2022年11月に発売されたピン「G430」シリーズは発売前から多くのプロ使用して優勝、発売後はアマチュアゴルファーにも人気のモデルとして好調な販売をキープしている。そして派生モデルとして「G430 HL」が登場。どんなプレーヤーに合うのか? ゴルフステージ成城のクラブナビゲーター・吉田朋広が検証してみた。

「G430 HL」の「HL」は「ハイローンチ」の意味で「MAX」と 「SFT」の2モデルがラインナップされています。クラブ総重量が280グラムを切っており、なぜピンが軽量の高弾道モデルを投入してきたのか? どんなプレーヤーに合うのか? 検証していきたいと思います。

構えた感じは「G430 MAX」そのもの。ヘッドの座りもよく、フェースが右に逃げていないので安心感があります。ピンのドライバーを46インチで振ったことはなかったですが、速く振り抜けるスピード感がありますね。ヘッドスピードもアップしてそうです。

純正シャフトの「スピーダーNX45」はハリがあり手元から中間部分は意外としっかりした振り心地ですが、先端部分は先中調子の表示通り、動きが感じられ先がしなってヘッドを走らせやすい印象です。シャフトの動きもあって「ハイローンチ」の表示通り、ボールはしっかりと上がってくれます。

ヘッドは打点ブレに強く、心地よい打音も「G430」シリーズのイメージそのままです。バックスピン量は平均で2500rpmくらいですので標準的だと思います。この多すぎず、少なすぎずのバックスピン量が弾道の安定性につながっていて、非常に安心感があります。

一般的には軽量化されることで慣性モーメントが下がりますが、「G430 HL MAX」はそれをまったく感じさせず、打点ブレに対する強さは標準モデルと同様でミスヒットに強い「G430 MAX」のイメージそのままと言ってもいいでしょう。振り心地は標準モデルよりも軽快で扱いやすく感じます。

慣性モーメントが高いドライバーヘッドはヘッドスピードが速いプレーヤーには有利ですが、ヘッドスピードが速くないプレーヤーには振りにくさを感じる場合が多いものです。しかし「G430 HL MAX」なら1サイズコンパクトなヘッドのような振りやすさを実現しながら「G430」シリーズの高い慣性モーメントのヘッド設計のメリットを受けることができます。

ヘッドスピード38m/s以下がターゲットとのことですが、純正シャフトの「スピーダーNX45」装着モデルは意外と使いやすく、幅広いプレーヤーが使えるクラブに仕上がっています。スウィンガータイプの方であれば42m/sくらいまでのヘッドスピードには十分対応できるでしょう。

画像: 「G430 HL MAX」のテストクラブはロフト10.5度、ヘッド重量190g、総重量278g 。シャフトは45gの先中調子「SPEEDER NX45」

「G430 HL MAX」のテストクラブはロフト10.5度、ヘッド重量190g、総重量278g 。シャフトは45gの先中調子「SPEEDER NX45」

「G430 HL SFT」は「G430 SFT」同様のドローバイアスヘッドでロフトは10.5度のみです。
構えた感じでは「MAX」の10.5度より、ロフトがあるように見え、アドレス時から無理なく高い弾道が打てそうな安心感がありますね。35グラムの純正シャフト「スピーダーNX35」はワッグルした際はしなり量が大きく、軟らかいイメージですが、実際にスウィングした際はシャフト振動数217cpmよりも意外としっかりしたフィーリングで、頼りなさは感じませんでした。

シャフトのしなり戻りのイメージから判断すると、適正ヘッドスピードは40m/s以下くらいといったところでしょう。ヘッド重量が軽いこともあり、とにかく振っていてスピード感がありますね。ピンのドライバーでありながらフィニッシュまで一気に振り抜けるのは新鮮です。

「G430」シリーズの特長でもある心地よい打球音は「HL」シリーズもそのまま変わりません。軽く弾き感のある打球感は力まずに振り抜きやすく、軽量のこのクラブのイメージにあっていて、ボールスピードの速さの演出に一役かっています。

弾道は「G430 HL MAX」よりもさらに高く、バックスピン量はやや多め。平均で2900rpmくらいですのでヘッドスピードが速くない方でも安定したボールが打ちやすく感じられるでしょう。
ドローバイアスモデルの「G430 HL SFT 」にはヒール側に重心があるのでヘッドローテーションを入れなくてもヘッドが自然に返ってくれます。ボールをつかまえることが苦手な方でもしっかりとつかまったボールが打てるでしょう。

弾道も高いのでキャリー不足で飛距離がでない方やコースのロケーションでキャリーを求めたい方には大きな武器になると思います。46インチが長く感じる方は短めにカスタムして使っていいかもしれませんね。バランスも下がりシャフト振動数も若干アップしてよりレスポンスの良いクラブに仕上がりますよ。

ピンは海外の大手メーカーのなかでは試打会やフィッティングイベントを多く開催していますので試打会参加者のデータから日本市場のプレーヤーを分析した結果、シニア層にはヘッドスピードが速くないプレーヤーが多く存在し、ピンの標準モデルでは「高モーメントによる振りにくさ」によって理想的な結果を得ることができてないと判断したことが軽量モデルの開発のスタートになっています。

クラブを軽くすれば振りやすさがアップしますがピンのドライバーの特長であるMOIが低くなってしまうのが最大のネックだったと思いますが、「G430 HL」はヘッドの軽量化はもちろん専用設計のシャフト、標準よりも10グラム軽いグリップ等、トータルで軽量化しながら、特長である高い慣性モーメントを損なわずにクラブの機能を追求したことで、非常に完成度が高いクラブに仕上がっています。

もしヘッドスピードが速い方が打った場合はヘッド挙動の安定感が落ち、ボールも吹け上がる感じになるでしょう。試しに「G430 MAX HL」のヘッドに「G430 MAX」の純正シャフト「ALTA J CB BLACK」のフレックスSRを装着して打ってみると、ヘッドが軽い分ヘッドスピードはアップしましたが、ボールの推進力を感じにくく、メリットあまりは感じませんでした。

画像: 「G430 HL SFT」のテストクラブはロフト10.5度、ヘッド重量187g、総重量268g 。シャフトは35gの先中調子「SPEEDER NX35」振動数217cpm

「G430 HL SFT」のテストクラブはロフト10.5度、ヘッド重量187g、総重量268g 。シャフトは35gの先中調子「SPEEDER NX35」振動数217cpm

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