「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はウェッジの溝の寿命について教えてもらった。

みんゴル取材班(以下、み):プロは溝が減るのでウェッジを頻繁に替えるといいますが、月イチ程度のアマチュアでもウェッジの溝は減るものですか?

宮城:もちろんです。メッキの厚さやクラブの使い方によっても変わりますが、とくに最近増えてきたノーメッキのウェッジは早く減ります。また、バンカーによく入れてしまう人やフェアウェイでもヘッドがダフり気味に入る人は砂が噛んでよけいに減りやすくなります。

み:ウェッジの交換時期の目安を教えてください。

宮城:ツアーで「MT-28」を供給していた頃の話ですが、選手一人当たり同じロフトのウェッジを年間5本くらいは作っていましたね。その中には海外用に削ったものも混じっていたので、それを差し引くとほとんどの選手がだいたい3ヶ月に1回くらいのペースで替えていたと思います。

み:アマチュアの場合はどうでしょう。

宮城:トップクラスのアマチュアはラウンド回数も多いので1年に1回くらい替えています。アベレージゴルファーでもよくコースに行く人なら2年ごと、月イチペースでも3年に1回くらいは替えたほうがいいでしょう。先ほどもいいましたがダフリが多いからです。

み:溝の摩耗を見た目で判断するのは難しいですか。

宮城:アマチュアでも、新品と打ち比べればスピン量の違いはわかりますが、実際には少しずつ減っていくので替え時を判断するのはなかなか難しいと思います。

み:なるほど。ウェッジを交換するときに何か注意点があれば教えてください。

宮城:溝が減ってくるとだんだん出球が高くなっていきますが、新しいウェッジに替えた途端に球が低くなるので距離感を作り直す必要があります。そのことを嫌うプロは新品のウェッジをいきなり試合で使わず、練習である程度使い込んでから交換しています。アマチュアの場合ももったいないからと極端に溝がすり減るまで使うのは、新しいウェッジに慣れるまでよけいに時間がかかり上達を遅らせることになるのでおすすめできません。

画像: 「バンカーによく入れてしまったり、ダフり気味のショットが多いと、溝は減りやすくなります」と宮城氏は語る(写真/有原裕晶)

「バンカーによく入れてしまったり、ダフり気味のショットが多いと、溝は減りやすくなります」と宮城氏は語る(写真/有原裕晶)

This article is a sponsored article by
''.