1月末、IPC(国際パラリンピック委員会)は2028年ロサンゼルスパラリンピックに採用される22のスポーツを発表したが、残念ながらゴルフは含まれていなかった。2016年リオパラリンピックに初エントリーして以来、東京、パリ、ロスとこれまでに4回、正式種目入りを逃したことになる。

ゴルフが正式競技に入らない理由とは?

正式種目となった22のスポーツは東京、パリ両パラリンピックでも正式種目となっている。そしてロサンゼルスパラリンピックでは新採用されるスポーツはないと言いたいところだが、実はそうではない。パラサーフィンとパラクライミングが新たな正式種目として検討され、今年の暮れまでには結論が出るという。

サーフィン、クライミングがパラリンピックの正式種目にエントリーしたのは実はゴルフより後のこと。ゴルフは後発の競技に先を越されてしまう可能性がある。一体何が違うのだろうか。

パラリンピックの正式種目に採用される条件はいろいろある。それに加えて開催国の国情などもあるから、一概にサーフィンとクライミングの評価が高く、ゴルフは低いとは言い難い。しかし、2つのスポーツとゴルフが圧倒的に違うのは、ゴルフでは世界選手権の恒常的な開催がまだ行われていないことである。

画像: 昨年アメリカで開催された全米障がい者ゴルフ大会。11の国から選手が集まった。これが正式な世界大会へ発展すれば…

昨年アメリカで開催された全米障がい者ゴルフ大会。11の国から選手が集まった。これが正式な世界大会へ発展すれば…

IGF(国際ゴルフ連盟)は以前、2023年に「世界パラゴルフチーム選手権」を開催すると発表した。それが延び延びになっている理由は、一つにはコロナ禍、そしてもう一つは競技やクラス分けの方法を巡って世界(特にアメリカとヨーロッパ)がまとまらないからである。

画像: 全米障がい者ゴルフ大会には、日本障がい者オープン3連覇中の吉田隼人さんも出場した

全米障がい者ゴルフ大会には、日本障がい者オープン3連覇中の吉田隼人さんも出場した

2019年にはようやく世界障害者ゴルフランキング(WR4GD)が制定された。世界選手権も早く開催しないと次のブリスベンのエントリーに間に合わなくなる。この際、どこの国が主導権を握るかなどとは言っていられない。一日も早く世界の障がい者ゴルフ界がまとまることがパラリンピックでのゴルフ競技実現への近道なのだ。(日本障害者ゴルフ協会代表理事・松田治子)

※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月28日号より(PHOTO/Yasuo Masuda)

This article is a sponsored article by
''.