トッププレーヤーたちが大事にする基本の“キ”
ZOZOチャンピオンシップは今年で6年目ですが、もともと6年契約で始まった大会なので今年が最後。それもあってか、練習日にも多くのギャラリーが会場に。いつもは画面越しでしか見られないプロのショットが見られる、しかも練習法までわかる。アツいゴルファーにとってはこの上ない状況でしょう。
取材初日である今日は、PGAのトッププレーヤーたちがどんな練習をしていたのかみなさんに紹介したいと思います。
やっぱり王道、アライメントスティックで向きを確認
練習場を見ていていちばん多かったのはアライメントスティックを地面に置いてショットしている選手。アライメントはその日の体調やちょっとしたことで崩れてしまいますが、ショットする上ではかなり重要。しっかり構えられているのかどうかはやはり確認しておきたいポイントです。
足元に1本、体のラインを整えるために置いている人がメイン層ですが、ウィル・ザラトリスのようにボールの前後に1本置く人も最近増えてきている印象です。
飛球線方向へのスティックは、打ち出し方向(LaunchDirection)を揃えることが目的。自分の意図した方向に打ち出すイメージを湧きやすくしているんですね。
ボールが飛んでいく方向は、アイアンの場合は約75%、ドライバーは約85%フェースの向きに依存するため、スウィング軌道や打点にもよりますが、フェースの向きが揃っていれば出球も揃いやすい。
つまり、打ち出し方向を揃えることはフェース面の管理にも繋がっているんです。
ゴルフのスウィングにおいて、クラブ軌道は円を描き、“真っすぐ”部分はほんの少し。だから余計にそこが変わりやすく、確認のためにアライメントスティックを置くのはかなり大事なことなんです。トラックマンやGCクワッドなどの技術が発展してもなお、アライメントが大事というベースの部分は変わりません。昔からあるオーソドックスな方法ですし、すごく当たり前のこと。でもこの基礎の基礎を大事にするプレーヤーがほとんど。せっかく練習に行っても、ついつい適当に、ラクに打ってしまう人も多いのではないでしょうか。是非この基礎に立ち返った練習をしてみてください!
腕に“ボール”を挟んで上半身の形をコントロール
腕にボールを挟む練習も試したことのある人が多いでしょう。このボールは体と腕の関係性を維持するためのもの。バックスウィングで肘が曲がったり、手だけでクラブを上げようとしたり、体と腕の関係性が変わるとミスショットに繋がってしまうからです。
少し前、やや小さめのボールを挟む練習方法が流行りましたが、片岡尚之選手やマックス・グレイサーマンが使っているのは大きめでした。
個人的にはこれくらい大きなボールが練習には向いていると思います。ボールが小さいと、しっかり挟もうと腕をぎゅっと絞めることで腕が内側に捻れるような動きができてしまい、本来必要としない方向に力が発生してしまう可能性があるためです。腕のサイズや体形によってベストなサイズは人それぞれですが、僕はこのくらい大きさのあるものをオススメしたいですね。挟むものもボールでないとダメという訳ではありません。みなさんそれぞれがしっくりくるものを見つけられるといいですね!
トップで“止まる”
最後にジャスティン・トーマスの練習方法を紹介します。ジャスティンの特徴的だった練習は“止める”こと。P2のポジション(シャフトが地面と平行)とトップで2回止まってからショットする様子が何度も見られました。
テークバックで右方向にクラブを動かし、切り返し以降は左方向へ。スウィングの最中にベクトルを変える必要が生じるのですが、この切り返しで行われる“つなぎ”が上手くいかないとミスショットに繋がります。
その“つなぎ”をうまく作るには、体をどのように動かすのかしっかり把握しておくことが必要ですが、止めたところから動かし始めると、いつも無意識で動かしている筋肉に気が付くことができ、どの部分から体を使っているかという確認作業をすることができるんです。
一見簡単そうに見えるこの練習ですが、実は意外と難しい。アマチュアゴルファーにやってもらうと、止めたところから反動を使ってしまう人がほとんどです。止まった状態から動かしていいのはターゲット方向にだけということに注意しましょう。
練習するときはトップで2秒ほど止めるのがオススメ。いつものようにテークバックしてトップで2秒。とてもシンプルですが、これができるようになるとシャフトクロスが治ったり、カット軌道のスウィングが改善されたり、フェースの真ん中で打てるようになったりといいこと尽くめ。効果的であることはジャスティンが世界ランキングで証明しています(29位)。特別な道具は一切必要ないですし、次の練習から是非やってみてください!
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長い時間を練習場で過ごしましたが、世界のトップで活躍するプレーヤーだからといって特別な練習をしている選手は1人も見かけませんでした。しかも、日本人に見慣れない練習をしている人もなし。世界のトップと日本のプロ・アマチュアが同じ練習をしていると思うとまだまだゴルフが上達しそうな気がしませんか? 是非基本の“キ”に立ち返った練習をしてみてはいかがでしょうか?
練習場に行ったらディボットも見てみて!
意識して見てみて欲しいのが練習場のディボット。ショットに抵抗感が欲しいかどうか、几帳面な性格かどうか……選手の個性が意外と表れている!