2月3日に開催された、アプローチに特化したセミナーを受講したハラダゴルフの原田修平コーチ。一体どんな学びがあったのか?スコアに直結するグリーン周りのヒントを教えてもらおう。

シンガポールを拠点に世界で活躍しているプロコーチ、ダビデ・べリトリ氏が講師のウェッジゾーンセミナーに参加してきました。

画像: グリーン周りのアプローチこそスコアメイクに必要なスキルだ

グリーン周りのアプローチこそスコアメイクに必要なスキルだ

アマチュアの皆さんはアイアンのフルショットでは、なかなかターフが削れないくらい緩やかな入射角であるのに、40ヤード以内になると途端に急角度に入れてターフを削ってしまう傾向にあるとのこと。これだとリーディングエッジが刺さってうまく打てませんよね。

先にプロコーチのダビデ・ベリトリ氏の紹介しておくと、世界中100人のコーチとディスカッションし、11名のツアープレーヤーのウェッジデータからウェッジのテクニックを感覚ではなく数値とデータで徹底解説してくれるコーチです。

画像: シンガポールを拠点にウェッジゲームを得意分野にレッスンを展開するダビデ・ベリトリコーチ(写真/岡沢裕行)

シンガポールを拠点にウェッジゲームを得意分野にレッスンを展開するダビデ・ベリトリコーチ(写真/岡沢裕行)

さて、このセミナーに参加している顔ぶれにも注目。今活躍しているプロのツアーコーチ陣だけではなく現役のツアープロ選手も多数参加していました。

画像: ダビデ・ベリトリコーチのウェッジゲームセミナーには多くのプロやインストラクターが集まった(写真提供/エンジョイゴルフ)

ダビデ・ベリトリコーチのウェッジゲームセミナーには多くのプロやインストラクターが集まった(写真提供/エンジョイゴルフ)

セミナーの内容は大きく3つのテーマに分けられます。

(1)ウェッジには距離に合わせた2つの打ち方が存在する
(2)2つのスウィングタイプに分けられる
(3)スピンコントロール

(1)ウェッジには距離に合わせた2つの打ち方が存在する

では一つ目「ウェッジには距離に合わせた2つの打ち方が存在する」から説明します。具体的には40ヤード以内と40ヤード以上では打ち方が変わるというもので、40ヤード以内を「フィネスウェッジ」。40ヤード以上を「ディスタンスウェッジ」といいます。

「フィネスウェッジ」の特徴としては、かなりの変動性があり、色々な打ち方が必要。例えば、ピンがエッジから近いケースと、遠いケースでは求められる弾道も変わります。その中で最も大切になってくるのがクラブが入ってくる角度を浅くするということ。つまり「緩やかな角度」で入れるというテクニックです。

そして40ヤード以上のディスタンスウェッジという打ち方では、再現性が必要になります。同じことを繰り返し打てるかどうかが重要になるといいます。そのためにはクラブの入射角を確保し、ターフを少し削っていく打ち方がベターだといいます。興味深かったのは、打ち方の分岐点が大体40から50ヤードくらいで分かれていくということでした。

(2)「2つのスウィングタイプに分けられる」

スウィングタイプは「レジスター」と「リリーサー」の二つに分けられるというもの。

「レジスター」の打ち方の特徴は、手首のコックを柔らかく使って打つのがこのタイプ。それに対して「リリーサー」の打ち方の特徴は、リストコックや手首の動きをほとんど使わずに、両肩と手元で作る三角形をキープして体の回転で打つタイプです。これはよく私がアマチュアの皆さんにレッスンする際の打ち方に近いですね。

「レジスター」の打ち方から解説をすると、体の回転よりも、リストコックを使ってバックスウィングします。フェースを少し開いてテークバックし、右ひじが体に密着された状態で折り畳まれ、インパクトではヘッドを走らせるので、クラブ軌道はインサイドイン軌道となることが特徴です。

対して「リリーサー」の打ち方の特徴は、両肩と手元で作る三角形をキープしたテークバックになり、右ひじは伸びたままで体と腕に隙間が生まれます。クラブフェースはやや閉じたクローズかスクエアになり、インパクトでは体の回転をしっかりと行い軌道はアウトサイドイン軌道になるというものです。

それぞれの特徴を理解して自分のアプローチを動画で撮ってみると、どちらのタイプか判別できて面白いと思います。

ここで一つデータを紹介すると、グリップの握る強さを計測し「レジスタータイプ」と「リリーサータイプ」で比較してみると、手首を使う「レジスタータイプ」はテークバックとダウンスウィングにグリッププレッシャーのピークが2回表れます。つまりグリップの圧力に変化が生まれるということです。

それに対して手首を使わない「リリーサータイプ」は、ピークがまったく存在せず一定のグリッププレッシャーであることが見て取れたと教えてくれました。どちらの打ち方も一定のリズムでゆったりと打たなければならないという共通点はありますが、グリッププレッシャーに違いがあるのは興味深い内容でした。

(3)『スピンコントロール』

低く打ち出してスピンで止めるというアマチュアゴルファーの憧れの弾道のロジックが今回かなり明らかになりました。

ポイントは3つ。1つ目は『フェースを開いてトウ寄りに当てるということ』。その理由はミート率をいかに下げるか、というもの。

画像: ダビデにショートゲームのレッスンを受ける原田修平コーチ(写真提供/エンジョイゴルフ)

ダビデにショートゲームのレッスンを受ける原田修平コーチ(写真提供/エンジョイゴルフ)

ヘッドスピードを上げないとボールにスピンはかけられない、ですがこれをやるとボールは遠くに飛んでしまいます。そのためミート率を下げなければならない。そこでフェースを開いてトゥに当てることでミート率が下がりボールが飛ばなくなりますが、スピンはかかります。

二つ目のポイントは「フェースの下目に当てること」これはスコアラインの3本目くらいまでのフェース下目に当てること。下目でヒットするとインパクト時にロフトが立つ方向にエネルギーが働き、ロフトを寝かせて当たってもボールは低く打ち出されます。低くスピンの効いたボールを打ててはいても、実際のデータを見ると、これには驚きました。

2つのショットでインパクトロフトを比較してみると、インパクトロフトが52度でフェースの下目トウ寄りでヒットした場合は、打ち出し角度が30度、スピン量は7359rpm。それに対してインパクトロフトが47度でフェースの上部で当たった場合、ロフトは立っているので打ち出しが低くなると思いきや、なんと打ち出し角は32度と高く、スピン量は5299rpmと少なくなっていました。

つまりロフトが立っていても打点が上目だと打ち出し角度(ローンチアングル)が高くなり、いわゆるポッコンと言われるスピンや弾道のコントロールが難しいボールになってしまうということです。

ロフトを立たせて低く打つのではなく、ロフトを寝かせてフェース下目のトゥ寄りに当てるテクニックがスピンをかけていく上でマストなテクニックだということが明確になりました。

最後の3つ目のポイントは「ハンドファーストで打たない」というもの。先ほどのロフトを立てないという話と重複するところもありますが、プロゴルファーのインパクト時のハンドファースト度合いの角度を計測すると、約10度と思ったよりもハンドファーストに当たっていないのです。

右手のリリースを遅らせ、入射角を鋭角にしてしまうとバウンスを滑らせることができずにリーディングエッジが芝に突き刺さりダフりの原因になります。どうすべきかというと、皆さんがやってはいけないと言われるフリップ動作をすること。

画像: 元世界ランク1位のコ・ジンヨンのアプローチはインパクトでハンドファーストの度合いが弱くリリースする動作が見て取れる(写真は2022年のシェブロン選手権)

元世界ランク1位のコ・ジンヨンのアプローチはインパクトでハンドファーストの度合いが弱くリリースする動作が見て取れる(写真は2022年のシェブロン選手権)

手首の角度を保持せずに解放させるこの動きをすることでスピンをかけるために必要なヘッドスピードを確保し、ダフリを防ぐことにもつながるといいます。確かに手首の角度を保持するというよりいかにバンスを滑らせるか。これがスピンをかける打ち方のポイントとなりますね。

ちなみにウェッジでボールを止めるときの基本的な考えは1〜25ヤードまでは高さで止める。25〜60ヤードまではスピンで止める。そして75〜100yまではスピンと高さで止めるということになるとダビデコーチ。

最後にダビデが言った印象的な言葉を紹介します。

「スピンをかけたければ、芯に当ててはいけない!なぜかといえばヘッドスピードを上げることができないから!」

ウェッジでライバルに差をつけたい人は、上記をヒントにチャレンジしてみてください。

取材協力/エンジョイゴルフ&スポーツ

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