昨年の年間女王・山下美夢有が2位に7打差の圧勝で今季2勝目、通算8勝目! メルセデスランクは申ジエを抜いて1位へ浮上し、2年連続年間女王へ視界良好。ツアーで一番低い身長150センチの「小さな巨人」は一体どこまで強くなるのか? 
画像: 今季2勝目を挙げてメルセデスランキングトップに立った、昨年女王の山下美夢有(撮影/大澤進二)

今季2勝目を挙げてメルセデスランキングトップに立った、昨年女王の山下美夢有(撮影/大澤進二)

アイアンショットが安定して、パーオン率アップ!

今季国内ツアー第12戦、ブリヂストンレディスオープン最終日が5月21日、愛知県の中京GCゴルフ倶楽部石野コース(6573ヤード、パー71)で行われ、単独首位から出た山下美夢有(21)=加賀電子=が6バーディ、ボギーなしの6アンダー65で回り、2位の岩井明愛に7打差をつける圧勝で今季2勝目、通算8勝目を挙げた。

2位に大差をつけた優勝争いでも自分のゴルフを貫いた。

最終18番はグリーン左に池があり、芝が刈り込まれた左奥は池に向かって急傾斜している。ひとつ間違えば大けがもある状況にもかかわらず、左ラフからの池越えの第2打は積極的にピンを狙い、見事手前1.5メートルにつけてみせた。

このバーディパットこそカップの左をかすめたが、30センチのウィニングパットを入れ、左手を高々と突き上げた。それからギャラリースタンドに向かって、ペコリと感謝のおじぎ。大きな拍手を浴びながら喜びの笑顔を見せた。

「やっと自分らしいプレーができました。ショットが安定していたので、チャンスにつく回数が多く、そこでしっかりとパットも決められて良かったです」

4月の富士フィルム・スタジオアリスオープン以来の今季2勝目を圧倒的な強さで達成した要因は、アイアンショットの改善が大きい。

65、65で回った決勝ラウンド2日間のパーオン率は3日目が94.4%(17/18)、最終日が88.8%(16/18)と高い数字を記録。

パーオン率1位を原動力に年間女王に輝いた昨季の状態に戻りつつある。パーオン率は今大会終了時点で原英莉花が1位、山下は5位につけている。

画像: 「ショットが安定して、チャンスにつく回数が多かった」という山下(撮影/大澤進二)

「ショットが安定して、チャンスにつく回数が多かった」という山下(撮影/大澤進二)

ヘッドスピードが38m/sから41m/sにアップ!

「左右のブレが少なくなって、だいぶ調子が上がってきています」

勝負師に不可欠な気持ちの切り替えが上手になったことも抜きん出た強さを支えている。前週のRKB×三井松島レディースは岩井明愛、千怜姉妹とのプレーオフの末、妹の千怜に優勝を譲って涙を流したが、今大会で姉・明愛に7打差圧勝という形で見事リベンジを果たした。

悔しさを引きずらず、逆に力に変えられるメンタル力が光る。

「(気持ちの切り替えは)プロテストに合格した1年目は上手じゃなくてプレーに影響することもありましたが、今はだいぶうまくなっています。自分のレベルを確認してやっている感じなので、あまり下がったり上がったりは少ないと思います。リセットするために家族と話もします。先週はよく頑張ったと言われました」

長丁場のツアーで結果を残すため、今季は専門の栄養士をつけて、体調をしっかり管理している。

「いっぱい食べるようになりました。空腹にならないように食べるようにしています」

体調が安定し体力がついたことでヘッドスピードも上がり、昨季の38m/sから現在は41m/s前後に届いたという。

女子ゴルフツアーの優勝で2位に最多差をつけた記録としては、1996年伊藤園レディースのローラ・デービース(イングランド)の15打差(2位は福嶋晃子、原田香里)が残っている。

山下はまだプロ4年目の21歳。今大会は2位に7打差をつけ自己の”圧勝記録”を更新したが、このまま成長を続ければ、近い将来デービースの伝説の記録を塗り替える日がくるかもしれない。

This article is a sponsored article by
''.