●クラブライフか、リゾート気分か。日本は二極化が進む
結論からいえば、ドレスコードはあるべきだと考えます。ただし、それは会員制倶楽部で、会員の総意で決められたことに限ります。関東のプライベートコース、東京GC、霞ヶ関CC、相模CCなど戦前に造られた7コースでは例えば、短パンをはく場合、ショートソックス可もあれば、ロングソックスでなければダメというところもあります。会員の総意で決めたルールにビジターが従うのは当然でしょう。
一方、パブリックコースならば、運営会社が決めればいいことで、これは会員制クラブより緩いのが大半。欧米を見れば明らかです。米国にあるゴルフ場でプライベートコースはたった1割。そこではクラブで決めたドレスコードが確立されています。残りの9割のパブリックやムニシパル(市民)コースでは、ドレスコードはあってないような状況です。
日本でも茅ヶ崎GLがドレスコードを設けていません。サンダルもOKだと聞いています。クラブライフを楽しむか、リゾート気分でプレーを楽しむか、これからは日本でもこの2極化が進むと思われます。(タケ小山、テレビ解説者・プロゴルファー)
●ドレスコードにはわかりやすい理由がほしい
ゴルフでのドレスコードには理由がわからないものが多い気がします。以前、テニスでは上下とも白で、トップスに襟がついていないとコートに立てないといわれましたが、ウインブルドンを除き、今は変わってきています。
ゴルフでは「クラブハウスに入る時にはジャケット着用」「半ズボンでの入場はダメ」「革靴じゃなければNO」「ポロシャツの裾はズボンに入れて」などというところもあります。では、なぜスニーカーはダメなのか、ポロシャツは外に出すようデザインされているものもあるのに……。理由を聞くと「昔から決められているから」という答えが多いです。
ちなみに、米PGAツアーは基本、試合では長ズボンですが、LIVゴルフでは短パンOK。これは暑さ対策のためで、体感温度が4℃違うという理由で許可されたそうです。ポロシャツの裾を外に出すと、これまた体感温度が下がるといいます。
また、日本ではなぜかゴルフ専用ファッションでプレーしなければならないとの固定観念が強いようです。セントアンドリュースでは、一般客はクラブハウスがないので、車からシューズを出して普段着でスタートしていきます。僕の場合、ユニクロだとロゴが入っておらず、普段着感覚でプレーできる感じがして好きですね。ともかくドレスコードにはわかりやすい理由がほしいものです。(ハル常住、マルチプロデューサー)
●競技会は真夏でもジャケット
競技会に出るときは真夏でも一応ジャケットを持参します。入賞して表彰式に呼ばれるかもしれないから……。(50代男性、東京都)
●理由を提示されれば素直に従える
だいぶ前ですが、一度、自宅から履いてきたスニーカータイプのスパイクレスシューズをコースの人に「履き替えていただきたいのですが」と言われたことがあります。コースの芝に外からの雑菌(?)が入るというような理由で、納得したのですぐに履き替えました。理由を提示されれば素直に従えます。(50代男性、埼玉県)
●ガチガチのゴルフファッションでプレーするのはぎこちない
僕はスコットランドのノースベリック(注:15番パー3はレダンと呼ばれ、世界で一番模倣されていることで有名)で育ちました。両親(父はクラチャン)も僕も会員で、高校生までノースベリックが草ゴルフ場、遊び場でした。故郷を離れても、帰郷して友達と待ち合わせるのはたいがいノースベリック。ですから、そこでラウンドするのはご飯を食べるのと同じくらい日常なんです。友達とでも両親とでも、単独でも、思い立ったらすぐスタート。その日着ているものでプレーします。
今でも、いわゆるゴルフウェアはしっくりこない。もちろん、試合の時はゴルフウェアを着ますが、仕事で世界のあちこちのゴルフ場へ行くようになってからは、当然そのコースのドレスコースに従いますが、ガチガチのゴルフファッションでプレーするのは何だかぎこちない気がします。
米国のムニシパルコースなどは、普段着OKなので、故郷に帰ったよう。ただ、米国のプライベートコースで何度も経験した厳かなゴルフもまたゴルフなんだなと感じました。(ベンジャミン・ウォレン、コース設計家&シェイパー)
●ドレスコードがあるほうが、初心者にはわかりやすい
社会にはTPOがありますよね。かしこまった席で食事をする際には誰もTシャツや半ズボンで来ないでしょう。ドレスコードは定められていなくても、社会人としての規範を考えるとそうなりますね。会員制のゴルフ場では同好の士が集まって、ただボールを道具で打つだけでなく、クラブライフをも楽しもうという意図があると思うんです。そこにはやはり、ドレスコードがあるほうが、初心者はわかりやすいと思うんです。
僕が所属している鳴尾GCでも、”新人会員”などは、最初は派手なウェアで来ることもありますが、やはり「浮いている」とわかるのか、1年ほどすると鳴尾の雰囲気に合った色使いになってきます。ゴルフでのドレスコードは、金科玉条のごとく守るという意味ではなく、これから先の社会生活での大人としてのマナーを学ぶヒントになると思えばいいんではないでしょうか。(水巻善典、プロゴルファー)
●コース入場時のデニムNGは納得いかない
私自身、デニムはゴルフ場にははいていきませんが、コース入場時もダメなのは納得いかない。もともとが作業着だからということですが、今や立派なおしゃれ着。ブレザーにデニムを合わせるのはおしゃれですけどね。(40代男性、神奈川県)
●ゴルフ場の雰囲気を壊すような服装は避けてほしい
ジャケット着用の時期に、着ていらっしゃらない方には「次回からは着用をお願いします」とはっきり言います。関東のとある厳格なゴルフ場では、さまざまなサイズの上着を玄関前に置いてあり、着用してこなかった人に着させるようですが、弊コースではそこまではしていません。ただ、コロナ禍を契機にビジター客が増え、ドレスコードに反してはいないんですが、ものすごい蛍光色のウェアの方がいらっしゃったことがありました。本人には言わないのですが、紹介した会員さんに報告はします。
あと、この夏の猛暑の折、半ズボンをまくり上げ、昔の女子中高生のブルマーみたいな格好をする人がいて「お客さま、それはご遠慮願いたいのですが」と丁寧に注意したことはあります。あと、多いのはTシャツにしか見えないウェア。ウチではネック部分は「4センチ以上」を目安にしていますが「ゴルフメーカーのウェアです」と言われると反論しにくいですね。カーゴパンツは、ウチではポケット部分が膨らんでいなければOKです。
ただ、すぐに作業着とわかるものは長ズボン、半ズボンともNG。あと迷彩色もご遠慮願っています。ゴルフ場は非日常の世界ではありますが、その場の雰囲気を壊すような服装は避けてほしいですね。(某有名コース支配人)
※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月31日号「山を動かす~ゴルフコースにドレスコードは必要?」より