米チャンピオンズツアーのキッチンエイド全米プロシニア選手権でスティーブ・ストリッカーがパドレイグ・ハリントンを逆転し優勝を飾った。今月のリージョンズ・トラディションでシニアメジャー5回目のタイトルを獲得しており、これでメジャー2連勝。優勝慣れしているように見えるが今回は彼にとって特別な思いがあったようだ。
画像: 父娘でつかんだシニアのメジャータイトル。娘・イジ―さんの労をねぎらうストリッカーはとても嬉しそう(写真は2023年全米プロシニア選手権 撮影/Getty Images)

父娘でつかんだシニアのメジャータイトル。娘・イジ―さんの労をねぎらうストリッカーはとても嬉しそう(写真は2023年全米プロシニア選手権 撮影/Getty Images)

リージョンズ・トラディションで勝った週は高校生の末娘イジーさんの誕生日。本来なら家で娘のバースデーを祝いたかったが父の身はひとつ。後ろ髪引かれながら戦い5打差の圧勝を収めた。

そのとき父が思いついたのが、今年ウィスコンシン州インターハイ体育協会ディビジョン1のゴルフ州タイトルを獲得し来年からウィスコンシン大学(ゴルフ部)に進学予定のイジーさんに贈るバースデープレゼント。「全米プロシニアでキャディをやらない?」という父の提案を娘は二つ返事で受け入れた。

「私の誕生日に父は家にいませんでした。で、電話をしてきて“ねぇ、全米プロシニアでキャディをしない?”といってくれたんです。とても素敵な誕生日プレゼントですよね」とチャンピオンズツアーがSNSに投稿した動画でイジーさんは語っている。

「バッグを担ぐととても謙虚な気持ちになれます」。

プロ用の重たいキャディバッグを担いで4日間コースを歩くのがいかに大変かを痛感した彼女だが、父の逆転勝利にその疲れも吹き飛んだ。

息をのむ展開だった。首位でスタートしたハリントンが出入りの激しいゴルフで今ひとつスコアを伸ばしきれない状況でストリッカーは前半3つスコアを伸ばし3アンダー69でホールアウト。劣勢だったハリントンが最終ホールでバーディを決め2人が18アンダーで並びプレーオフへ。

プレーオフを勝ち切ってストリッカーが優勝。親娘で掴んだ輝かしき1勝だ。これで45ラウンド連続パー以下のスコアで回るという大記録も達成した。

普段はゴルフ部出身の妻・ニッキーさんがストリッカーのキャディを務めることが多い。母からイジーさんは「頑張って、胸を張って、でも余計なことは喋らないで」というキャディ道を伝授されていた。

優勝インタビューで父は「彼女はいい仕事をしてくれた。2人ですごく楽しんだ。父の背中を見て育って娘も良いゴルファーになりつつある。本当に幸せだ」と声を詰まらせた。
「大人になってから家族と旅行に行ったことがあまりないので今回ゴルフを通してこのように充実した時間を過ごせたことはとても大きな意味があります」(イジーさん)

ちなみに長男ボビーさんもコーンフェリーツアー(PGAツアーの下部ツアー)でプレーするゴルフ一家。21年の秋に原因不明の病に倒れ2度の入院を余儀なくされ10キロ以上体重が落ちるという逆境もあったが現在は健康を取り戻し、メジャーで次々優勝するほど絶好調だ。

特大トロフィーを囲んで記念写真に納まる父娘の笑顔はとろけそう。幸せのお裾分けをもらった気分になる。

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