ゴルフダイジェストでは長年にわたって、一年を代表する「レッスン・オブ・ザ・イヤー」を選出しています。雑誌・WEBメディア・動画サイト・書籍など様々なメディアを通じてゴルファーへのレッスンに最も貢献したプロやインストラクターへ贈る賞です。この1年、ゴルファーの上達に役立ったのは、「誰のどんなレッスン」でしたか? その参考のために、昨年のレッスンシーンで活躍した指導者を、ゴルフ界のご意見番・タケ小山プロと振り返ってみました。第1回は「多くの選手を指導するカリスマコーチ」。今回からテーマ別に4日連続で配信していきます。

昨年のツアーで顕著だったのが、多くの有力選手を抱えるプロコーチの活躍。海外では昔から、デビッド・レッドベター、ブッチ・ハーモン、ピーター・コ―ウェンなど、著名なコーチのもとに常に多くの選手が集まっていた。選手たちが集まるのには、やはり実力、実績があるからにほかならない。日本では、1990年代半ばに江連忠や内藤雄士、井上透などプロコーチの登場で、ひとりのコーチのもとに選手が集まるようになった。

「ゴルフは個人競技ですが、練習や目標設定など個人では限界があります。そこで、一緒に練習する仲間が欲しくなる。同じコーチに師事する選手が一緒に練習するようになるのは自然の流れでしょう。人間ですから選手同士で『合う、合わない』もありますが、同じコーチを信頼しているので、選手同士も気が合うことが多い。練習を共にすることで互いに刺激を受け、目標設定もしやすくなる。ただ、コーチはひとりなので人数が増えてしまうと、ひとりの選手に割ける時間が少なくなってしまう。そのあたりのバランスが難しいところ」(タケ小山・以下同)

上田桃子を長く指導、2年連続の17勝目をサポート

多くの選手を指導するという面では、とくに昨年は3人のプロコーチが印象に残っているという。まずは富士フイルム・スタジオアリス女子でツアー通算17勝目を挙げた上田桃子を教える辻村明志コーチ。

画像: 辻村明志。日大ゴルフ部からプロ転向。江連忠のもとでティーチングを学びプロコーチとして独立。王貞治氏を育てた故・荒川博氏にも師事した

辻村明志。日大ゴルフ部からプロ転向。江連忠のもとでティーチングを学びプロコーチとして独立。王貞治氏を育てた故・荒川博氏にも師事した

「長年、江連忠コーチのもとでレッスンを勉強し、引き出しが多い。レッスンはどれだけ多くの選手を指導し、情報を蓄えているか、選手の調子が悪いときに直せるドリルの多さが大切。辻村コーチは長年多くの選手を指導してきて、ツアーにも行き、キャディとして同行もしているわけですから、選手の情報量が多い。加えてドリルも豊富。イチから作り上げるのではなく、その選手の良いところを残しながら指導しているように見えます」

上田桃子に加えて、昨年のツアーでトップ10に19回も入った吉田優利も、チーム辻村のひとり。今年のオーガスタナショナル女子アマに出場する六車日那乃(むぐるまひなの)さんも指導を受けている。

小祝さくらは吉田直樹と“長く戦える体使い”を追求

次に、昨年から指導するようになったばかりだが、いきなり2勝を挙げた小祝さくらを教える吉田直樹コーチ。小祝以外に、脇元華、高木萌衣、男子プロの谷原秀人、上井邦浩も指導している。

画像: 吉田直樹。幼少期は米国で過ごし、豪州の大学を卒業。世界中のトッププロから指導を受け「LPスウィング理論」を創案。現在は兵庫県で「ゴルフ ラキンタ」を主宰

吉田直樹。幼少期は米国で過ごし、豪州の大学を卒業。世界中のトッププロから指導を受け「LPスウィング理論」を創案。現在は兵庫県で「ゴルフ ラキンタ」を主宰

「一昨年と比べて小祝さくら選手のスウィングが大きく変わったということはありません。コーチを代えてすぐに結果が出せるのか、当初は心配していたのですが、シーズン中盤以降の成績がいいので、上手くやれているのだと思います。また、男子でも谷原秀人選手が結果を残しました。44歳という年齢で活躍できるのだから、効率のいい体の動かし方などを教えているのでしょう」

松山英樹、畑岡奈紗、世界基準コーチングの黒宮幹仁

3人目は黒宮幹仁コーチ。昨年から畑岡奈紗、稲見萌寧を指導し、ZOZOチャンピオンシップでは松山英樹に同行した。宮田成華、淺井咲希、男子若手の飛ばし屋・岩﨑亜久竜も指導している。

画像: 黒宮幹仁。高校時代はナショナルチームメンバーに選ばれるほど活躍し日大に進学。2012日本学生ゴルフ選手権では松山英樹に次ぐ2位。「黒宮ゴルフアカデミー」を主宰

黒宮幹仁。高校時代はナショナルチームメンバーに選ばれるほど活躍し日大に進学。2012日本学生ゴルフ選手権では松山英樹に次ぐ2位。「黒宮ゴルフアカデミー」を主宰

「黒宮幹仁コーチのもとに、パッティングコーチやフィジカルコーチがいて、スウィングは黒宮コーチが見ますが、トレーニングはフィジカルコーチに任せるなど、それぞれが高い専門性を持って指導しているのが特徴です。まさに“チーム”で選手を支えています。たとえば、畑岡奈紗は下半身が安定しているのに腕の振りが弱いと見るや、フィジカルコーチに指示を出して、上半身を鍛えるトレーニングをシーズン途中から取り入れました。現在、取り組んでいることを踏まえたうえで、総合的な練習やトレーニングを効率的に行えるのが強身だと思います」

多くのプロを指導するだけあって、その影響力は大きい。ゴルフダイジェストはもちろん、さまざなメディアに登場する機会も多かった辻村明志、吉田直樹、黒宮幹仁。皆さんの上達に役立ったレッスン、ゴルフ心に響いた言葉も、あったのではないだろうか。

※あなたが考える、今年のレッスン・オブ・ザ・イヤーの投票をお願いします。

画像: www.golfdigest.co.jp
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※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月21日号より(PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Takanori Miki、Hiroaki Arihara、Yasuo Masuda)

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