フェニックスオープンで松山英樹、R・マキロイと同組で回るコリン・モリカワ。ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロは、ツアー初戦の大逆転負けを振り返り、「コリン・モリカワのプレーに注目したい」と語る。

23年PGAツアー初戦のセントリートーナメントオブ・チャンピオンズ。ジョン・ラームの7打差逆転優勝は見事でしたが、ボクが注目したのは大逆転されたコリン・モリカワです。3日目までノーボギー、完璧なゴルフでぶっちぎり、2位と6打差で最終日を迎えます。前半で順調に3バーディを奪い誰もがメジャー2勝のコリンの優勝を疑わなかったはずです。

ショットの安定性とキレには定評のあるコリンですが、唯一弱点を挙げるとしたら、昨シーズン、SGのスタッツが131位だったパッティング。そこで11月のマヤコバからシェーン・ローリー、ホアキン・ニーマンらを指導するスティーブン・スウィーニーをコーチに迎えました。この試合では早くも効果が表れ、67ホールまでは順調にきたのです。

ところが迎えた易しい14番でグリーンから約30ヤードのバンカーにつかまり、なんとホームラン。寄らず入らずのボギーで、この時点で猛追を見せていたラームと並びます。しかし続く15、16番もバーディの出やすいホール。放送席のボクは「ホームランというのはプロにとってもちょっと心拍数が上がる嫌なミス。ただ、残りホールを考えると、まだコリン有利でしょう」と解説しました。

ところが想像もしないミスが……。15番のパー5は2オンできず寄せのアプローチでザックリし、4打目を乗せて2パットのボギー。実はコリンは、やはりスタッツの悪かったグリーン周りについても、選手でありショートゲームのコーチでもあるパーカー・マクラクリンに、昨年あたりから助言を仰いでいます。

トップで左手を掌屈させるのがコリンのスウィングの特徴で、これがキレのいいアイアンショットを生んできました。ところがアプローチでこれをやると、突っついたり転がしたりするのはいいのですが、柔らかいフワリとしたボールが打てません。本人は「上手くボールを拾うようにもなれた」と言っていましたが……、まさかのザックリ。

ポール・エイジンガーが動画のスロー再生を用いて解説していましたが、マクラクリンの助言の影響かはわかりません。しかし続く16番の短いパー4でも、スコアを落とします。今までも、J・スピースやR・マキロイが若さゆえか、こうした崩れ方をしてきました。しかし、それと対極のゴルフをするのがコリンであり、それが強さと魅力でもありました。昨シーズン勝てなかったことが、周囲が想像する以上に何かを背負わせたのか。

今回、大きな傷を負ったことは間違いありません。ただ、試合後のインタビューにはきちんと応じ、悔しさがにじみ出ていたもののコリンらしく客観的に自分を見つめポジティブな一面も見せました。

11年、20歳のマキロイ、16年、22歳のスピースは、ともにマスターズで大崩れして優勝を逃しましたがその翌年、マキロイは全米オープン、スピースは全英オープンで雪辱を果たしました。全体的にスマートさが漂うコリン・モリカワがこの傷をどう受け止め、そしてどう克服するのか。注目したいですね。

画像: 「デビュー当時から非常に再現性の高いスウィングの持ち主で、アイアンの上手さはトップクラスです」by佐藤信人(Photo/Blue Sky Photos)

「デビュー当時から非常に再現性の高いスウィングの持ち主で、アイアンの上手さはトップクラスです」by佐藤信人(Photo/Blue Sky Photos)

※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月14日号「うの目 たかの目 さとうの目」より

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