真っ先に練習場へ行く人は要注意
多くの選手たちが「朝イチの練習グリーンは球打ちの時間に合わせて行う」と口を揃える理由は、至ってシンプル。
「ラウンド直前に行う練習場での球打ちは、スウィングチェックや弾道を良くすることが目的ではなく、体をほぐしつつ、この日のショットの傾向を把握するためのものなのです」
とは週刊ゴルフダイジェストの連載「企業ゴルフ選士」にも登場している渡辺圭介さん。スタート直前にスウィングで悩むなんてもってのほか。たとえショットの調子が今ひとつだとしても、ミスの傾向をわかっておくことでスコアをまとめることができる。
なおかつ重要なことは“動ける体”に仕上げることであり、ほかの選手も「やる時間が重要」と口を揃える理由は、温めた体を再び冷やさないため。
では直前まで球を打てば良いのでは? という疑問は生まれるが、その理由は後述する。その前に、その24球をどう使っているか、さらに聞いてみた。
試合の練習球は24球が基本です
多くの場合、試合時は24球。限られた球数で効果的に仕上げるため、使用クラブも絞っている。
「私の場合、練習場へ持っていくクラブは4本です。必ず持つのがSWと8番アイアン、ドライバー。もう1本はこの日に多用するであろう番手ですね」
と渡辺さん。仕事が多忙でラウンド数が少ないことから、半分をアプローチに費やし距離感を合わせ、残りの球で動作や弾道をチェックするという。
渡辺さんの球打ちメニュー24球
12球 SWで短い距離
6球 8Iで体の動きを確認
4球 5Iでフルショット
2球 1Wで弾道を確認
ラウンド回数が少ない渡辺さんは、まず12球を使って距離感を調整し、8番アイアンをゆっくり振って6球。「最後に1、2球ドライバーで打ちますが、良い球を打とうとは考えません」。
高野さんによれば「内容それぞれに理由があり、多くの選手は似たような動きをするはず」とのこと。どんな理由があるのかをさらに調べてみた。
ウェッジは絶対!? 競技アマたちのルーティンは明日からマネしたい!
GDO 細谷祐生さん
「ウェッジ、9IとUT、1Wの4本です」
「最初ウェッジで4、5球打ちますが、一番球数が多いのは9番。調子を見るというより体を慣らすのが目的です。最後にドライバー数球で弾道の傾向を確認」
プレデンシャル生命保険金井さん(60歳・HC 1.5)
「ウェッジ、8I、5I、1Wでまず2球ずつ」
「私の場合は必ずこの4本と決めていますが、最初はゆっくり体をほぐすように、それぞれの番手で打ちます。その後気になる番手を重点的に使っていますね」
あずさ監査法人 杉浦宏明さん
「58度、9I、7UT7W、1Wの5本です」
「まず58度で5、6球打って9番で4、5球。その後7UTと7番ウッドを同じくらい打ち、最後にドライバーを少し。弾道は気にせず、体の動きを重視します」
実戦に向けた最後のリハーサルがこれ
練習を終え、スタート直前に再び練習グリーンで1~2メートルのショートパットをしている選手が多かったことについて、この日応援に訪れていた小暮博則プロコーチは言う。
解説/小暮博則
タイガーのショートゲームコーチだったStanUtley氏に師事し、世界水準の理論を習得。小誌連載「企業ゴルフ選士」のオーガナイザーでもある
「朝一番の練習グリーンは、感覚を確かめるために長い距離をノープレッシャーで行います。一方で球打ち後、体が冷える前にショートパットするのにも理由があります。直前のパット練習は言ってみれば0番ホール。本番さながらの緊張感を持った状態でリハーサルを行うことで、出だしでミスしたとしても落ち着いて対処できるわけです」
練習場から戻り、約1.5メートルから2球ずつ打つ細谷さん。「朝イチのパターは到着時間による」というが、スタート直前のショートパットは欠かさない。
競技アマのほぼ全員がスタート直前にパター練習をやっていたが、1球ごとにラインを変えたり、同じ場所から3球を打ったり、内容はそれぞれ。苦手なラインを重点的に行う選手も少なくなかった。しかし、どの競技アマたちも最後の仕上げは、短いパットではやる心を落ち着けることに徹底していた。
PHOTO/Takanori Miki
THANKS/筑波カントリークラブ
※選手の方々にはボランティアでご協力いただきました。
週刊ゴルフダイジェスト11月5日号「うまい人のルーティン」より一部抜粋自分流のルーティンが見つかればスコアップにつながる!