っすぐ上りを6時に設定。③時計盤のごとく12方向に、カップから90センチの位置にマーク。各12方向、最初のマークから30センチおきに9個ずつマーク。それで準備完了。細かくはこの図版のとおり。

画像: ホールカップor仮想カップを中心に時計盤のように12方向×30センチ間隔に9個ずつマークして準備完了

ホールカップor仮想カップを中心に時計盤のように12方向×30センチ間隔に9個ずつマークして準備完了

練習グリーンが空いている時にやろう

準備とテストで実質90分。他のゴルファーの迷惑にならないよう、練習グリーンが空いている時にやってほしい。キャディマスター室にも一声かけて許可をもらうのがベストだ。12方向から2球連続で入った点数を合計していく。1番遠くが12点で、ひとつ近づくごとに11点・10点…一番近くが3点。

このドリルで本当に注目すべきは、“どのラインが弱いか”だ。「タッチに極端なズレがないかぎり、真っすぐ上りの6時は方向が合えば入ります。しかし5時や7時、4時や8時と上へ回り込むにつれタッチが合わないと入りにくくなってきます。特に3時・9時から上側はタッチの影響が強く、速さ8フィートくらいのグリーンだと真横の3時と9時、10フィート以上のグリーンだと2時と10時が特に難しくなります」(橋本)

時計盤の2~3時、9~10時は「方向性」だけでなく「タッチ」も大きく影響するということ。「パットは方向性とタッチという2つのエラーが絡み合うことでミスが生まれます。ただ、意外と真っすぐな6時と12時に弱いプロも多く、その原因のほとんどは“ラインに対しスクエアに構えられていない”ことです。そもそもゆがんだ構えがストロークのエラーを呼ぶので、方向性もタッチも合わなくなってしまうんです」と指摘する。

目標に対してスクエアに立つことでも、ストロークは自然と改善され、タッチも合ってくるわけだ。まずアドレスを正すことが大事ということ。

113点を出した藤井美羽プロだが、テストをした結果、時計盤の左側、7時・8時・9時・10時方向の点数が低く、スライスラインが課題であることが判明。「スライスラインのライン読みが狂っていたことがわかりました」とは本人の感想。橋本コーチは「スライスは曲がり幅を大きく読み過ぎていましたが、タッチは良かったですね」

このパット能力テスト、なぜスノーマンドリルというのか?

ところで、なぜスノーマンドリルなのか。12方向のテスト結果をラインで結ぶと、多くの人がスノーマン=雪だるま形状になることが語源だという。つまり、サイド方向からのパットはラインとタッチが合わないと入らないので、点数が低くなりがちだからだ。

画像: スノーマンドリルの語源はテスト結果が「雪だるま」の形に似ているから。パットが真上からの下りよりも、左右からのサイドラインが難しい

スノーマンドリルの語源はテスト結果が「雪だるま」の形に似ているから。パットが真上からの下りよりも、左右からのサイドラインが難しい

真っすぐ立ってパットするために大事なこととは?

構えのゆがみは取り去りたいところだが、これは6時・12時が良い人にも必要なのか? その問いに橋本コーチは、「めちゃめちゃ必要です。構えのズレをストロークで“何とかしている”ケースもありますし、たとえ真っすぐのときはちゃんと立てたとしても、曲がるラインだと構えがゆがむ人も多いです。そしてアドレスのゆがみは左右どちらかの腕が内外旋することで生まれます。たとえば左腕外旋・右腕内旋の状態で打つと、軌道はアウトtoインになります。そのままだと左へ行くのでフェースを開くなどして真っすぐ打つ必要があります。これでは再現性は低くなります」

構えるコツについて以下のように説明してくれた。「腕を広げ、体の中心で手を叩いてから、その位置で構えてください。肩甲骨や腕のポジションがリセットされて、真っすぐ構えられます。もう一つ大事なのは曲がるラインの立ち方。カップへ意識が行きがちですが、これによりスライスは左腕が内旋して右へ、フックは左腕が外旋し左へ転がしがち。曲がるラインで大切なのは“曲がりの頂点”に意識を向けること。さらにタッチ向上にはリズムのキープも大事。入る距離を広げ、苦手ラインを克服する準備はこれに尽きます」

曲がるラインでも真っすぐ構えるコツについては、「先ほど説明した、両腕を広げて“パン!”で構えに入る練習を徹底してほしいです。両腕を広げることで肩甲骨が下がり、肩と腕と胸の向きとポジションが落ちつきます。この状態から体の正面中心で手を合わせることでスクエアな構えを作ることができます。スクエアな構えの次はグリップです。両手パーの状態でグリップをはさみ、そこから体のポジションが変わらないようにグリップしてください」

「そして、どんなラインでもリズムをキープしましょう。リズムを一定に振り幅で調整することを覚えるとタッチ(距離感)が向上します。どんなラインも理想のリズムは90BPM(1分間に90拍数)です。今はメトロノームのアプリなどがあるので、それを使って練習するのも良いですよ」

橋本コーチが考案した簡易版パットテスト

画像: この図版をダウンロードor写メなどでプリントするか、同様に描いた紙を使って記入してみよう。ちなみに担当Nは72点満点で46点…

この図版をダウンロードor写メなどでプリントするか、同様に描いた紙を使って記入してみよう。ちなみに担当Nは72点満点で46点…

「12方向×10個から打つのは大変そう」という方に橋本コーチが考案してくれた簡易的な「GD版スノーマンドリル」がこちら。6方向からのテストでも、かなりの精度で弱点をあぶり出せるという。ここに貼った図版(テスト用紙)をダウンロード(orスキャン)&プリントアウトしてテスト結果を書き込み、その結果をGD編集部へ送ってください。封書によるアナログ形式でもよし、ウェブから写メを送る方式でもよし。皆さんの傾向データをもとに、さらなるパット上達企画に発展するかも……。ふるってご応募ください。

応募者の方から抽選で1名の方に「テーラーメイドのハイドロブラストジュノ1.5トラスヒールパター」をプレゼントします。封書での送り先は、〒105-8670 週刊ゴルフダイジェスト「全国統一パット模試係」。FAXは03-3435-0506。写メは下の応募バナーより。募集期間は2月28日までです。くれぐれもテストを行う際はコースの方に一声かけて、他のゴルファーの邪魔にならないよう配慮するようお願いします。

画像: reg34.smp.ne.jp
reg34.smp.ne.jp

簡易版テストのPDFはコチラより

2023年週刊ゴルフダイジェスト2月14日号より(PHOTO/Yasuo Masuda、ILLUST/Takeshi Shoji、THANKS/金乃台CC)

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