ツアー解説などでおなじみの佐藤信人プロ。今回は、カリフォルニア出身の32歳、マックス・ホーマに注目!
画像: 1月にツアー通算6勝目をあげた32歳のマックス・ホーマ

1月にツアー通算6勝目をあげた32歳のマックス・ホーマ

1月のファーマーズでツアー通算6勝目を挙げたマックス・ホーマ。生まれ育ったカリフォルニアの試合で4勝目です。今年の全米オープンはLAカントリークラブでの開催。ホーマが学生時代にマークした61は、このコースのレコード。少し気の早い話ですが地元で強く、リビエラなど難コースを得意とするだけに、初のメジャータイトルも夢ではないと思います。

32歳は昨今のゴルフ界では若いとは言えませんが、SNSを上手に使いこなす新時代の選手という印象です。PGAツアーでは22 年からプレーヤーインパクトプログラム(PIP)と呼ばれる制度を導入しました。これはテレビ、新聞などの報道、グーグル検索回数やSNSでの登場頻度を数値化し、その上位選手、つまり人気の高い選手にボーナスを支払うというもの。

LIVゴルフへの移籍を阻止する狙いもあるとされ、1位となったタイガー・ウッズには、出場義務試合を果たせば1500万ドル(約21億円)が支払われることになっています。

ボーナス支給対象は上位20人(これに松山英樹ら3選手を加え23人)ですが、ホーマも見事にトッププレーヤーの仲間入りを果たしました。その原動力はSNSの登場頻度で、この部門ではタイガー、J・トーマスに次いで3位に入っている人気選手なのです

その人気を物語るエピソードが、優勝したファーマーズでありました。アメリカ3大ネットワークのCBSは、今年からゴルフ中継で試合3日目の1ホールだけ、選手にイヤホンをつけさせ放送席との掛け合いでファンを楽しませる企画を始めています。その第1回がファーマーズで、初の試みに抜擢されたのがホーマでした。

放送席は08年のマスターズチャンピオンのトレバー・イメルマン。どんな気持ちで打ったか、その番手を選んだ理由、ときに試合から脱線した雑談も含め、普段ファンには見られないプロの姿に迫る面白い企画です。おそらく今後はCBSのキラーコンテンツになるでしょうが、1発目にホーマを選んだことで、その成功に大きく貢献したことは間違いありません。

SNSの使い方も含め、ファンやメディアから好かれる選手は基本的に繊細で真面目、頭がいいとボクは思います。SNSで炎上してしまうタイプもいますが、ホーマの場合、ファンの声に、ときに直接、ユーモアと気遣いで、絶妙に返して楽しませています。

彼は練習の鬼。ある極寒の日。アンドリュー・パットナムのSNSに、「なんでこんな日に練習してるの?」と出ていたのがホーマの写真でした。ホーマの右腕には「Relentless」のタトゥが彫られています。直訳すると「執拗な」「容赦ない」「妥協しない」という意味。毎朝、歯磨きをするとき、鏡に映った右腕のこの文字を頭に刻むのだそう。最後まであきらめずしぶとく泥臭く争いに残ってくるイメージもこの言葉どおり。

人気先行の感はありましたが、実力が追いついてきました。ここ毎シーズン、メジャー初優勝者が出ています。繰り返しますが全米オープン、十分チャンスあり、です。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年3月21日号「うの目 たかの目 さとうの目」より

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